人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

フィギュア スケート コラム 2018年12月19日

ロシアフィギュアスケート選手権アイスダンスの見どころ

フィギュアスケートレポート by セルゲイ・ヴォルコフスキー
  • Line

試合の行方

ヴィクトリヤ・シニツィナ&ニキータ・カツァラポフ

ヴィクトリヤ・シニツィナ&ニキータ・カツァラポフ

毎年末、ロシア選手権が近づくたびに、ロシアのテレビ中継を吹き替えで放送出来たらどんなに面白いだろうか、と思ってしまう。

日本のように実況と解説が仲良く足並みを揃えて…のはずがない。タチアナ・タラソワ女史が解説のときは特に、放送席の喜怒哀楽が激しくなり、我々視聴者まで興奮して観入ってしまうのだ。

そんなタラソワ女史は、現役時代はペアの名選手、引退後は言わずと知れた、主にペアとアイスダンスのレジェンド・コーチであったため、アイスダンスの解説時は特に鼻息が荒くなる。

今回のロシア選手権の優勝争いは、ヴィクトリヤ・シニツィナ&ニキータ・カツァラポフ対アレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキンの一騎打ちとなりそうだ。

アレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン

アレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン

正直に言うと、大会を投げてしまったようにも見え批判を浴びた、去年のカツァラポフのフリーダンスからは、現在の彼等の姿を想像することは難しかった。自らを「エモーショナルな人間」と語るカツァラポフを、技術的にも彼に追いつこうと頑張りながら、忍耐強く支えるシニツィナが公私ともにパートナーであることが、彼にとっては非常に幸運だったと思う。

キャリアで最初にアイスダンスの指導を受けたコーチでもあるアレクサンドル・ジューリンが彼を見放さなかったことにも、彼は感謝するべきだろう。今季獲得したグランプリファイナルの銀メダルは、彼等とチームにとって大きな自信になったに違いない。

ステパノワ&ブキンには、ここ数年大きな期待を抱いているのだが、なかなかあと一歩突き抜けられずにいる。グランプリファイナルにも出場したが4位、自国のライバルにも敗れる悔しい結果となった。自分達の課題も分かっていてハードワークをこなしているが、得点アップに繋がらず、期待する評価を得られない今は、ひどくもどかしい思いだろう。でも、苦しいときこそ、踏ん張りどきだ。

ティファニー・ザホースキ&ジョナサン・ゲレイロもグランプリファイナルに進出して5位。いつもマイペースで明るくキュートな異色のカップルは、コーチをスヴェトラーナ・アレクセーエワ、エレーナ・クスタロワに変更し、環境を新しくしてから、地道な頑張りが実を結んで実力も兼ね備えてきた(ティファニーはロシア語も上手になってきた!)。

ティファニー・ザホースキ&ジョナサン・ゲレイロ

以上の3組がトップスリーだと思われるが、その他にも、べティナ・ポホワ&セルゲイ・モズゴフ、ソフィヤ・エフドキモワ&エゴール・バジン、ワレリヤ・デメンティエワ&アレクセイ・ノビコフ、アナスタシヤ・スコプツォワ&キリール・アリョーシン等々、個性豊かで魅力的なカップル達が出場する。

フィギュアスケートも時代によってルールが変わり、ロシアもまた、特にシングル種目においては、勝つため、点数を得るためには何でもするようになったが、ペア、そして殊にアイスダンスには、まだ「ロシアの魂」を表現する余地が残っているように思う。それはトップグループのみならず、今回出場するすべてのカップルに見ることが出来るだろう。

ロシアの魂について語るとき、私はロシアの文豪、ニコライ・ゴーゴリの『死せる魂』の一節が、最も言い得て妙だと思っている。 「いったい、思い切り橇をぶっ飛ばすのが好きでないロシア人などあるだろうか?酩酊し、どんちゃん騒ぎをやらかし、二言目には、「えいくそ、どうにでもなりやがれ」と吐き捨てるロシア魂、そんなロシア魂がどうしてそれを好かずにいられよう?」

タラソワ女史も含めて、私たちはそんな「ロシア」を選手達の演技に見たときに、思わず「Молодец!(マラヂェツ・良くやった!)と叫んでしまうのだ。

代替画像

セルゲイ・ヴォルコフスキー

1967年ロシア生まれ。モスクワ大学日本語学科を卒業。
日本人と結婚し、ソ連崩壊を機に日本に移住。フリーランスの通訳・ジャーナリストとして活動。日本文化への関心が高じ、ロシア語で俳句を紹介するブログも執筆。ソチ五輪を始めとするフィギュアスケートの国際大会で、記者・通訳としても活躍している。

  • Line

J SPORTSでは全種目放送! J SPORTSオンデマンドでは先行LIVE配信!

常に日本とトップ争いを繰り広げてきているフィギュア大国、ロシア。 ロシア代表の座を争う今大会は、世界で一番、華麗かつ過酷な戦いが繰り広げられること間違いなし! J SPORTSでは全種目放送! J SPORTSオンデマンドでは先行LIVE配信!

詳しくはこちら

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

人気ランキング(オンデマンド番組)

J SPORTSで
フィギュア スケートを応援しよう!

フィギュア スケートの放送・配信ページへ