人気ランキング
J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題
コラム&ブログ一覧
ここ数年、女子フィギュアスケートの焦点はロシアや日本に当てられているが、昨年の全米メダリスト、アリサ・リュウ、ブレイディ・テネル及びマライア・ベル3選手は、グランプリシリーズ(リュウはジュニア)やチャレンジャーシリーズなどのハイレベルな大会で、ロシア女子の覇権に挑戦し、アメリカ女子の存在感を示している。今年の全米も、この3人による三つ巴の戦いになる予想だ。
昨年の大会で、アリサ・リュウは13歳にして3つの3アクセルを着氷し、世界を驚かせながら初戴冠した。今シーズンのショートプログラムは昨季からの持ち越しで、構成と振り付けに大きな変更がなく、安定感と完成度の向上を図る。一方、フリースケーティングには、新たに習得した大技4ルッツを入れ、さらなる高得点を目指す。その結果、ジュニア・グランプリ2戦とも金メダルを収め、ファイナルでは銀メダルを獲得した。しかし、ファイナルのフリースケーティングでは、2本の4ルッツがともに回転不足を取られ、減点が大きかった。それに対して、リュウは「1本にしとけばよかったが、やっぱり試合を楽しめたかった。挑戦して楽しかった。」と語り、積極的な姿勢を示した。今大会でも4ルッツを入れる予定だが、成功させれば、全米選手権女子史上初の4回転になる。また、ファイナルの後、リュウはイタリアにしばらく残り、元世界女王のカロリナ・コストナーの元でスケーティングと表現力の指導を受けたという。今大会どんな演技を出し、どんな成長を見せてくれるのか、本当に楽しみである。
一方、4回転や3アクセルなどの大技を持っていないが、2018年の全米女王ブレイディ・テネルは質の高いエレメンツと抜群な安定感を以て、国際大会で好演技を出し続け、実績を重ねた。さらに、グランプリ・ファイナルへの進出を果たし、5位に入ったことで、世界のトップスケーターとしての地位を確立した。特に注目すべきはやはり表現力の大きな成長だ。今まで「体が硬い」「感情が足りない」と指摘されてきたテネルだが、今シーズンのプログラム、特にフリースケーティングの「ニュー・シネマ・パラダイス」のバラード曲に合わせて滑ると、手足の力加減を程よくコントロールでき、しなやかさがだいぶ増し、表情も柔らかくなった。その結果、今までの高い技術点に加え、演技構成点も徐々に上げてきた。「大技」は持っていないが、そんな進歩を遂げた彼女は、今大会でノーミスの演技を2つ揃え、成熟した表現力を見せれば、王座奪還が決して不可能ではない。
昨年の銅メダリスト、シーズンベストがテネルまで僅か3点しか差がないマライア・ベルも優勝候補である。今シーズンのグランプリ・シリーズでは2戦とも銅メダルを収め、高い技術力と安定感を魅せたが、彼女の最大の「武器」は、なんと言っても観客を引き込む力であろう。トレーニング・メイトだったアダム・リッポンが振り付けたリズム感あふれるショートプログラムでは、女性らしい可愛さとセクシーさを存分演出してくれるが、フリーの「ハレルヤ」ではまたしっとりとした雰囲気を醸し出し、見るものを魅了する。この2つのプログラムは絶対に見逃せない。 今シーズンで収めた実績を見て、この3選手が表彰台に一番近いと考えられるが、他にも何人かの有力選手が挙げられる。
2017年の全米女王たるカレン・チェンはケガで昨年の大会を欠場したが、オフシーズンからグランプリシリーズにかけて徐々に調子を上げ、2年ぶりに戻ってきた全米選手権でどんな演技を見せてくれるのか、実に楽しみだ。
そしてアンバー・グレンやスター・アンドリュース、ハンナ・ハリル(田村花亜)などの実力者もおり、完璧な演技を2つ揃えれば、4人まで上がれる全米の表彰台を十分狙えるであろう。
最後に忘れてはならないのは、ここ数年自分自身との戦いを勝ち抜け、ようやく今大会に戻ってきた元全米女王グレイシー・ゴールド。現地に入ってから、彼女は公開練習で3ルッツのコンビネーション・ジャンプをきれいに着氷するなど、心身ともいい調子を示した。待ち遠しかった彼女の復帰の舞を、一刻も早く見てみたい。
文:ウェイ・シュン
ウェイ・ション
中国広東省出身、早稲田大学アジア太平洋研究科を卒業。 コンサルタントを勤めながら、フリーランスのジャーナリスト・通訳として活動。数々のフィギュアスケート国際大会で記者会見の通訳を担当する経験があり、昨シーズンから国際スケート連盟ホームページの選手フィーチャーインタビュー・記事も執筆。趣味はフィギュアスケートの各種記録、データを覚えること。
あわせて読みたい
-
フィギュア スケート コラム
-
フィギュア スケート コラム
-
フィギュア スケート コラム
-
フィギュア スケート コラム
-
フィギュア スケート コラム
田中梓沙選手&西山真瑚選手「2人だからこそ、より深く表現できる」 | フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋
J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題
ジャンル一覧
人気ランキング(オンデマンド番組)
-
アルペンスキー FIS ワールドカップ 2024/25 男子 ジャイアントスラローム ゼルデン/オーストリア(10/27)
10月27日 午後5:45〜
-
10月26日 午前10:20〜
-
フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋 【宇野昌磨】
9月17日 午後10:00〜
-
世界で躍動SNOW JAPAN!FISワールドカップ2024/25 ~スキー&スノーボード ナビ~
11月12日 午後2:30〜
-
フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋 【24/25シーズン予習スペシャル】
10月29日 午後9:00〜
-
町田樹のスポーツアカデミア 【Dialogue:研究者、スポーツを斬る】 ~現代におけるコーチの存在意義を求めて 日本体育大学 体育学部 佐良土茂樹准教授#15
9月24日 午後12:30〜
【Dialogue:研究者、スポーツを斬る】 ~現代におけるコーチの存在意義を求めて~ 日本体育大学 体育学部 佐良土茂樹准教授
-
スノーボード FIS ワールドカップ 2024/25 男女 ビッグエア クール/スイス(10/19)
10月19日 深夜2:50〜
-
町田樹のスポーツアカデミア 【Forum:今シーズンのルール改正点とISUの中期ビジョン】 #16
10月22日 午後9:00〜
J SPORTSで
フィギュア スケートを応援しよう!