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フィギュア スケート コラム 2020年1月24日

全米フィギュアスケート選手権2020 アイスダンスのみどころ

フィギュアスケートレポート by ウェイ・ション
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先月に行われたグランプリ・ファイナルのアイスダンスの試合で、マディソン・チョック/エヴァン・ベイツ組とマディソン・ハッベル/ザカリー・ダナヒュー組がそれぞれ2位と3位に入賞し、アメリカ勢の実力を示した。今年の全米選手権も去年に続き、この2組による一騎討ちになるであろう。


シーズンベストが僅差で優位に立ち、先月の直接対戦で勝ったのは、チョック/ベイツ組。7年連続全米選手権の表彰台に登ったほどの実力者だが、ファイナルのメダルを手に入れたのはなんと4年ぶりだ。そんな「復活」の鍵となったのは、今シーズンの素敵なプログラムではないだろうか。技術力が優れてカリスマ性もある二人だが、今まで滑っていたプログラムは印象に残る「代表作」が少なく、一時期演技構成点が伸び悩んだが、今シーズンのフリーダンス「Egyptian Snake Dance」はまさに彼らにぴったりなものだ。本人たちによると、この曲は2人がオフシーズンの旅行中に見つけたもので、「パワフルでありながらも神秘的で、今まで滑っていたものと全く違う」そうで、曲を聞いたマリー=フランス・デュブレイユコーチに「1人の旅人が蛇に出会った」とストーリーを考えてもらい、振り付けてもらったという。プログラムを見ると、ミステリアスな雰囲気が濃厚で、ときに色気も感じ、チョックのエキゾチックで妖艶な魅力を最大限に引き出した「武器」になったと強く思った。その結果、今シーズンの各大会で観客から大喝采をもらい、ジャッジたちにも高い演技構成点をつけてもらった。今大会で勢いに乗り、2つのプログラムをきれいに滑れば、5年ぶりに全米王者の座に就くのも不可能ではない。

もちろん、同じくモントリオールで一緒にデュブレイユ/ローゾン夫妻に師事するハッベル/ダナヒュー組が全力でタイトルを守ろうとする。筆者から見て、この組の最大の武器は、精度が極めて高い技術力と大きなミスをしない安定感だ。そのため、小さなミスでも大きな減点になりがちなリズムダンスにおいて、今まで通り実力を発揮できれば、優位に立つ可能性が高い。一方、2人のフリーダンスに関しては、しっとりとしたバラード曲のイメージが強いが、今シーズンはあえて映画「アリー/スター誕生」のサウンドトラックに挑戦することにした。「コーチに『あなたたちにいつもバラードだけをやってもらいたくないわ。サザン・ロックのこの曲も試してみて、絶対うまく演じられると思う』と言われ、やるなら今年しかできないと思ったので、やってみたけど、意外と私たちのスタイルに合っているんだよ」とハッベルが語ってくれたように、このプログラムは確かにいいサプライズとなった。全米の会場で、アメリカの観客におなじみのヒット曲をもし完璧に滑り、映画のストーリーを感情たっぷりと演出できれば、きっと大歓声が沸き起こるであろう。となると、目標としていた全米選手権3連覇も果たせるであろう。


金メダル争いはもちろん、表彰台をめぐる戦いにもぜひ注目したい。

昨年の銅メダリスト、ケイトリン・ホワイエク/ジャン=ルック・ベイカー組は、2014年世界ジュニア王者になった以来、伸び悩んだ時期があったが、先シーズン練習拠点をモントリオールに移してから、新たなエネルギーとインスピレーションをもらい、技術面においても表現面においてもまた成長を遂げた。今年のフリーダンスの曲はベートーヴェン交響曲第5番だが、ギターによるフラメンコ風のアランジで、とても斬新で独特である。2人の成熟さを示したプログラムなので、ぜひ見てみたい。


上記3組がトップ3を占める確率が非常に高い中、4組まで上がれる表彰台をめぐり、次世代の若手カップルたちによって混戦が展開される予想だ。中でも2016年の世界ジュニア王者ロレイン・マクナマラ/クイン・カーペンター組、クリスティーナ・カレイラ/アンソニー・ポノマレンコ組、そして新たに結成したキャロライン・グリーン/マイケル・パーソンズ組たちのベストスコアが近いので、本番でのパフォーマンスはとてもとても楽しみだ。



文:ウェイ・シュン

代替画像

ウェイ・ション

中国広東省出身、早稲田大学アジア太平洋研究科を卒業。 コンサルタントを勤めながら、フリーランスのジャーナリスト・通訳として活動。数々のフィギュアスケート国際大会で記者会見の通訳を担当する経験があり、昨シーズンから国際スケート連盟ホームページの選手フィーチャーインタビュー・記事も執筆。趣味はフィギュアスケートの各種記録、データを覚えること。

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