人気ランキング
J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題
コラム&ブログ一覧
Text by 中村康一(Image Works)
1位 坂本花織
今回のインターハイは過去に例を見ない盛り上がりを見せ、大成功に終わった。その要因として、坂本花織の参戦が大きかったことは間違いない。全日本選手権の優勝者がインターハイに出場するというのは異例のことなのだ。四大陸選手権、世界選手権を控えた立場でありながら何故彼女は参戦したのか、それは神戸野田高校に1年生の選手が加入し、メンバーが3名揃ったことが最大の理由だったようだ。 「全中は2位で終わってしまったんで、インターハイは絶対に取りたいと思っていました。しかも今年、学校で3人揃って、表彰台も行ける、と思ったので。絶対出なかったら悔い残るな、って」。
とはいえ、周囲からの反対は根強かったようだ。 「9割ぐらいの人に反対されて、あんまり賛成してくれる人がいなくて、1週間ぐらい前も、『出なくていいんじゃないの?』と凄い言われたんですけど、自分の中で固い意志があって、そこは譲れなかったです」。
3名のフルメンバーで出場し、神戸野田高校の名前を売り込むことに強いこだわりがあったのだ。 「高校の受験日がユースオリンピックと被っていて、受けさせてくれるのが神戸野田高校しかなかったんです。高校生のうちにオリンピックも経験できたし、四大陸も優勝できたし、全日本も優勝できたし、結果で恩返しできたかな」。
掛け値なしに十分すぎるほどの恩返しだと感じる。そして恩返しの集大成として、3月の世界選手権では優勝を狙うと宣言した。 「世界選手権は、日本開催でもあるし、来シーズンはロシアのジュニアの子たちが上がってきます。今年が世界一になるチャンスだと思っているので、強気で行きたいと思っています。優勝を狙います」。 インターハイ出場者がその年の世界選手権を優勝したら、文字通り空前絶後の快挙だ。大いに期待したい。
2位 横井ゆは菜
今季、大きな進歩を遂げ、全日本ジュニア優勝、そして世界ジュニアの代表としてインターハイに出場した横井ゆは菜。高校3年生、最後のインターハイは実りの多い大会となったようだ。
「最後のダブルアクセルの失敗がもったいなかったんですが、終始落ち着いて演技できたのでそれは良かったと思います。点数的には安定してきていて、ジュニア最後のシーズンで、自信だったり、試合前の気持ちの持って行き方だったりを学べたと思います」。 今季の最大目標、世界ジュニアに向けていいステップとなった。
「しっかり自分のできることをやり切れば点数もいただけるっていうことが分かったので、それを生かして、自信を持って、楽しんで、でも集中してやりたいと思います」。
更にもうひとつ、横井選手にとって3年越しの目標を成し遂げた大会ともなった。学校別成績で、中京大中京高校は3年ぶりの総合優勝を果たしたのだ。彼女が1年生の時に連覇が途切れ、ずっと責任を感じていたのだという。 「私のせいで優勝できない、みたいになっていたので、最後の年に優勝できて、そして頼もしい後輩たちがいてくれて本当に助かりました。有終の美ということで、ここから後輩が連場を続けていってくれればと思います」。
今年のインターハイは、全日本チャンピオン、坂本花織が出場したことが話題となったが、その演技から燃えるものは大きかったようだ。 「今日の坂本選手の演技、ピアノレッスンを観て、“フリーレッグで曲を表現している”のが分かったので、そういう表現ができるようになりたいと思いました」。 そして今後の目標については、 「世界ジュニアで結果を残して、来季のグランプリシリーズに出られるようにしたい。もし出られたら、自分のカラーをシニアの舞台で出したいです」。 来季のシニアデビューに向けて、まずは世界ジュニアで少しでも上の順位を獲得することが必要となる。吉報を楽しみに待ちたい。
3位 白岩優奈
ショートでは出遅れてしまったが、フリーで巻き返し、総合3位へと順位を上げた白岩選手。フリーではサルコウジャンプでミスをしてしまい、パーフェクトとは行かなかったのだが、十分に素晴らしい演技だった。 「サルコウが決まっていれば130点台に乗っていたと考えると、まだまだ伸びしろはあると思いますし、ショートの悪い流れから切り替えて自分の演技ができたことはいいことだと思います。良かった点は、スピンがちゃんとレベル4を取れたこと、決まったジャンプは加点がもらえたこと、ショートから切り替えて自分の演技ができたことです」。
