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「ジュニア・ジェネレーション、シニアをぶっとばせ!」とばかりに、今年のロシア選手権は、エテリ・トゥトベリーゼガールズトップスリーの、アンナ・シェルバコワ(優勝)、アレクサンドラ・トゥルソワ(2位)、アンナ・コストルナヤ(3位)が表彰台を独占した。
このアンファン・テリブル(恐るべき子供たち)の大活躍はサプライズのように報道されたが、アクロバットスポーツ色が濃厚になったこの競技での「おチビちゃん」達の圧勝は、全くありえない話ではなかった。14歳のシェルバコワは、フリー冒頭で非常に美しい4回転ルッツを跳び、僅差で2位の、同じく14歳のトゥルソワは、アクセル以外の全種類の4回転(残りはフリップとループ)の習得に向け、練習を始めるという。
今回はフィギュア大国の底力を見せつけて、10位までの選手が200点を超えるというハイレベルな大会となったが、コストルナヤ以外のジュニア選手のスケート技術に物申す専門家や、14歳~15歳の選手の出場について疑問視または禁止を望むコーチなど、ブームということもあり、関係者からは喧喧囂囂と意見が噴出した。だが結局のところ、ロシアは現在「勝っている」ため、「スポーツはその時代のルールに則って行われるもので、それに従うべき」というのがロシアフィギュアの有り様だ。
その繁栄に大きく貢献しているのが、ロシア最強のチームを率いるエテリ・トゥトベリーゼだ。
優勝候補筆頭だったアリーナ・ザギトワこそショートプログラム首位からフリープログラムで12位と撃沈し、総合結果は5位と不本意な成績となったが、五輪女王になったことで様々な困難もあったことは想像に難くないので、今後を冷静に見守りたい。(最新情報では、ハーネス付きだが4回転フリップの練習を始めている。)
チームを離れたエフゲニア・メドベージェワは、練習拠点をトロントに移してまだ間もない。
ショートプログラムは14位、フリープログラムでは4位と巻き返して、最終結果は7位だった。
メディアは良きにつけ悪しきにつけ彼女の一挙手一投足について逐一報道し騒ぎ立て、スケート関係者達も熱弁を奮い、神様も呆れているのではないかという乱痴気騒ぎであった。メドベージェワ本人は聡明な選手なので、全てが自分自身にかかっていることは熟知していると思うが、移籍が吉と出るか凶と出るかは、それこそ「神のみぞ知る」だ。
表彰台の三選手は、体重から練習量(一日7、8時間)まで、毎日競走馬のように管理・調教されている。ジャンプ能力の高い選手を選抜し、軍隊のような、有意義且つ全く無駄のない、陸上と氷上での長時間の訓練を強いれば、このような結果が出るのは、さして驚くことでもないのかもしれない。
個人的に気になるのは、少女達の言動の内容もほぼ同一だということだ。選手としてだけでなく、人間性も画一的に製造されているのかと思うと、ちょっと背筋が冷たくなるのだが、そこが如何にも鉄の心を持った、彼女一流の指導力を持つエテリ・ゲオルギエヴナが「雪の女王」と畏れられる理由のひとつなのかもしれない。
アナスタシア・タラカノワ(13位)、ポリーナ・ツルスカヤ(14位)、ダリア・パネンコワ(18位)等、トゥトベリーゼのチームから離脱した選手は、目から「ガラスのかけら」が取れ、心の平安は取り戻したようだが、結果より心を選んだという形になった。
三人の可愛いメダリスト達は、今が人生最大のハイライト、人気バラエティー番組に出演したりして存分に今を楽んでいる。ただし、ソチ五輪優勝のアデリーナ・ソトニコワの現在の姿は、多分知らない方が良いだろう。
ロシアには「人生は平坦ではない、野原を突っ切るようにはいかない」という諺があるが、スケート選手のために「氷は滑りやすいから」という言葉を付け加えておきたい。

セルゲイ・ヴォルコフスキー
1967年ロシア生まれ。モスクワ大学日本語学科を卒業。
日本人と結婚し、ソ連崩壊を機に日本に移住。フリーランスの通訳・ジャーナリストとして活動。日本文化への関心が高じ、ロシア語で俳句を紹介するブログも執筆。ソチ五輪を始めとするフィギュアスケートの国際大会で、記者・通訳としても活躍している。
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