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1位 三宅 星南
文句なしの優勝だった。
「トリプルアクセルを2発、フリーで決めるという目標が達成できました」と語るが、それだけではない。ショート、フリーで3本のトリプルアクセルを決め、総合得点で200点超えも果たした。まだ高校1年生。初めてのインターハイ出場とは思えない貫禄の演技だった。
しかしここに至る道のりは決して平たんではなかった。シーズン前に怪我をし、苦しい時期を過ごすことになったのだが、「あれがあったから、今ここまで来れたんだと思います。ですからあの怪我は無駄ではありませんでした」と力強い言葉を聞かせてくれた。
今季、技術面で大きな成長を遂げたが、メンタル面での成長は更に著しいものがあった。以前は極度の緊張にさいなまれ、試合で結果を残すことができない印象だったが、現在ではその緊張をコントロールできるようになったのだ。そのことを大きく印象付けたシーンがあった。今回のフリー演技でループジャンプをミスしたのだが、その後、崩れることなく無難に立て直して見せた。
本人も「以前だったら、ミスの後に3+3を跳べていなかったと思います」と話す。世界で通用する実力を身に着け、「世界ジュニアではもっと高い点数を取りたい」と更なる意欲を見せる。須本選手と二人で力を合わせ、日本に3枠をもたらしてもらいたいものだ。
2位 長谷川 一輝
実力的には2位という結果を出しても何らおかしくない選手だ。しかし本人はそうは思っていなかったようで「6位に入れれば上出来」という控え目な予想をしていたそうだ。周辺の方々に話を聞くと、とても謙虚な性格、悪く言えば欲がない、とのこと。
本人に聞くと「物欲はありません」と、とても高校1年生とは思えない答えが返ってきた。ただ順位予想が控え目だったのは、冷静に分析をしていた影響が大きかったようだ。「自分はトリプルアクセルを入れていないので、他の選手ほど基礎点が高くないんです。なので上位に行けるとは考えていませんでした」。
しかしこのインターハイのフリー演技では、驚くことにTES(技術点)で三宅選手よりも得点が高かったのだ。それだけ出来栄えの良いエレメンツが多かった証だ。もっと自信を持って臨んでもらいたいものだ。練習中だというトリプルアクセル、そして四回転の完成を楽しみに待ちたい。
3位 須本 光希
絶対的な優勝候補だった須本光希。しかし大会直前に風邪をひいてしまい、ショートプログラムの2日前まで高熱があったという。彼は軽い喘息を患っているそうで、風邪を引いた後には咳が残りやすい。今回の体調は「10%、20%の状態」だったという。
ただこの体調でショート、フリーを滑り切り、表彰台に乗れたことは「収穫であり勉強になった」と語る。大目標の世界ジュニアに向けては、「体調を崩さないように、出来の良かったファイナルのショート、そして全日本のフリー、これらを更に高めるイメージで臨みたい」とのこと。全日本ジュニアのフリーで裾の紐がほどけるトラブルがあったものの、続くジュニアグランプリファイナルでは素晴らしい演技を披露した。今回のトラブルも吉兆としてもらいたいものだ。
4位 山本 草太
今季、怪我からの復活を果たし、全日本選手権では感動の演技を披露した山本草太。ただこの大会では復帰後初めて、苦しい演技となってしまった。ショートプログラムはノーミスで乗り切ったのだが、フリープログラムではジャンプでミスを重ねてしまったのだ。
「ショートを終えて、少し欲を出してフリーに臨んだんですがうまく行きませんでした。愛知みずほ大学瑞穂高校の所属での試合はこれが最後。ここまで支えて下さったことに感謝しています」。復帰後、ジャンプで転倒したことはなかったのだが、この試合で初めて転倒してしまった。「久々の感覚で焦ってしまいました。ひとつ転んだだけでこんなにプログラムの流れが変わるのか、と滑りづらく感じました。ジャンプ以外のためにも、ジャンプをクリーンに跳んで、つなぎ、スピン、ステップに気を配れるようにしたいです」。
彼の右足首の状態だが、まだ痛みがあり、ルッツ、フリップに支障があるという。ただ現在のところオフに再手術をする予定はなく、このままリハビリを続けるとのこと。今季の最終戦はクープ・ド・プランタン。来季につながる演技を期待したい。
5位 山藤 一悟
「ちょっとしたミスが目立ったことが悔しい。こんなに上に来れるとは思っていませんでした」と反省の弁が続いた山藤選手。
