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フィギュア スケート コラム 2020年2月19日

第69回全国高等学校フィギュアスケート競技選手権大会【女子シングル】レビュー

フィギュアスケートレポート by 中村康一(Image Works)
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1位 吉岡詩果

嬉しい優勝を飾ったのは、吉岡詩果。危なげない試合運びだった。

「優勝できるとは思ってなかったので、とても嬉しいです」。

と、謙虚なコメントからインタビューが始まったが、実際には圧勝だった。ショートプログラムからただ一人の60点超えと2位以下に差をつけていたのだが、本人は、

「今季はフリーが崩れることが多かったので、フリーもしっかりやんなきゃ、と思ってました」。

慢心は一切なかったようだ。昨年は3月の北日本大会の直前に怪我をし、大会を途中棄権した。6月には試合に復帰したが、その後も復調には時間を要した。それが東日本ジュニア、全日本ジュニア、そして全日本選手権と、秋以降は大会を重ねるごとに良化している。

「先生方が沢山教えて下さって、それで大分良くなったかなと思います。今は岩本英嗣先生と中川雄介先生に教えていただいています。表現、スケーティングも沢山教えてくれるんですけど、ジャンプの指導も分かりやすいです」。

インターハイの後は、国体、チャレンジカップと試合が続く。2018年、ジュニアグランプリ・オーストリア大会以来の国際大会への派遣だ。

「今シーズンはジュニアグランプリに出られなかったんですけど、来シーズンは出られたらいいな、と思います」。

かつてはジャンプが得意との印象が強い選手だったが、現在ではスケーティング、表現などオールラウンドに力をつけている。来季の活躍が今から楽しみだ。

2位 江川マリア

2位という成績は、本人にとっても望外の結果だったようだ。

「本当にびっくりしています。目標は入賞だと自分で思っていたので、表彰台、それも2位というのはびっくりしましたし、とても嬉しいです」。

ノービス時代から期待されていた選手だ。しかしジュニア昇格後、なかなかジャンプが安定せずに目立った成績を残せていなかった印象だ。それが今季、ジャンプが安定してきたことで結果を出しつつある。

「特に昨季は、西日本落ちなどいい成績を残ませんでした。中学3年生で受験生だったこともあり、練習ができていなかったんですけど、高校に入って、中学生の時よりもたくさん練習できる環境が整ったこともありますし、ノービスからジュニアに上がった頃にコーチを変えてやってきたことが、今年につながったんだと思います」。

中庭健介コーチはこの結果にさぞ喜んだのではないだろうか?

「はい、喜んでました。中庭先生は、インターハイでは2位が最高だったみたいで、それと並んだと喜んでいました」。

インターハイという大会の印象については、

「他の大会ではないような温かい感じです。学校の先生も来てくれたりして、全日本ジュニアとは違った空気感で楽しく滑れました」。

来季に向けての目標を聞いてみた。

「今季は全日本ジュニアには出場したんですけど全然いい演技ができなかったので、自分の最高の演技ができるようにして、全日本ジュニアで結果が付いてくるようにしたい。良い舞台で良い演技ができるようにしたいです」。

期待されていた選手がようやく軌道に乗った印象だ。来季の更なる活躍に期待したい。

3位 三宅咲綺

12月の全日本選手権でも素晴らしい演技でアピールした、要注目の選手が3位に入賞した。

「内容は悪かったんですけど、結果はまずまずでした。ただフリーのジャンプが一つ(キックアウトで)なくなってしまったので、それがなければ2位だったのかな、と後悔しています」。

昨季からトリプルアクセルに挑戦しており、その点でも注目を集めていた選手だが、今回の試合では挑戦を回避した。

「年末に怪我をしてしまって、それからアクセルの調子が悪くなったんです。また来季に向けて頑張ります」。

彼女はジャンプの能力だけでなく、表現力にも秀でた選手だ。ラテンなど情熱的な音楽を情感を込めて表現する。その点にもこだわりがあるようだ。

「ジャッジの目を見て踊ることとか、観客に楽しんでもらえるような演技をしたいといつも思って練習しています」。

ところでこのインターハイという舞台、意外にも過去にはあまり良い思い出がなかったようだ。

「フリーに進んだことがなかったんです。全中とインターハイはあまりいい思い出がなくて、ショートが凄く怖かったんですけど、ショートを通ったから、もう思いっ切りやってみよう、という感じでやれました」。

