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まもなく四大陸選手権が開催される。先に始まるアイスダンスの競技は、例年ならアメリカとカナダのトップ・カップルによって上位争いが繰り広げられるが、オリンピック直前で全米選手権とカナダ選手権のメダリスト全員が欠場する中、いつもと違うダイナミックな場面が生まれるであろう。
次世代のエースによるアメリカ内戦
アイスダンス大国アメリカが派遣したのは、ケイトリン・ホワイエク/ジャン=ルック・ベイカー組、レイチェル・パーソンズ/マイケル・パーソンズ組、そしてロレイン・マクナマラ/クイン・カーペンター組だ。なんと、全員世界ジュニア選手権を優勝したことがあり、アメリカの次世代を担う期待の新星たちだと言えよう。
この中で先頭に立つのは2014年の世界ジュニア王者たるケイトリン・ホワイエク/ジャン=ルック・ベイカー組であろう。今季のグランプリ・シリーズの2戦ではそれぞれ4位と5位に入り、チャレンジャーズ・シリーズで2回も表彰台に上がったほど、世界のトップカップルとしての実力を見せ、地位を確立しつつある。ついに先日の全米選手権で、トップ3に匹敵できるほどの高い技術点を叩き出したことは、言葉に出さなくても「これからは私たちのことも見てください」と世界への強い発信だった。そして技術面だけでなく、正確なステップを踏みながらも余分の力を感じさせず、優雅な振り付けを軽やかに踊るのがこの組の特徴で、この特徴をよく活かした彼らのフリーダンス「愛の夢」にもぜひ注目したい。
2017年世界ジュニア選手権を優勝した後、今シーズンシニアに上がったレイチェル・パーソンズ/マイケル・パーソンズ組はまた一味違う特徴を持っている。それは、音楽に合わせプログラムの情緒をよく引き出せる彼らのリズム感だ。軽快なルンバの曲が入ったショートダンスも、笛の音が鮮明なエキゾチックなフリーダンスも、この兄妹組は曲を感じ取りながら、違うテンポに合わせて手足を動かし、躍動感のある演技を観客に届ける。シニアとして初めて出るISU選手権では、彼らはどんなパフォーマンスを出してくれるのか、実に楽しみだ。
2016年の世界ジュニア王者ロレイン・マクナマラ/クイン・カーペンター組も忘れてはならない。シニアに上がった今シーズン、彼らはフリーダンスで若い選手にとって表現しにくいタンゴの曲を挑戦することにした。大会で経験を積むことにより、彼らの表現がどんどん成熟になり、先日の全米選手権で非常にキレのある動きでこのタンゴを演じきった。ジュニア王者が大人になりきったとも感じさせた。シニアISU選手権のデビュー戦で、彼らの更なる進化をぜひ見たい。
アジアのトップは誰だ
例年の四大陸なら、大体北米勢に注目が集まるが、今回の大会はアジアのトップカップルの活躍ぶりにもぜひ注目したい。
チーム・ジャパンからは3組が出場する。全日本選手権で三連覇を果たした村元哉中/クリス・リード組は、今シーズンのチャレンジャーズで2戦とも表彰台に上がり、パーソナルベストを塗り替えるなど、安定感のある演技をし続けた。去年の四大陸で9位だったが、今大会でこの勢いに乗り、実力を出し切れば、更に上位を狙えるはずだ。平昌オリンピック日本代表である二人に、会心の演技で五輪出場への自信を付けられるように期待したい。そして、小松原美里/ティモシー・コレト組と深瀬理香子/立野在組はともに四大陸選手権でのデビューを迎えることになる。今シーズンの国際大会でいい経験を積んできたこの2組は初出場の今大会でどんな成長を見せてくれるのか、とても楽しみである。
昨年の大会で7位に入り、さらに冬季アジア大会を優勝した中国のシーユエ・ワン/シンユー・リウ組と、去年8位の韓国のユラ・ミン/アレクサンダー・ガメリン組も上位を狙っている。この2組のパーソナルベストは村元/リード組と同様に150点台にあるので、今大会でどの組がよりいい演技を出し、より高い順位に付けアジアのトップに立つのか、またおもしろい見どころだ。
ウェイ・ション
中国広東省出身、早稲田大学アジア太平洋研究科を卒業。 コンサルタントを勤めながら、フリーランスのジャーナリスト・通訳として活動。数々のフィギュアスケート国際大会で記者会見の通訳を担当する経験があり、昨シーズンから国際スケート連盟ホームページの選手フィーチャーインタビュー・記事も執筆。趣味はフィギュアスケートの各種記録、データを覚えること。
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