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シングルやペアと比べて、アイスダンスのプログラムにはミスしやすいリスキーなエレメンツが少なく、演技構成点も大会ごとに大きく上下することがないので、予期せぬ出来事が起こらない限り、今年の全米選手権の表彰台に登り、そしてアメリカのオリンピック代表として選出されるのは、3年連続グランプリファイナルに進出するなど世界のトップ選手としてのステータスを確立したマイア・シブタニ/アレックス・シブタニ、マディソン・チョック/エヴァン・ベイツ、およびマディソン・ハッベル/ザカリー・ダナヒュー、この3組になるであろう。
三つ巴の戦い
でもそれは、全米のアイスダンスがおもしろくないというわけではなく、逆にこの3組による順位戦がとても熾烈になると期待しているのだ。先月に行われたグランプリファイナルで、この3組の総合得点の差は、なんと0.85点しかなかった。今大会に向けて、誰も気を緩めることができない。
マイア・シブタニ/アレックス・シブタニ組
そんな中で優勝の最有力候補は、やはり全米選手権連覇中のマイア・シブタニ/アレックス・シブタニ組だ。彼らの演技の見どころは、一つ一つのエレメンツを精確に実行する技術力と、兄妹だからこそのユニゾンおよび感情的なつながりだ。さらに、今年のフリープログラム「パラダイス」にも独特なものがある。「私たちは『トリロジー(三部作)』のコンセプトをここ3シーズンのプログラムに取り入れた。2シーズン前の『フィックス・ユー』を演じた時、私たちは苦しみと失望を経験し、答えを探していた。そして『エボリューション』を経て、もっと強く、もっと自信を持つような新しい自分にトランスフォームすることができ、ようやく第三章の『パラダイス』に到達した。このトリロジーはまさに私たちのスケート人生の物語だ」とアレックスが紹介した。今大会でどんな演技を以て観客を彼らのパラダイスに誘ってくるのか、実に楽しみだ。
マディソン・チョック/エヴァン・ベイツ組
2015年の全米王者、ここ二年の銀メダリストたるマディソン・チョック/エヴァン・ベイツ組ももちろん王座を奪還したい。先月の記者会見で、ベイツは「オリンピック・シーズンでナショナルチャンピオンのタイトルを取るのは、大きな意味を持つと思う。それは私たちが2015年で優勝して以来、ずっと目指している目標だ」と発言した。一つ一つの動きが美しく、カリスマ性が溢れる二人はオフアイスでもリアルカップルだから、氷上での化学反応は観客を魅了するものだ。しかし試合中、どうしても小さなミスを犯し、なかなかショート、フリー2つを完璧なパフォーマンスで揃えられないのが今までのイシュー(問題点)だ。今シーズンの大会で見つかった課題を直し、全米で最高な演技を届けると期待している。
マディソン・ハッベル/ザカリー・ダナヒュー組
自国アメリカではなく、カナダのモントリオールでマリー=フランス・デュブレイユ/パトリス・ローゾン夫妻に師事するマディソン・ハッベル/ザカリー・ダナヒュー組は、ここ2シーズン実に勢いに乗っている。去年の世界選手権のショートダンスで3位、先月のグランプリファイナルのフリーダンスで4位に入るなど、国際大会のセグメントで現全米王者のシブタニ兄妹を上回る得点を挙げた彼らは、先週のインタビューで「ここまで来たから、5回目の全米3位になるつもりはない。そういうオプションは考えられない」と、王座を狙う本気を見せた。しっとりとしたプログラムを情熱を持って演じ、長く付き合ってきた二人のつながりを見る人に感じさせるのが自分たちの特色だとハッベルが紹介したが、全米の場でどんな演技を見せてくれるか、そしてどんな結果につながるのか、早く見たいものだ。
次世代を担うカップル
この3組以外も、次世代のトップスケーターとして期待を寄せられる元世界ジュニア王者のケイトリン・ホワイエク/ジャン=ルック・ベイカー組や、レイチェル・パーソンズ/マイケル・パーソンズ組などの演技もぜひ見たい。
小さなミスが一つだけあってもメダルの色が変わるかもしれない激戦で、選手たちがどれほど自分のベストを出しきれるか、本当に観客をワクワクさせるだろう。
ウェイ・ション
中国広東省出身、早稲田大学アジア太平洋研究科を卒業。 コンサルタントを勤めながら、フリーランスのジャーナリスト・通訳として活動。数々のフィギュアスケート国際大会で記者会見の通訳を担当する経験があり、昨シーズンから国際スケート連盟ホームページの選手フィーチャーインタビュー・記事も執筆。趣味はフィギュアスケートの各種記録、データを覚えること。
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