来季に向けての目標を聞いてみた。

「今の中3の子達が上手なので、来年のインターハイでは負けないように頑張りたいです。ショートでトリプルルッツ+トリプルトウ、トリプルアクセルを入れることが来季の目標です」。

その内容を決めることができれば、一気にトップ選手に躍り出ることも可能だ。国際大会への出場という夢も叶うことだろう。

4位 荒木菜那

本来ならば優勝していておかしくない選手だ。しかし今季は思うようなシーズンを送ることができなかった。この試合も、決して好調とは言えない中、精一杯の演技を披露した印象だ。 「正直、練習はショートばっかりでフリーができていなくて、今回の点数も本当にひどいんですけど、今できることは全部出せたし、団体、学校としても迷惑のかからない程度に押さえられたのでほっとしてます」。

同じ中京大中京高校の山下真瑚が直前に欠場となった。チームとしても大変だったのではないだろうか。

「真瑚が出られなくなって、一緒に出ようと言っていたのですごく残念だったんですけど、真瑚にも『頑張って』って言われたし、やはり自分だけの試合じゃないので、そういうところは緊張感のある試合だったと思います」。

今季、夏場にはとても調子が良く、飛躍が期待されたのだが、その後、調子を崩し、不本意なシーズンとなってしまった。

「まだ調整が下手な部分があるな、と感じています。やっとモチベーションを上げよう、って切り替えられた時に怪我をしてしまいました。怪我を全部治してから次に進もうと思っているので、悪いものを今季で全部出し切って来季に挑めたら、と思っています」。

大学生となる来季については、

「今季は全日本の舞台に立つことができなかったので、もう一度その舞台に戻れるように頑張ることと、そして今後また海外派遣に選ばれるような選手になりたいです」。

今のところ確定はしていないが、シニアに上がる可能性が高いという。一回り大きく成長した演技を期待したい。

5位 浦松千聖

最終滑走の浦松千聖が5位となった。展開的にはより上の順位も狙える状況だったが、それによって非常にプレッシャーのかかる状態でもあった。

「団体優勝もかかる中で、チーム戦での難しさというのを凄く知ることができました。プレッシャーが大きかったので焦りが出てしまいました。調子は良かったので悔しいです」。

今回は優勝候補の中京大中京高校の一員として出場した。チーム戦として優勝を狙うプレッシャーは、体験してみてどうだったのだろうか?

「あとの二人は凄く良かったので、自分だけフリーでミスが出てしまったのが悔しいです」。

とはいえ中京大中京高校は見事に総合優勝を果たした。自身も今季は初のジュニアグランプリ出場、そして全日本ジュニアで健闘し、全日本選手権にまで駒を進めた素晴らしいシーズンとなった。

「自分にとって飛躍の年になったし、沢山の経験が積めたシーズンだったんですけど、こういったプレッシャーのかかる舞台っていうのはこれからも何回もあると思うので、こういった中で良い演技ができるようにならないと、と思います。今季はプレッシャーもなく伸び伸びできたんですけど、来季からはもっとプレッシャーがかかると思うので、そういった場面で強くなれる選手になりたいです」。

来季の目標は、「ジュニアグランプリに2戦出ることと、世界ジュニアの舞台に近づくこと」だという。十分に達成可能な目標だろう。素晴らしい演技を楽しみにしたい。

文:写真 by 中村康一(Image Works)
代替画像

中村康一(Image Works)

フィギュアスケートを中心に活躍するスポーツフォトグラファー。日本全国の大会を飛び回り、選手の最高の瞬間を撮影するために、日夜シャッターを押し続ける。Image Works代表。

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