今季はシニアの国際大会で活躍しているが、そこからジュニアプログラムを作り、インターハイ、世界ジュニアと戦うことになった。戸惑い、やりにくさなどはなかったのだろうか? 「あんまりそれを考えている場合じゃなくて、自分が世界ジュニアに出る意味を考えると、(フリープログラムが)短くなって滑りにくいからできなかった、とは言っていられません。大分ジュニアのプログラムに慣れてきたので、このまま滑り込めたらいいと思っています」。 今季戦ったグランプリシリーズとは全く別物の雰囲気だったはずだが、「どの試合も大切なので、ひとつひとつ結果を残そうと思ってやっていました」と、目の前の試合を精一杯にやり遂げた結果だったようだ。
4位 山下真瑚
今季、グランプリシリーズで表彰台に乗るなど躍進を遂げた山下選手だが、シーズン後半は不本意な試合が続いてしまっている。この試合も反省点の目立つ演技となってしまった。
「これが実力かな、って思って。でも一番悔しかったのはジャンプのミスとかじゃなく、滑りが全然伸びがなかったことです。自信がなかったり、今まで練習の成果が出るので、練習不足かな、と思います」。
彼女は今季、靴の新調がうまく行かずに苦しんだことがあったが、このインターハイの前にも再び靴を替えたのだそうだ。 「1週間ぐらい前にまた靴を替えて、調子は上がってきたんですけど、ショートが終わった後に足を痛めてしまいました。靴が当たっているので曲げづらかったりしたんですけど、今回の自分の演技には関係ないと思っていたので、できなかったのは足のせいではないです」。 と、靴を言い訳にしたくない思いがにじみ出たコメントだったが、影響はあったのだろう。
個人成績では納得が行かない大会となってしまったが、学校対抗では見事に優勝を果たした。 「ゆは菜ちゃんの最後の年に優勝できて良かったです。先輩方が素晴らしかったです。私はやっぱり自分の納得の行く演技ではなかったし、全然納得できないです。来シーズンは、いつでも手を抜かないようにしたいです」。 この反省を生かし、来季は更なる活躍を期待したい。
5位 荒木菜那
完璧な演技ではなかった荒木選手だが、調子が上向いていることを実感し、手応えを掴んだ試合となったようだ。 「目標にしていたノーミスはできなかったんですけど、緊張感のある中で、今シーズンなかなか決まらなかった3ルッツ+3トウが決まったのは良かったです」。 そして、学校別では見事、優勝を果たすことができた。
「去年は優勝を狙っていたんですけど優勝できなくて、今年こそ優勝したいという気持ちが強かったし、真瑚と二人で『ゆはちゃんに良い思い出で終わってもらいたい』という気持ちもあったので、優勝できて良かったです」。 今季、荒木選手はフリーの仕上げがうまく行かず、ショートで良い演技をしてもフリーで崩れる試合が多かったのだが、シーズン後半になってようやくフリーが仕上がってきた印象だ。
「やはりシーズン最初の方の試合よりは自分の演技ができたかなと思うんですけど、まだしっくりいっていないところがあるので、そこを次の試合までに仕上げたいです」。 来季こそは今年叶わなかったファイナル出場、そして世界ジュニアでの活躍が観たいものだ。
6位 青木祐奈
「ジャンプを全部決めることを目標にしていたんですけど、二つ目のルッツを失敗したことが悔しい。でも全体的には今シーズンの中で一番良かったかなと思います」。 と、反省点を挙げながらも表情は終始明るかった青木選手。笑顔で大会を終えることができた。
「いつもなかなか思うようにできなかったんですけど、今シーズンを通して色んな大会に出て、色んな経験をして、沢山刺激を受けてきたので、それができたかな、と思います」。
今季は3ルッツ+3ループの確率が上がったことに加え、以前苦手にしていたトウループを克服しつつある印象だ。 「前は苦手だったんですけど、大分決まるようになって、試合でも入るようになってきました。ルッツ+ループも練習から決まるようになってきました。今季、残りの1試合はバヴァリアンオープン。シニアで出るので、体力が心配なんですけど、今回の失敗をいい方向に持って行きたいというのと、シーズンオフになったらトリプルアクセルの練習をしたいと思います。来季はまだ決定ではないんですけど、シニアの可能性が大きいかな、と考えています」。
そう語っていた青木選手だが、この直後に急遽、国体へ出場することになった。休息の間もないハードスケジュールだったが、バヴァリアンオープンでも良い演技ができたようで何よりだった。 今回は学校からは一人の参加だが、「名前を売るチャンスですし、その結果、後輩が入ってきてくれたら嬉しい」と語る。まだ2年生なので、来季もインターハイに出場する可能性がある。「来季はショート、フリー、ノーミスで揃えて表彰台を狙いたい」と意欲を見せた。
7位 松原星
演技後に感想を尋ねたのだが、 「特に感想はありません。特に良かった点も悪かった点もありません」。
