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フィギュア スケート コラム 2018年1月15日

全米フィギュアスケート選手権2018 男子シングルレビュー

フィギュアスケートレポート by ウェイ・ション
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何が起こるかが予想できない、それはスポーツの魅力であり、残酷さでもある。「ハイリスク・ハイリターン」と言われる今の男子フィギュアスケートの競技は特にそうだ。今回の全米選手権では、ショート、フリーに合計7本の4回転を成功したネイサン・チェンが40点の大差で圧勝したが、2位以降の上位争いではジャンプの成否によりショートとフリーの順位が劇的に入れ替わり、思わぬ展開となった。

混戦の末、ショート、フリー両方ともにノーミスの演技をしたロス・マイナーが銀メダルを獲得し、ネイサン・チェンよりも難しい構成に挑んでなんとかまとめたヴィンセント・ジョウが3位に入るという、意外な表彰台となった。しかし、ここ2シーズンの国際大会で収めた実績を考察された結果、今大会で4位に終わったアダム・リッポンが五輪代表として選出され、マイナーが代表入りを叶えられず、物議を醸した。

1位 ネイサン・チェン

ネイサン・チェン選手

ネイサン・チェン選手

1位 ネイサン・チェン/315.23(SP:104.45/1位、FS:210.78/1位) ディフェンディング・チャンピオンのチェンは少し体調不良を感じたため、今大会ではジャンプで難易度の一番高い4ルッツをやらないことにした。それにしても2つのプログラムにフリップ3本、サルコウ1本、トゥループ3本、合計3種類7本の4回転を入れ、しかもすべてきれいに着氷し、アクセル以外のエレメンツも質高くこなした。類を見ない技術点を稼いだ一方、シーズンを通して磨き上げたパフォーマンスも評価され、高い演技構成点を獲得した。その結果、総合得点が315点を超え、今大会を圧倒的に制した。

演技直後に、チェンは「今シーズン初めてフリーで5本の4回転を成功した。もちろん、アクセルのミスがあったが、やりたいことができたのでとても嬉しい」と自分の演技を評価し、さらにオリンピックの代表入りに対して、「2018年のオリンピックに出場することは、昔からの目標で夢だった。それが実現できて、本当にエキサイティングだ」と述べた。

2位 ロス・マイナー

ロス・マイナー選手

ロス・マイナー選手

2位 ロス・マイナー/274.51(SP:88.91/6位、FS:185.60/2位) ロス・マイナーが今大会で取った戦略は、無理に難しい構成にせず、完成度で戦うものだった。この戦略がよく効き、4回転を入れないショートではノーミスで6位になり、表彰台圏内との得点差がそれほどなかった。フリーでは4サルコウを1本だけ挑戦したが、これを含めたすべてのエレメンツをしっかりと完成させ、さらに「クイーン・メドレー」を感情たっぷりと演じたことによって、高得点を叩き出し、総合2位へと巻き返した。

演技後、マイナーは「今日は気持ちよく滑った。そして今日の結果は僕の実力を証明した。アメリカ代表としてオリンピックに出る実力を持っていると思う」と自己アピールしたが、残念ながら、過去の国際大会での成績が他の選手より優位にとはいえず、代表落ちの結果に。コーチのマーク・ミチェルがこの決定に対して「アメリカ・スケート連盟は大会の前からロスを平昌に送らないと決めていたと思う。だったら私たちがここまでお金と時間と精力を費やして練習する意味は何なんだ」と不満の声を上げ、議論を起こしたが、結果を変えることはもちろんできなかった。スポーツの残酷な一面を表したものだった。

3位 ヴィンセント・ジョウ

ヴィンセント・ジョウ選手

ヴィンセント・ジョウ選手

3位 ヴィンセント・ジョウ/273.83(SP:89.02/5位、FS:184.81/3位) 4回転時代の加速がしばらく止まらない、これは新鋭ヴィンセント・ジョウのプログラムからよく伝わったものだ。彼はショートとフリー両方で完璧な4ルッツ-3トゥループを披露し、さらに4フリップ、4サルコウ、4トゥループにも挑んだ。ハイリスクな構成で転倒や回転不足が多くなった一方、ハイリターンな基礎点を確保できたので、高い技術点を稼ぎ、ショート5位から総合3位へ繰り上げ、2年連続表彰台に上がった。さらに、世界ジュニア優勝などの国際大会での成績が認められ、総合選考の結果五輪代表として選出された。

代表発表の会見で、ジョウは「シニアデビューのシーズンでアメリカ代表としてオリンピックに出られるなんて、本当に感激だ。昨日の夜は代表選考の結果が出るまで、ずっと眠れなかった。今でもまだ不思議に思っていて、本当に光栄に思う」と語り、感無量のようだ。

4位 アダム・リッポン

アダム・リッポン選手

アダム・リッポン選手

4位 アダム・リッポン/268.34(SP:96.52/2位、FS:171.82/4位) 今大会の前に「オリンピックに出場できないのはありえない」と自信満々に宣言したアダム・リッポンだが、完璧なショートで会場を沸かせ、フリーの前半も完成度高くまとめた。しかし、フリーの最後で突如2つの3回転ジャンプが1回転にすっぽ抜け、点数を大きく損なった。その結果、総合得点では4位に終わり、代表選考に懸念が生まれた。それでも、選考委員会は「アダムはアメリカ男子選手の中で、国際大会での順位や得点などは特に目立っている。今シーズンのグランプリ・シリーズで2戦とも活躍し、ファイナルで5位に入るなど、世界の舞台で戦える選手だ」と評価点を挙げた上で、彼を選出した。リッポンは28歳にして念願の五輪初出場の権利を得た。

「夢が叶った。」リッポンは代表発表の会見で心境を話し、「僕の過去の大会実績を評価してくれた選考委員会に感謝したい。ここ数年、僕は強くなった。特に骨折を経験した後、僕は自分の想像よりも勇敢だ」と感慨深く語った。

続いてグラント・ホックスタインが5位に入った。芸術家として知られるジェイソン・ブラウンはフリーで果敢に4回転に挑んだが転倒となり、その後のジャンプにもミスが連発する一方、キャメル・スピンとステップではレベル4と満点のGOEを得るなど、優雅な滑りで観客を魅了したが、ジャンプでのミスが大きく響き総合6位に終わった。世界中のファンに愛されているスケーターだが、オリンピックへ行けない残念な結果に。

代替画像

ウェイ・ション

中国広東省出身、早稲田大学アジア太平洋研究科を卒業。 コンサルタントを勤めながら、フリーランスのジャーナリスト・通訳として活動。数々のフィギュアスケート国際大会で記者会見の通訳を担当する経験があり、昨シーズンから国際スケート連盟ホームページの選手フィーチャーインタビュー・記事も執筆。趣味はフィギュアスケートの各種記録、データを覚えること。

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