「自分では魅力のない選手だと思っています。高校3年間、演技に関して成長はなかった」との発言には驚かされたが、決してそんなことはない。高校3年間で、スタイルが良くなり、雰囲気を出すのが上手になった印象だ。今回の5位は3年間で最高の成績。素晴らしい成長振りだと感じる。
「学校の皆が応援して送り出してくれました。頑張らなきゃ、という気持ちで滑りました」という。今後の課題について聞くと、「スケーティングが他の選手よりも悪いので、もっと磨いていきたい。ジャンプの精度が良くない。ショートをノーミスで滑れるようにしたい。トリプルアクセルと4回転を今年中に跳べるようにしたい」と厳しい言葉が続いたが、それだけ目標としているところは高いのだろう。来季の更なる活躍に期待したい。
6位 木科 雄登
本来ならばもっと上位にいるはずの選手だ。ただ今季は結果の出ない試合が続いてしまった。インタビューでも「自分の思っていた演技ができなかった。悔しい結果です」と意気消沈した様子だった。
ショートプログラムでは6分間練習でトリプルアクセルが全く決まらず、安全策でダブルアクセルにしたそうだ。しかしトリプルアクセルに挑戦したフリープログラムでは、後半のサルコウがパンクし、3+3の前のつなぎの振付が抜けた辺りからリズムが崩れたという。演技冒頭にトリプルアクセルを入れることで、不安な気持ちが出てしまい、メンタル面で苦労したことがフリーの失敗の原因だと分析し、「トリプルアクセルの確率を上げて、不安をなくしたい」と語ってくれた。
そして彼は最近、濱田コーチ、田村コーチにも師事している。このことについて聞いてみると「無良コーチの方では今まで通り練習していますが、濱田コーチのところでは今までと違った視点を学ばせてもらっています。まだ試合での結果は出ていませんが、自分ではいい勉強をさせてもらっていると実感しています。来季にはその結果を出したいと思います」。
国体の後、オランダのチャレンジカップに出場することが決まっている。「今季は自分で納得できる演技ができていない。ショート、フリー、トリプルアクセルを入れてのノーミスの演技をしたい」。今季は苦労したが、類稀なる才能を持つ大器だ。来季につながる演技を期待したい。
7位 古家 龍磨
表現力豊かで、コミカルな演技が持ち味の選手。「フリーの最後、スピンで転んでしまったのが残念でしたが、それ以外のところはまとめられました。最低限のやるべきことはできました」と満足げな様子。キスクラではガッツポーズも見せてくれた。
「初めてのインターハイ、皆、大人の演技をしている中で結果を出せたのは良かったです。目標にしていた入賞を達成できました」。今後は3+3をプログラムで入れることを目指して頑張っていきたいという。そして表現面では、観客を楽しませるエンターテイナーになりたい」という。コミカルなプログラムは、コーチの勧めというよりは自分自身の希望だそうだ。
「皆を笑わせるのが好きなので、観客が楽しんでくれることが嬉しいんです。今後はミュージカルにも挑戦したいです」。来季はどんな演技を披露してくれるのか、楽しみだ。
8位 山隈 太一朗
「駄目の一言です」。インタビューはそんな言葉で始まった。「今季、積み重ねてきたものがほとんど出せなかったことが悔しい。自信がない状態で試合に来てしまいました」。
今季は夏にアメリカに練習に行き、一回り大きくなった姿を見せてくれた。実際、西日本ジュニアでは素晴らしい演技を披露し、全日本ジュニアでは優勝候補の一角だった。ところがその全日本ジュニアで大きな失敗をし、それがトラウマになってしまったのだという。
「今回の試合で失敗したところも、ほとんどがトラウマになった箇所でした。それを払拭しようと練習してきたんですが、その効果が出なかったんです」。
彼もこの後、オランダのチャレンジカップに出場する。「今季、まだ内容について納得できた試合がありません。いいイメージでオフに入り、ジュニアグランプリの選考会に向かえるようにしたい」。そのためにもチャレンジカップの内容は重要だ。トラウマを払拭し、いい状態で来季に臨んでほしい。そして来年、最後のインターハイでは優勝を期待したい。
中村康一(Image Works)
フィギュアスケートを中心に活躍するスポーツフォトグラファー。日本全国の大会を飛び回り、選手の最高の瞬間を撮影するために、日夜シャッターを押し続ける。Image Works代表。
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