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今年の全米選手権アイスダンスの戦いは、先月のグランプリファイナルに続き、アメリカのトップ3カップルがまたもや激戦を繰り広げた。その結果、ショート、フリーとも2位のマディソン・ハッベル/ザカリー・ダナヒュー組は0.19の僅差でディフェンディング・チャンピオンでショート1位のマイア・シブタニ/アレックス・シブタニ組を上回り初優勝を果たした。さらに、フリーで1位のマディソン・チョック/エヴァン・ベイツ組はショートでのミスが響き、シブタニ兄妹にはわずか0.33点及ばず、総合3位に。大会のプレビューでミス一つだけでメダルの色が変わると予想したが、まさにその通りだった。
1位 マディソン・ハッベル/ザカリー・ダナヒュー
1位 マディソン・ハッベル/ザカリー・ダナヒュー/197.12(SP:79.10/2位、FS:118.02/2位) 2位に終わったショートダンスの演技後、記者からトップ3の中で唯一全米選手権を優勝したことがないのに対する感想を聞かれた時、ダナヒューは「砂漠の中で水を与えられず6年間を過ごした。それを想像したら私たちの気持ちがわかるはずだ」と優勝への熱望を語った。ようやくフリーダンスの舞台で、優勝への熱望が攻めの姿勢と集中力になり、キレのある動きでエレメンツを精確に実行し、レベル4と高いGOEを次々とマークした。プログラム中盤のダイアゴナル・ステップ・シークエンスとスピンでレベルを取りこぼしたが、「Caught Out in the Rain」というブルーズの曲を滑る二人は、オフアイスでもリアルカップルである感情をパフォーマンスに入れ込み、セクシーさをたっぷりと演出し、大会で一番高い演技構成点を獲得した。フリーではまた2位となったが、総合得点が1位に繰り上げ、念願の全米初優勝を飾った。もちろん、五輪代表の資格も得た。
「ザカリーと私は6年かけてここまで来られた。」試合後、ハッベルが語った。「オリンピックに出るのは小さい頃、まだ兄(キーファー・ハベル)と一緒に滑っていた時からの夢だった。それが実現できて、とても嬉しいし、とても光栄に思う。」
2位 マイア・シブタニ/アレックス・シブタニ
2位 マイア・シブタニ/アレックス・シブタニ/196.93(SP:82.33/1位、FS:114.60/3位) 優勝有力候補のシブタニ兄妹はショートではパターン・ダンスがレベル3になった以外、すべてのエレメンツにレベル4と+2、+3がずらりと並ぶGOEを獲得し、3点以上の差でトップに立ったが、フリーの「パラダイス」では残念ながら、マイアがダイアゴナル・ステップ・シークエンスの途中で一瞬バランスを崩し、この1つのミスで差が開き、セグメントで3位、総合2位となった。
試合後、マイアが消沈せず、「今日のミスはとても残念だったが、私たち二人はお互いを励ましています。このプログラムにはたくさんの誇りを持っているし、家に帰ってからも今まで通りに頑張って行きます」と自信を持ってコメントした。
3位 マディソン・チョック/エヴァン・ベイツ
3位 マディソン・チョック/エヴァン・ベイツ/196.60(SP:77.61/3位、FS:118.99/1位) 2015年の全米王者たるチョック/ベイツは、今シーズンずっと不安要素を抱えていたショートダンスで、やはり細かいところまで注意が行き届かず、2つのステップシークエンスともレベル3と点数を落として、3位でフリーへ迎えた。今季の強みであるフリーでは調子が好転し、ジョン・レノンの名曲「Imagine」を踊りだすと、二人の優雅な振り付けと余裕のある表情から、プログラムへの自信とこの曲を滑る幸せが十分に伝わり、観客を二人の世界に誘い込み感動させた。サーキュラー・ステップ・シークエンスがレベル3となった以外、すべてのエレメンツでレベル4と高いGOEを稼ぎ、フリーで最も高い得点をマークした。しかし、ショートでトップとの差が大きかったので、総合得点で3位に留まった。
3位の結果を見て、ベイツは「もちろん、これは私たちが欲しがっていた結果ではなかった。でも課題が見つかったので、別に失望はしていない」とコメントし、「今シーズン、フリーがずっとよかったが、ショートで足りていないものが多く、これからの数週間、この課題を絶対に解決していくつもりだ」とオリンピックまでの練習の方向性を示した。
トップ3が安定している中、今大会では次世代のエースたちも頭角を現した。2014年の世界ジュニア王者、ケイトリン・ホワイエク/ジャン=ルック・ベイカーは完成度が高いプログラムを2つ揃え、総合4位に入賞した。特筆すべきなのは、彼らのフリーでの技術点はなんとハッベル/ダナヒューとシブタニ兄妹を上回り、全組中2位に立ち、彼らのポテンシャルを感じさせた。
さらに5位に去年の世界ジュニア王者レイチェル・パーソンズ/マイケル・パーソンズが入り、6位に2016年の世界ジュニア王者ロレイン・マクナマラ/クイン・カーペンターと続き、アメリカのアイスダンスの未来は、現在の輝きと比べても劣ることはないと予感した。
ウェイ・ション
中国広東省出身、早稲田大学アジア太平洋研究科を卒業。 コンサルタントを勤めながら、フリーランスのジャーナリスト・通訳として活動。数々のフィギュアスケート国際大会で記者会見の通訳を担当する経験があり、昨シーズンから国際スケート連盟ホームページの選手フィーチャーインタビュー・記事も執筆。趣味はフィギュアスケートの各種記録、データを覚えること。
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