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ISU世界フィギュアスケート選手権2018で銅メダルを獲得した宮原知子選手。初めてのオリンピックシーズンの戦いを終えて、シーズンを振り返ってもらいました。
もちろん、J SPORTSでブログを掲載している田村岳斗コーチもちょこっと登場。岳斗コーチには、特別編として、今シーズンの男子についても語っていただきました。
― 初めてのオリンピックシーズンを戦い終えてどのような感想をお持ちですか?
宮原 シーズンに入ってからは、良かった試合と悪かった試合はありましたが、世界選手権が終わって、やりきったという気持ちが強かったです。
― 初めてのオリンピック出場でしたが、世界選手権とはどんな違いがありましたか?
宮原 オリンピックというだけですごく楽しかったです。試合も生活もすべて楽しかったのですが、普段の代表のジャージとは違う公式ユニフォームを着たり、選手村に入ってみんなで生活するのも初めてでした。
田村 楽しかったってそこなの?(笑)。
宮原 リンクではいつもの代表ジャージでしたけど。
― オリンピック出場経験のある岳斗コーチから事前にオリンピックの雰囲気や心構えは聞いていましたか?
宮原 ハイ。でも、想像とは全然違いました。
田村 僕も全然覚えてなかったことに気が付きました(笑)。
― 試合に関してはどうでしたか?
宮原 団体戦と個人戦があったのも今までとは違いましたし、自分がオリンピックに来られたという嬉しさでわくわく感がありました。楽しむときは楽しんで、試合の時との切り替えの仕方も今回学ぶことができました。
田村 そこで浮かれないのが宮原です。
― もともと緊張するタイプだったと思いますが、4年に1度の大舞台で緊張することなく最高の演技ができたのはどのような理由ですか?
宮原 けが明けのNHK杯のとき、本当に楽しんで試合ができました。失敗はあったのですが、自分の中では悪い試合ではなかったんです。その経験がシーズン全体にいい影響を与えてくれました。
― それではオリンピックの試合についてお伺いします。団体戦を終えた時はどんな気持ちでしたか?
宮原 演技自体はよかったので、あまり点数は気にしないようにして、次こそはちゃんと評価されるようなジャンプを意識して練習に取り組みました。
― 国別対抗戦も含め、宮原選手は団体戦をとても楽しんで滑っているように感じます。
宮原 みんなで応援しながらチームで戦うところが個人戦とは違います。個人戦にはない雰囲気があって、試合をしている時も、みんなの応援が聞こえます。チームでがんばっている感じがとても楽しいです。
― 岳斗コーチの合流は団体戦の後でしたが、なにかアドバイスはされましたか?
田村 団体戦は映像でしか見ていないのですが、動きはすごく良かったので、特に何かを修正するということはありませんでした。そのままでいいというぐらいのつもりでした。それよりも団体戦の疲れを残さないように、体調面を気にしていました。やりすぎないように見張っていました。団体戦から個人戦までちょっと時間は空きましたが、1週間ぐらいで急激に上達するわけではないので、今できるベストな状態を試合に合わせるだけでした。
― オリンピックに関して、普段の試合と時間帯が違うことで、やり辛かったいう話もありましたが?
宮原 試合の時間帯はそんなに気になりませんでしたが、公式練習と試合の間の時間がいつもとは違って短めでしたので、準備の部分で急ぐところがありました。試合時間よりも、公式練習のスタート時間が早くなったことで、コンディショニング面で体を覚醒させるためにいつもよりよく動くことを意識しましたが、特に試合には影響はなかったと思います。
― 平昌のリンクに関してはいつもと違いはありましたか?
