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ソトニコワ、リプニツカヤ、トゥクタミシェワ、ラジオノワ、ポゴリラヤ、メドヴェージェワ…ここ数年、ロシアからの女子選手はまるでこの国の名物マトリョーシカ人形みたいに、次々と国際大会で頭角を現し、表彰台に登った。
4年間の集大成である今大会も、やはりロシア女子によるワンツーフィニッシュとの結果になった。しかし、マトリョーシカ人形の一番奥には一番小さい入れ子が入ってるように、最後に勝ち抜いたのは、15/16シーズンから各大会で圧勝してきたメドヴェージェワではなく、出場する全選手で最年少のアリーナ・ザギトワだった。
1位 アリーナ・ザギトワ
239.57(SP:82.92 /1位、FS:156.65/2位)選手
15歳の少女が女王の座に就いた。今シーズン出場したすべての大会で優勝し、平昌団体戦のフリーでも自己ベストを更新したザギトワは、個人戦のショートで破竹の勢いに乗り、非常に余裕のあるのジャンプと高い加点がつくスピンとステップで、見事に世界最高得点を塗り替え、1位に立った。
決勝のフリーは、基礎点を高めるため、高難度の3ルッツ+3ループのコンビネーションを含め7つのジャンプを全部演技後半に詰め込む、極めてリスキーなプログラムだった。それでも、前季からほとんどミスをしたことがない。しかし、金メダルを狙う緊張からか、演技後半に入り、最初のコンビネーションジャンプが単独に終わってしまった。ほとんど調整する余裕がない構成で、リカバリーするのが難しかったが、「体は練習でやってきたことを覚えていた」と本人が言ったように、その後のジャンプに全く影響が見えず、全て高く跳べきれいに降りた。そして、演技終盤の単独予定の3ルッツに見事に3ループを付けた。その結果、自己ベストには届かなかったが、156.65点の高得点を叩き出し、総合得点で1位に立ち、タラ・リピンスキーに次ぐ史上2番目に若い五輪女王となった。
「満点が5点なら、今日の演技には4点を付けたい。特別な試合という感じはしなかったが、ミスが許されないので、いいモチベーションと緊張感を持って臨んだ」と大会を振り返ったザギトワ。高い技術力ももちろんだが、プレッシャーに負けない勝負強さこそ、金メダルの鍵になったのであろう。
2位 エフゲーニャ・メドヴェージェワ
238.26(SP:81.61/3位、FS:156.65/1位)エフゲーニャ・メドヴェージェワ選手
勝者は1人しかない。それは競技の残酷さである。それでも、足のけがを乗り越え、完璧な演技を2つ届けたメドヴェージェワは、決して敗者ではないと言えよう。
ショート・プログラムでは、団体戦に続き、再び自身が持つ世界最高得点を更新した。わずか15分後、この記録がザギトワに塗り替えられたが、金メダルはまだ射程圏内だった。決勝のフリーは「アンナ・カレーニナ」。前に演技を終えたザギトワが156点も叩き出し、自己ベストに近い点数を出さないと勝てない状況に置かれたメドヴェージェワは、まるで破滅的な恋に身を投じるアンナ・カレーニナになりきったように、全身全霊を打ち込んで完璧な演技を披露した。しかし、ショートとの合計がザギトワより低かったため、総合得点は2位となった。
今まで「絶対女王」の立場にいたメドヴェージェワだが、試合後「今日の演技は本当に映画のストーリーのようだった。自分の持っていることを残さず全部氷の上に置いてきたので、悔しい思いはない」とコメントし、結果を受け止め、演技についても「今日の演技をすごく楽しめた。この4分間は私のもので、全世界が私だけを見ていたの。歴史的な4分間だった。」と満足のようだった。
3位 ケイトリン・オズモンド
231.02(SP:78.87/3位、FS:152.15/3位)ケイトリン・オズモンド選手
銅メダルを獲得したのは、カナダのケイトリン・オズモンド。ダイナミックなジャンプに女性らしさたっぷりの表現力を持つスケーターだが、今まで本番での安定さが欠け、何度も国際大会のメダルを逃した。しかし、去年の世界選手権で見事に銀メダルを取ってから、安定感を高め、自信も増してきた。
