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五輪シーズンの四大陸選手権といえば、スター選手があんまり出場しない、というイメージが強いが、今年の開催地台北はオリンピックが開かれる韓国を含め、アジア各国との距離が近く、時差調整もほぼいらないため、オリンピックに出場する予定の多くのトップスケーターが今大会に参加することにしたようだ。
特に女子シングルの試合は、過去2年の女王や去年の上位選手たちによって激戦が繰り広げられるに違いない。
帰ってきた女王・宮原知子
優勝の最有力候補は、やはり2年前の四大陸女王、今シーズン様々なけがと試練を乗り越えて復活した宮原知子であろう。
左股関節疲労骨折や捻挫などのけがでほぼ10ヶ月間休養していた彼女は、ようやく11月のNHK杯から競技に復帰した。そこからどんどん調子を上げ、スケート・アメリカ、グランプリファイナルと全日本選手権で小さいミスがありながらも完成度の高い演技を見せた。技術面だけでなく、けがでジャンプの練習ができなかった時はひたすらスケーティングと表現力を磨き上げた。
ショートプログラムの「SAYURI」とフリープログラムの「蝶々夫人」で芯が強い日本の女性を心を込めて演じる彼女は、きっと観客に大きな感動を与えることだろう。
座を守る女王・三原舞依
去年の大会でダークホースとして意外な優勝を飾った三原舞依は、この一年を通して安定感のあるパフォーマンスを出し続け、世界のトップスケーターだと認められるようになってきた。
今大会でももちろん優勝候補の一人として挙げられる。競争が激しい全日本で5位に終わり、五輪の代表入りにならなかったが、現地に入ってからは練習で集中している姿を見せ、「2018年になって年も越えている。この大会を笑顔で終われるように、ベストを尽くしたい。」とコメントした。
今大会で彼女の会心な演技、そして演技後の素敵な笑顔をぜひ見たいと思う。
ISU選手権デビュー・坂本花織
シニア一年目の坂本花織は、今大会で初めてシニアレベルのISU選手権に出場することになる。
初出場でもちろん緊張感があるが、いつも楽観的な姿勢を見せる彼女は大会前のインタビューで「緊張してもオリンピックでこうやったらいい、というものをつかめたらいい」とポジティブに捉えるようだ。
現地に入ってから練習でジャンプのミスが多発し、少し落ち込んでいるように見えたが、激しい国内戦を勝ち抜いて、五輪代表に選出されたほどの実力の持ち主である彼女が、調子を整えて自信を持って本番に臨めば、表彰台は射程内だろう。
表彰台を狙うライバルたち
パーソナルベストやシーズンベストを見れば、今大会の表彰台はチーム・ジャパンが独占してもおかしくはないが、アジアと北米からの有力選手も表彰台に上がれるようにベストを尽くすだろう。
先頭に立つのは、カザフスタンのエリザベット・トゥルシンバエワ。
2シーズン前からシニアレベルに上がり、その後順調に成長してきた彼女は、今季のすべての試合で180点以上の高得点を獲得し、ようやくグランプリ・フランス杯で200点超えのパーソナルベストを叩き出した。
小柄で手足が細い彼女だが、今年のショートで力強い「カルメン」を演じることにした。キレのある動きで彼女に潜んでいる爆発力が引き出される。
見逃したくないプログラムだ。
女子大国アメリカからは、五輪代表が全員出場しないが、全米5位のマライア・ベルのことを忘れてはならない。 「次のサーシャ・コーエン」と呼ばれる彼女は美しいボディラインを活かし、2つのプログラムで女性らしい可愛らしさと柔らかさを存分演出する。 ジャンプに安定感がやや欠けるが、調子をうまく整えた時は軸がぶれず美しく降りれるので、今大会で彼女のベストな演技をぜひ期待したい。
その他、昨年の冬季アジア大会を優勝した韓国のダビン・チェや、カナダのアレーン・チャートランド、中国選手権を優勝したシャンイン・リーなどの有力選手が挙げられる。
ベストを尽くして完璧な演技を出せれば、表彰台も決して夢ではない。
ウェイ・ション
中国広東省出身、早稲田大学アジア太平洋研究科を卒業。 コンサルタントを勤めながら、フリーランスのジャーナリスト・通訳として活動。数々のフィギュアスケート国際大会で記者会見の通訳を担当する経験があり、昨シーズンから国際スケート連盟ホームページの選手フィーチャーインタビュー・記事も執筆。趣味はフィギュアスケートの各種記録、データを覚えること。
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