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ロシア女子はやっぱり強い!エテリ・トゥトベリーゼはやっぱり強い!と強く思った大会だった。優勝したアリーナ・ザギトワ、2位のエリザベット・トゥルシンバエワ、そして3位のエフゲーニャ・メドヴェージェワは全員エテリコーチの元で育った選手であり、トップ女子スケーターを輩出したエテリ組の凄さに改めて感服した。
そして4位から6位は紀平梨花、坂本花織、宮原知子と日本勢が並んだ。ホームで戦う、そしてメダルを期待されるプレッシャーからか、3人とも自分の実力を出しきれなかった。決して悪い演技をしたわけではないが、強いライバルが自己ベストを出している中、惜しくも表彰台を逃した。改めて今大会のレベル高さを認識した。
アリーナ・ザギトワ
久々にノーミスの演技を2つ揃えて圧勝したアリーナ・ザギトワは、ようやく念願の世界選手権金メダルを手に入れた。ロシア選手権と欧州選手権で驚きの失敗をしてしまい、連敗したザギトワは一時期、調子がかなり疑問視されていたが、今大会に臨んで、エテリコーチは弟子が数人出場する世界ジュニア選手権にも行かず、彼女のためにロシアに残って強化練習を指導したという。そして大会の1週間前に、チームロシアはすでに福岡に着き、調子を整えていた。このような練習と調整が効いた。本番に出たザギトワは五輪女王らしく、圧巻の演技で自身が持つトータルスコアの世界最高得点に肉薄の高得点を叩き出し、彼女に対する疑問の声を黙らせた。一つ一つのジャンプをきれいに着氷し、高いGOEを稼いだ一方、表現面においても欧州選手権で見せていた迷っているような表情ではなく、自信を以てカルメンを演じた。このように「復活」して、かつ、現状にとどまる気がまったく見えない女王ザギトワのこれからのスケート人生、とても楽しみだ。
エリザベット・トゥルシンバエワ
銀メダルを獲得したのは、意外にもカザフスタンのトゥルシンバエワだ。しかしよく考えると、彼女が四大陸選手権に続きユニバーシアードでも4回転サルコウに挑んだ果敢な姿を思うと、彼女がシニア女子初の4回転を降りたことは意外でもなかったし、今シーズン後半で安定していた演技と成熟さが増してきたスケーティングを見ると、高得点を叩き出したことも意外ではなかっただろう。ぜひ彼女の4回転だけでなく、今大会で彼女が見せた膝の使い方や滑りのスピードなどの面での成長にも注目してほしい。
エフゲーニャ・メドヴェージェワ
3位は「メドヴェージェワはまだ健在だ」と宣言したエフゲーニャ・メドヴェージェワ。昨夏から練習拠点をブライアン・オーサーコーチの元に移し、いろいろ不慣れな点から一時期低迷していた元世界女王は、徐々に調子を取り戻し今大会で「復活」を目指していたが、ショート前日の練習で足をケガしてしまい、思う通りの演技ができるかが懸念されていた。しかし、彼女はやっぱり強い。意地で挑んだ本番は回転不足やステップアウトのミスがあったが、今シーズン最も完成度の高い演技を2つ揃えた。フリーが終わった直後の雄叫びを含め、血が滲むような彼女の演技はぜひ見逃さないように。
紀平梨花
今シーズン、美しき嵐の如く女子シングルの戦野を急襲した紀平梨花は、ショートで3アクセルの回転が抜けた失点が大きすぎて、最終結果はわずか0.31点の差で表彰台まで届かなかった。でもやはり、今シーズン何度も逆転劇を起こしたフリープログラムを見てほしい。なぜなら、冒頭の3アクセル-3トゥーループが本当に完璧と言えるほど見事なものだったし、2つ目の3アクセルで転倒したものの、後のエレメンツはすべて高い質で完成したからだ。ステップシークエンスが独特で、紀平選手のスピード感と力強さをよく表していた。このような高い技術力と16歳とは思えないほどの表現力を持つ紀平選手、今後のポテンシャルはまだまだ計り知れない。
坂本花織
5位につけたのは全日本女王たる坂本花織。ショートではダイナミックなジャンプと繊細な表現で自己ベストを更新し2位につけたが、フリーでは緊張からか、プログラム後半の得意とする3フリップが1回転になってしまった。ミスした後、すぐに気を取り直して、きれいなスピンと感情が昂ぶるコレオシークエンスを披露し、最後の3ループで2トゥーループをつけて失点を最小限に抑えたが、ハイレベルな今大会ではそれでも大きすぎた。しかし、この演技は決して悪いわけではないし、演技構成点では目標としていた9点台にも乗ったので、ぜひこの経験を活かしこれからもさらなる活躍を見せてほしい。
宮原知子
先日21歳の誕生日を迎えたばかりの宮原知子は、今大会に出場した女子選手の中ではもはやベテランだ。そして、彼女が今大会で見せたスケーティングは、筆者から見ればやはり最も成熟で、最も優雅だった。「Tiny Queen(小がらの女王)」と愛称が付けられたように、宮原は女子スケーターの中でも一番小がらのほうだが、氷上で滑り出すと、まさにショートプログラム「子雀に捧げる歌」の題名のように、子雀の如く自由に飛んでいるように見えた。ジャンプで高い加点を稼げず、かつミスしたこともあり最終的に6位にとどまったが、彼女の2つのプログラムとも何度も見たいものだ。
その他、7位はブレイディ・テネル、8位は欧州女王ソフィア・サモドゥーロワ、9位はマライア・ベル、そして10位はイム・ウンスと続く。この4選手も完成度の高い演技を2つ揃え、200点超えの高得点を叩き出した。
今大会の結果を見ると今の女子シングルの競争は本当に激しく、高い完成度が求められる一方、より一層高いところを目指すにはいよいよ3アクセルや4回転を必要とする日が近づいてきている予感がする。
ウェイ・ション
中国広東省出身、早稲田大学アジア太平洋研究科を卒業。 コンサルタントを勤めながら、フリーランスのジャーナリスト・通訳として活動。数々のフィギュアスケート国際大会で記者会見の通訳を担当する経験があり、昨シーズンから国際スケート連盟ホームページの選手フィーチャーインタビュー・記事も執筆。趣味はフィギュアスケートの各種記録、データを覚えること。
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