今大会では、女性の魅力が溢れ出すショートをノーミスで演じ、自己ベストを更新して3位に立った。苦手なフリー「ブラック・スワン」では、冒頭の2つのコンビネーションジャンプを完璧に降りた後、3ルッツで着氷が乱れた。去年までのオズモンドなら、一つミスすると後半も崩れやすくなったが、その日のオズモンドは、その緊張感に勝ち、過去の自分に勝ち、残りのエレメンツを全部きれいに完成させた。長い手足を生かした表現も会場を沸かせ、高い演技構成点を稼いだ。その結果、フリーで自己ベストを大幅に超える152.15点を獲得し、総合3位に入り、念願の五輪メダルを手に入れた。
演技後、オズモンドは「今日一日恐がっていて、すごく緊張していた。でも練習でこのプログラムをうまく滑れたので、自信を持って試合で見せたいと思っていた」とコメントした。本当の実力を試合で出せる、そんな自信を身につけた彼女の、今後のさらなる活躍に期待したい。
4位 宮原知子/222.38(SP:75.94/4位、FS:146.44/4位)
4位には全日本女王、宮原知子。3週間前の四大陸選手権で悔し涙をこぼした彼女は、今大会で一皮むけたように、ショート、フリー両方ともノーミスな演技で自己ベストを更新した。いつも内気な彼女だが、フリーの演技が終わった後、思わずガッツポーズがでた。GOEと演技構成点がトップ3選手に及ばず、総合順位は4位に付けたが、一年かけてけがと戦ってきて、そして四大陸での挫折を考えると、この結果はやはりお見事だ。
本人も納得のようで、試合後、「結果は悔しいですけど、自分のやれることはすべてできたので、次につながると思います。課題はたくさんあるんですけど、それを見直してまた次につなげたいです」と自己評価し、次に視線を向けた。初出場の五輪については「想像以上の夢の舞台というか…思う存分楽しめたと思います」とも語った。
5位 カロリーナ・コストナー/212.33(SP:73.15/6位、FS:139.29/5位)
5位に付けたのは、ソチ五輪の銅メダリスト、カロリーナ・コストナー。2月に31歳の誕生日を迎えた彼女は、4度目の五輪で20年以上のスケート人生で磨いてきた別格なスケーティングと円熟の表現力を魅せた。ジャンプの基礎点やGOEが若手選手に及ばなかったが、2つのプログラムを無難にまとめ、総合得点で5位に入賞した。
試合後、ベテランである彼女は「初出場の時のと比べて、だいぶ成長してきたと感じる」と振り返り、「自分の戦う姿勢を本当に誇りに思う。今戦っている人や苦しんでいる人に少しインスピレーションを与えたらいいなと思う。やりがいがあった。本当に嬉しかった」と語った。今月末、母国イタリアで行われる世界選手権は、コストナーの最後の大会になるかもしれないが、ぜひ最後の舞台で有終の美を飾る演技を見せてほしい。
6位 坂本花織/209.71(SP:73.18/5位、FS:136.53/6位)
6位に入賞したのは、今季の「ダーク・ホース」、四大陸女王坂本花織。団体戦で小さなミスが続出した彼女は、個人戦で気持ちを切り替え、ショートでノーミスの演技をし、自己ベストを更新した。フリーでは着氷の乱れとエッジエラーはあったが、全体的に完成度の高い演技をまとめた。初出場しながら、総合得点で6位に付けた。
試合後、坂本は「ノーミスではなく悔しかったが、この場でやり切ったという気持ちがあったので笑顔で終わろうと思って、最後に笑顔になりました。」と嬉しそうに語り、「10代で1回経験したら、次はもっと自信を持って臨めると思うので、この歳で経験できてよかったなと思います。」と前向きな姿勢を見せた。
ウェイ・ション
中国広東省出身、早稲田大学アジア太平洋研究科を卒業。 コンサルタントを勤めながら、フリーランスのジャーナリスト・通訳として活動。数々のフィギュアスケート国際大会で記者会見の通訳を担当する経験があり、昨シーズンから国際スケート連盟ホームページの選手フィーチャーインタビュー・記事も執筆。趣味はフィギュアスケートの各種記録、データを覚えること。
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