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こんにちは、小塚崇彦です!
連載4回目の今日は、ステップシークエンスに関して説明していきたいと思います。
ステップは、スケート靴のエッジのいろんな所に体重を乗せ換えて細かいターンなどを入れながら滑っていくことです。そして、図系を描きながらステップを踏んでいくのが、ステップシークエンスで、これが採点要素の一つとなっています。
ステップシークエンスを構成するターン、ステップには次の6つの種類があります。
スピンのように回りながらターンする「ツイズル」
はじめのカーブと逆の方向に回転し、ターンの後は同じ方向に乗る「ブラケット」
円の中に小円を描く「ループ」
はじめのカーブと逆の方向に回転し、ターン前後でエッジの軌跡が逆になる「カウンター」
はじめのカーブと同じ方向に回転し、ターンの前後でエッジの軌跡が逆になる「ロッカー」
足を踏み替えて向きを変える「チョクトウ」
いずれも左右前後両足あるので、1種類のターンにつき8種類全部で48通りということになります。レベルの判定としては、軸足と回転方向の判断なので24通りですね。
ステップシークエンスのレベルは、これら24種類のターンやステップの数や、回転方向や身体の動きなどを見て判定されます。
最近、「クラスター」という表現を聞いたことはないでしょうか?これは難しい3つのターンの組み合わせを片足で行うことをいい、明確なリズムで左右の足で異なるものを1 つずつ行うことがレベルとして認められる要件となります。
(注:2017/18シーズンより各足とも最初に試みられた3つのターンの組み合わせのみクラスターとして認められる)
<参考>ステップ難度レベル *2016-2017ルール
https://www.jsports.co.jp/skate/game/#figureSkateGame07
ステップシークエンスのレベルは、レベルをあげるための特徴をいくつ満たしているかによって変わってきます。しかし、「これはレベルが取れるステップシークエンスだな」と見ながら判断していくのはとても難しいことだと思うので、何度もスローで映像を見て慣れていってほしいと思います。
またステップのスピードが速いので、もし僕が早口言葉を得意なら「これは左足のフォアアウトツイズルで、右足のバックインループで――」などと一つ一つ解説していくことができるかもしれませんが、さすがにそこまで舌が回りません・・・
一方で、ステップ&ターンにおける、ジャッジに-3から+3の7段階で判断されるGOE (Grade of Execution)GOEの方は比較的説明しやすいと思います。
<参考>GOE採点ガイドライン(プラス面/エラーに対する引下げ)*2016-2017ルール
https://www.jsports.co.jp/skate/game/#figureSkateGame08
端的に言えば、ステップシークエンスにおいて、音楽との調和性がありターンがぶちぶちに切れていなければ、点数が上がっていきます。例えば、ロッカー、カウンター、ループ、トウステップ、ブラケットという構成で、それぞれのターンのつながりが悪ければ高く評価されないですし、やはり、ターンのつながりが良く、また上半身も含めた音楽にあった表現がなされていれば加点につながりやすくなります。
つまり、一度動いては休み、また動き始める。そのような動きでは点数が上がりにくいというふうに見ていけばわかりやすいかと思います。
ちょっと上級者の方にはターンを綺麗に描いているか、そして、そのターンの直後のスケートの伸びがあるか、止まってしまうのか、あるいはすぐに脚を氷に着いてしまうか、そんなところに目をつけてみてください。
ターンの入りと出がどうなっているか、ステップシークエンスが綺麗につながっているかなど、アイスダンスのソチ五輪金メダリストでアメリカのチャーリー・ホワイトや、同大会の銀メダリストでカナダのスコット・モイアといった選手が得に上手だと思っているので、是非、参考にしていただければと思います。
ここまで3回にわたってジャンプ、スピン、ステップ&ターンと解説してきましたが、ジャッジの判定やGOEでなぜ高い点がつくかということを見極めることはそんなに簡単なことではないのですが、過去の素晴らしい演技を何度も見たり、TV中継のメモを取りながら見たりして、少しずつ目を養っていき、さらにフィギュアスケートを楽しんでいってほしいと思います!
【フィギュアスケートラボ Vol.3 研究結果:ステップ】
(1)まずはステップシークエンスを構成する6つのターン、ステップを覚えよう。
(2)ターンを一つ一つを見極め判断していくのは、とても難しい。何度も映像を見て目を養おう。
(3)GOEについてはステップの全体に流れがあるか。そして音楽との調和があるかで見てみよう。
小塚 崇彦
1989年、愛知県生まれ。元五輪代表の父のもと、5歳からスケートを始める。2005-06シーズン、全日本ジュニア選手権・世界ジュニア選手権で優勝。2010年はバンクーバー五輪に出場、8位入賞。世界選手権は計7回出場し、2011年の大会では2位に。全日本選手権には連続12回出場し、2010年大会の優勝をはじめ、7回表彰台に上がる。2016年にトヨタ自動車へ入社。現在は解説や教室講師等、活動の幅を拡げている。
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