宮原 リンクに出るための扉がリンク側に開くので、ちょっとびっくりしました。
田村 フェンスというかショートトラックのマットです。特にトラブルとかはなかったと思うけど、公式練習で遅れて入ってくる選手がいたりすると滑っている人はちょっとびっくりすると思います。試合前に濱田先生と宮原が何か言いながらおでこガッチンするんですけど、そのとき濱田先生が選手出入り口のマットをグイグイリンク側に押すので、仕方ないから開かないように僕が紐を引っ張ってました。
宮原 全然知らなかったです。
田村 影のファインプレーだから(笑)。誰も気付いてくれないから自分で言った。
― オリンピックに続いて行われた世界選手権についてお伺いします。オリンピック同様の素晴らしいパフォーマンスを狙っていたと思いますが、ミスがいくつか出ました。その原因はどんなことが考えられますか?
宮原 大会前、オリンピックですべてを出し切ってしまったら、世界選手権で同じ様に気持ちを高めていくことが大変なのかと思っていましたが、実際にはそういうことはまったくなかったです。同じようにいいモチベーションで世界選手権にも臨むことができたのですが、フリーの前に一瞬、「あれ?疲れてるのかな?」って思ってしまったところがあって…。それが、いつもの世界選手権と、今回の世界選手権との違いでした。試合でもいつもの集中とは少し違うところがあったのがミスにつながったと思います。
田村 オリンピックシーズンは、本人が思っている以上に疲れる。
独自の世界観を創り上げた表現力の源
― 続いて、表現力をテーマにお伺いします。とてもシャイな性格の宮原選手がそれを克服するためにやったことはありますか?
宮原 外国の選手には自分からあいさつをするように心がけました。他にも、スケートの上だけではなく、普段から先生たちにいろいろ助けられて、ギャグを言ったり、自分を出せるようになっていきました。
田村 宮原の場合、試合で結果を出していきながら、知らず知らずのうちに自信が出てきたところもあるでしょう。表現という点で言えば、去年はオリンピックに出られるかどうかもギリギリの状態で、ジャンプ技術の練習ではできることが限られているから。あのときにやれることをやっただけ。結果としては表現の評価が上がり、コンポーネンツのスコアも上がっていった。けがをしても気持ちが腐ることなく、普段の取り組む姿勢がいい方向につながったと思います。
― 具体的に表現力を上げるために取り組んだことは?
宮原 曲への理解をより深めるようにはしていました。けがしている間に、バレエを観たり、いろんな映画を観たりしていました。どんな風に表現するかを考えて、振り付けと音の会うところをしっかり合わせることを常に意識していました。
― ショートプログラムの「SAYURI」は、英語の原書も読まれたそうですが、演技の上でどんな影響がありましたか?
宮原 映画を観てから本も読んだのですが、映画は主人公の人生を短縮して描いているので、本を読むことによって、映画の中のシーンの裏にある感情が理解できて、けっこうおもしろかったです。
― ここ数年、プログラムはどれも宮原選手の世界観が表現されていました。 演技の上で心がけていることはありますか?
宮原 自分の演技をもう1回見たいなと思っていただけるようプログラムができればと思っています。それにはまだまだなんですけど。
― 今後、やってみたいプログラムはありますか?
田村 秘密って言っとけ(笑)。
宮原 秘密です(笑)。これからのお楽しみです(笑)。
― それでは、今後岳斗コーチの振り付けはどうですか? 岳斗コーチといえば、アイスショー史上に残るユニークなプログラムがたくさんありました。宮原選手も間近で見ていたと思いますが?
宮原 …(笑)。
田村 ついこの前、僕が振り付けてやるって言ったら1秒で断られました(笑)
― コミカルな宮原選手はまだ想像できませんが、来シーズン以降、新たな宮原選手の世界観を見られるのを楽しみにしています。
宮原 まだどんなプログラムになるかわかりませんが、また違ったイメージをみなさんに見せられたらと思っています。
特別ギャラリー
宮原知子選手が、4月3日のオリックス・バファローズ vs. 千葉ロッテマリーンズ戦で始球式を行いました。 しっかりと練習に励む宮原選手。美しくしなやかなフォームの投球に対し、女房役の岳斗コーチいわく「今日は最後の練習から中10日ぐらい。フォームが安定していない。練習が足りない。」と不満気にミットを構える(笑)。
J SPORTS 編集部
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