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平昌オリンピックでの頂上対決を思い出すとまだ身が震えるほど印象的な大会だったが、間もなく世界選手権が始まる。ディフェンディングチャンピオンかつ五輪王者たるテッサ・ヴァーチュ/スコット・モイア組が不在の中、今大会のアイスダンスは実質ガブリエラ・パパダキス/ギヨーム・シゼロン組が頭一つ抜ける状況ではあるが、それでも見どころ満載だ。
さらなる完璧な演技を目指す ガブリエラ・パパダキス/ギヨーム・シゼロン
ガブリエラ・パパダキス選手/ギヨーム・シゼロン選手
2度の世界王者かつ五輪銀メダリストたるパパダキス/シゼロン組は、ここ数年、世界最高得点を何度も更新したほど、圧倒的な実力の持ち主だ。自分たちなりに演技をまとめれば、2年ぶりの優勝を飾るであろう。なので、注目すべきは彼らの得点や順位ではなく、どれほど素晴らしい演技を届けられるかなのだ。 オリンピックのショートダンスでは、衣装のハプニングで全力を出すことができなかったが、今回こそベストな演技を見せてもらいたい。それよりも期待しているのはやはりフリーダンスの「月光ソナタ」だ。まるで手足の動きでピアノの音を奏でるように、巧妙に振り付けられた芸術作品である一方、これまでに世界最高得点を4度も叩き出した、技術面においても非の打ち所がない競技プログラムだ。欲を言えば、オリンピックで魅せた完璧な演技から、さらに上をいく完璧な仕上がりが可能なのかどうか。本当に楽しみだ。
今度こそ表彰台へ マディソン・ハッベル/ザカリー・ダナヒュー
マディソン・ハッベル選手/ザカリー・ダナヒュー選手
去年の世界選手権では、ショートで3位に立ったものの、フリーでは大きなミスをしてしまい、順位が落ちて表彰台に届かなかったハッベル/ダナヒュー組。その悔しさをバネに、今季の試合ではまるで一皮剥けたように、エレメンツの精度を上げながら、表現力も磨き、ようやく全米選手権で念願の初優勝を飾った。しかし、先月のオリンピックでは、またショート3位から始まりフリーで繰り下げ、総合4位となった。今大会では、ぜひ雑念を振り払い、平常心で臨んでほしい。全米でできたものをこの場で再現できれば、きっと念願の表彰台に登れるだろう。
メダルをもう一度手に入れたいトップカップルたち
アンナ・カッペリーニ選手/ルカ・ラノッテ選手
地元イタリア出身のアンナ・カッペリーニ/ルッカ・ラノッテ組が世界選手権で優勝したのは、もう4年前のことだ。その後、世界選手権のメダルを獲得したことがないが、ずっとトップカップルのレベルを保てている。今大会で、地元の観客の前でイタリアを代表する映画「美しき人生」の物語を演じることになるが、順調に滑りきればきっと会場を大きく沸かせるであろう。すると、再び表彰台に上がることも十分狙える。
ここ2年不安定なパフォーマンスが続き、実力に相応しくない結果を残していたケイトリン・ウィーバー/アンドリュー・ポジェ組。ようやく先月のオリンピックで自分たちが納得できるような演技を出せた。この調子を保ったまま今大会に臨んで、2度の世界選手権メダリストたる実力を見せれば、もう一度メダルを手に入れることも不可能ではない。
オリンピックのフリーダンスではまさかの転倒で、悔し涙をこぼしたマディソン・チョック/エヴァン・ベイツ組にとって、今大会では巻き返しを期したいのではないであろうか。愛と希望を歌い上げるプログラム「Imagine」では、ぜひノーミスのパフォーマンスで、リアルカップルである二人の絆と愛情を込めて演じきって、観客にこの曲の感動を与えてほしい。
村元 哉中選手/クリス・リード選手
さらに、メダル候補だけでなく、次世代の新星たちにも注目したい。特に今年の四大陸選手権で金メダルを獲得したアメリカのケイトリン・ホワイエク/ジャン=ルック・ベイカー組と四大陸銀メダリストのキャロラーヌ・スシース/シェーン・フィルス組は、ともに世界選手権初出場となる。これからの4年間、間違いなく国際大会での活躍が期待できるので、初の大舞台で人々にどんな演技を見せ、どんな印象を与えるのか、早く見てみたいものだ。
最後に忘れてはならないのは、日本の村元哉中/クリス・リード組。今年の四大陸選手権で見事に銅メダルを獲得し、オリンピック15位と健闘した二人は、今大会でこのまま勢いに乗り、最高のパフォーマンスができれば、ずっと目指してきた世界選手権トップ10入りも決して夢ではない。ぜひこの会場で、満開の桜を咲かせてもらいたい。
ウェイ・ション
中国広東省出身、早稲田大学アジア太平洋研究科を卒業。 コンサルタントを勤めながら、フリーランスのジャーナリスト・通訳として活動。数々のフィギュアスケート国際大会で記者会見の通訳を担当する経験があり、昨シーズンから国際スケート連盟ホームページの選手フィーチャーインタビュー・記事も執筆。趣味はフィギュアスケートの各種記録、データを覚えること。
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