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みなさん、こんにちは! 小塚崇彦です。 戻ってきた「フィギュアスケートラボ」、連載3回目となる今回のコラムでは、ジャンプに続きスピンの見方についてお話ししていきたいと思います。
普段から、フィギュアスケートをよくご覧になるみなさんは「ベーシックポジション(基本姿勢)」のスピンはご存知の方も多いと思いますが、もう一度、確認しておきたいと思います。
ISUのルールでは、まっすぐに直立した「アップライトスピン」、上体と片足を氷と平行の位置に保ってT字型になって回る「キャメルスピン」、その名の通り、しゃがんだ状態の「シットスピン」の3つの姿勢に加えて、アップライトを応用して仰向けに反った「レイバックスピン」の4つがスピンの要素とされています。
4つのベーシックポジション
(1)アップライトスピン
(2)キャメルスピン
(3)シットスピン
(4)レイバックスピン
そして、この4つのスピン姿勢に入らない、どれにも当てはまらないスピンが「ノンベーシックポジション」のスピンということになります。スピンを回っている軸足の膝が90度以上170度くらいまで曲がっていたら、ノンベーシックのスピンだと思ってもらえればわかりやすいでしょうか。
ノンベーシックポジション
基本姿勢から脚の位置を変えるスピンのバリエーションの例としては、脚を頭の上で高く上げてつかむことでお馴染みの「アップライト・ビールマンスピン」、キャメルから上体を反らして脚をつかむ「ドーナツスピン(キャメル・サイドウェイズスピン)」などがそうですね。
<参考>スピン基礎点一覧 *2016-2017ルール
https://www.jsports.co.jp/skate/game/#figureSkateGame06
そして、美しいスピンの基本はスピードと回転軸、あとポジション(姿勢)ですね。スピンはプログラムに最大3回まで入れることができますが、単一姿勢(チェンジフットはOK)、コンビネーション、もう一つはフライング(飛び上がって)してから入ります。
それではレベルを上げるにはどうすればいいでしょうか。スピンもステップも、難度レベルの特徴が細かく定められていて、レベル1は1個、レベル2は2個、レベル3は3個、レベル4は4個というように、特徴を満たした数で判定されます。
<参考>難度レベル(シングル) *2016-2017ルール
https://www.jsports.co.jp/skate/game/#figureSkateGame07
少し表現は雑かもしれませんが、スピンのレベルを上げるには「ちょっと余計なことをする」と僕は考えています。つまり、ベーシックポジションから少し変わった姿を見せることです。
例えば同じ姿勢で8回転まわったり、ポジション変更をしたり、上や横を向いたり遠心力で振り回されてしまいそうなポジションをとる、フライングエントランスでバタフライを行うなど、バリエーションをつけていくようなスピンのことです。
こうしたバリエーションや、チェンジ・フット(脚変え)、エッジの変更など難しい入りをするなど、変化を加えればそれだけレベルが上がっていきます。
次にスピンのGOEですが、ISUでは、ジャンプと同じように8項目のうち2項目満たしていれば+1、4項目なら+2、6 項目またはそれ以上なら+3と評価するとしています。(注:2016-2017ルール)
<参考>GOE採点ガイドライン(プラス面/エラーに対する引下げ) *2016-2017ルール
https://www.jsports.co.jp/skate/game/#figureSkateGame08
スピンでGOE加点を得るには、まず回転速度の増加が有効だと考えています。もちろん速いスピードから遅いスピードへの変化は単にスピードが落ちたと思われてしまうので、マイナスになってしまいます。
回転スピードを上げる技術は難しいのですが、例えば、レイバックスピンで上に挙げている足を回っている脚に近づけると、回転半径が少なくなるので速くなります。また、伸びている手を縮めたり、キャメルスピンの脚を縮めたりするといった方法などで回転速度を上げたりしますね。
先ほども言いましたが、スピンはスピードと回転軸が基本なので、このスピード、さらに回転数、加えてポジションの綺麗さがやはりGOEの採点に影響してくると思います。例えば、脚が曲がっていたら速く回るけど綺麗じゃないですよね。そこは若干、あいまいな部分もありますが、総合的に見てGOEの点数をつけているので、やはり大切な部分だと思います。
今はジュニアも含めてトップ選手は、ほぼみんなレベル4を狙ってプログラムを作っています。どの選手もスピンについては、ベーシック以外でもチェンジエッジとかなるべくテクニカルパネルにわかりやすいく、レベルを上げてもらいやすいスピンを目指しています。そして、レイバックスピンでビールマンができないけど、ウィンドミルやってレイバックスピンができるなど、どんなスピンができて、逆にどんなスピンができないかを考慮しながらプログラムを作っていますね。 お話したように、スピンは要素の数が増えればレベルが上がるので、コーチの先生たちでも、指導している選手が演技をしているときは観客席で「これをやり、次にこれやった」と要素を数えています。皆さんも数えながら見て頂いたら、さらに楽しくなるのではないでしょうか。
小塚崇彦さんの2011年世界選手権(総合2位)の際のフリープログラム採点表
スピンは全てレベル4獲得
出展:ISU国際スケート連盟ホームページ http://www.isuresults.com/results/wc2011/wc2011_Men_FS_Scores.pdf
小塚 崇彦
1989年、愛知県生まれ。元五輪代表の父のもと、5歳からスケートを始める。2005-06シーズン、全日本ジュニア選手権・世界ジュニア選手権で優勝。2010年はバンクーバー五輪に出場、8位入賞。世界選手権は計7回出場し、2011年の大会では2位に。全日本選手権には連続12回出場し、2010年大会の優勝をはじめ、7回表彰台に上がる。2016年にトヨタ自動車へ入社。現在は解説や教室講師等、活動の幅を拡げている。
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