との素っ気ないコメント。直後に国体を控えていたため、コンディションを落とさないことで頭が一杯だったようだ。ただ今季は松原選手にとって大きな進歩を遂げたシーズンとなった。東日本選手権で優勝を果たし、全日本選手権でも良い演技でアピールし、新人賞を獲得することができた。この点については本人も、 「行ける最大のところまでは行けたんじゃないかな、と思います」。
と、満足の行く結果だったようだ。ただ、この大会で来季に向けての課題もはっきりした。 「ショートをノーミスで決めてもあの点数しか出なかった。少しでもスケーティングを良くしたいです」。 と、PCS、及びGOEの加点を改善することを来季の目標に掲げていた。元より、練習でのパフォーマンスの素晴らしさは良く知られている選手だ。来季は更に上を目指してもらいたいものだ。8位 渡辺倫果
8位入賞となった渡辺選手。現在、カナダ、バンクーバーを拠点としており、全日本後には一旦カナダに戻り、インターハイのために再び帰国したそうだ。 「ギリギリ(笑)入賞できて良かったと思ってます。最初は緊張していたんですが、そのあと引きずらずにできたので良かったかなと。カナダを出るまではルッツが全然跳べなくて、悪い状態だったんですけど、日本に来てから良くなって、ショートではルッツを決めることができました。ただフリーでは緊張から最初のルッツが崩れてしまいました。でも2回目のルッツを跳べたので良かったです。気持ちの面ではそんなに引きずらずにできたので、少し成長できたかな、と思ってます」。 今回、青森山田高校は渡辺選手のみの出場だった。他の学校がチームで出場しているのに憧れると話してくれた。
「サッカーで青森山田が優勝して、凄いな、って思って、真凜ちゃん出てくれるかな、と期待してたんですが残念でした」。 カナダに渡って2シーズン目、今季の結果には納得していないようだ。
「今年、目標はあったんですけど、それに向かって現実的に行ける練習をしてきたか、と言われると足りなかったと思うので、来季は目標を立てて、それに向かっていける練習をしたいです。来季こそは世界ジュニアに出たいと思っています」。 ずっと取り組んでいるトリプルアクセルも、練習で質の高いものが跳べるようになってきているという。来季は是非試合で決めてもらいたいものだ。
中村康一(Image Works)
フィギュアスケートを中心に活躍するスポーツフォトグラファー。日本全国の大会を飛び回り、選手の最高の瞬間を撮影するために、日夜シャッターを押し続ける。Image Works代表。
あわせて読みたい
-
フィギュア スケート コラム
-
フィギュア スケート コラム
-
フィギュア スケート コラム
-
フィギュア スケート コラム
-
フィギュア スケート コラム
田中梓沙選手&西山真瑚選手「2人だからこそ、より深く表現できる」 | フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋
J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題
ジャンル一覧
人気ランキング(オンデマンド番組)
-
アルペンスキー FIS ワールドカップ 2024/25 男子 スラローム レヴィ/フィンランド(11/17)
11月17日 午後5:45〜
-
アルペンスキー FIS ワールドカップ 2024/25 男子 ジャイアントスラローム ゼルデン/オーストリア(10/27)
10月27日 午後5:45〜
-
10月26日 午前10:20〜
-
世界で躍動SNOW JAPAN!FISワールドカップ2024/25 ~スキー&スノーボード ナビ~
11月12日 午後2:30〜
-
町田樹のスポーツアカデミア 【Forum:今シーズンのルール改正点とISUの中期ビジョン】 #16
10月22日 午後9:00〜
-
フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋 【宇野昌磨】
9月17日 午後10:00〜
-
スノーボード FIS ワールドカップ 2024/25 男女 ビッグエア クール/スイス(10/19)
10月19日 深夜2:50〜
-
町田樹のスポーツアカデミア 【Dialogue:研究者、スポーツを斬る】 ~現代におけるコーチの存在意義を求めて 日本体育大学 体育学部 佐良土茂樹准教授#15
9月24日 午後12:30〜
【Dialogue:研究者、スポーツを斬る】 ~現代におけるコーチの存在意義を求めて~ 日本体育大学 体育学部 佐良土茂樹准教授
J SPORTSで
フィギュア スケートを応援しよう!