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ヘルシンキのハートウォールアリーナが沸いた。優勝した羽生結弦を筆頭に、2位の宇野昌磨、3位のボーヤン・ジン、4位のハビエル・フェルナンデス、ともにトータルスコアが300点を超え、5位のパトリック・チャンと6位のネイサン・チェンも290点を超えるという熾烈な戦いだった。羽生のSP5位からの逆転優勝も歴史に残る名勝負となるに違いない。
1位 羽生結弦/321.59(SP:98.39/5位、FS:223.20/1位)
羽生結弦が、再び羽生結弦を超えた。SP「Let’s Go Crazy」ではグループ最初の滑走の準備時間が60秒から30秒にルールが改正されたのを知らず、演技スタートが遅れ1点減点となった。冒頭の4ループを見事に決めたが、次の4サルコウで膝が氷につき、すぐに2トゥをつけたもののコンビネーション・ジャンプと認められず、4点減点。結果、98.39の高得点を出しながらも5位と出遅れた。巻き返しをはかったFS「Hope & Legacy」では、五輪王者の実力を出し切り、ループ、サルコウ、トゥループを含む3種類4本の4回転と2本の3アクセルを次々ときれいに着氷、スピン・ステップもすべてレベル4を取り、完璧な演技を見せた。柔らかく静かなプログラムと音楽にもかかわらず、会場は大きく盛り上がり、歓声と拍手が上がった。結果自身の持つFSの世界最高得点を塗り替え223.20点を叩き出した。トータルスコア321.59点で歴史に残る大逆転を達成。3年ぶりに再び世界選手権の金メダルを手にした。しかし、試合後のインタビューでは「フリーだけがよかった。もっと練習を重ねないといけない」と自己反省の姿勢を見せ「選手それぞれ長所があって、僕にはないものがたくさんあって、全てが僕にとっては追いかける背中です」とさらなる進化を目指す意欲を見せた。
2位 宇野昌磨/319.31(SP:104.86/2位、FS:214.45/2位)
宇野昌磨が攻めた。SP「ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジー」では、冒頭の4フリップと4トゥ-3トゥコンビネーション・ジャンプをしっかりと着氷。徐々に調子を上げ、後半のエレメンツでほとんど+2以上のGOEを得た。PBを更新し、SP2位で臨んだFS「ブエノスアイレス午前零時/ロコへのバラード」では、持ち味の表現力で観客を沸かせながら、フリップ、ループ、トゥループを含む3種類4本の4回転を完成。2本の3アクセルとも+2.5以上のGOEを獲得した。結果FSもPBを大幅に更新したが、3ルッツでの大きなミスが響き、羽生の得点に届かず、FS・トータルスコアともに2位。自身初の世界選手権メダルを獲得した。プレスカンファレンスでは「結果も嬉しいですし、何よりも、昨シーズンの世界選手権での涙が笑顔で終われたことが本当に嬉しかったです」と、満足な様子を見せた。
3位 ボーヤン・ジン/303.58(SP:98.64/4位、FS:204.94/3位)
昨シーズンに続き、今年も4回転を武器に銅メダルを収めたボーヤン・ジン。SPでは、トレードマークでもある4ルッツ-3トゥを含め、3つのジャンプを全てしっかりと着氷。テーマである「スパイダーマン」らしい軽快な振り付けで会場を盛り上げた。PBを更新してSP4位に臨んだFS「道」では、ルッツ、サルコウ、トゥを含めた3種類、4本の4回転と2本の3アクセルを軽々とおり、全てのエレメンツでプラスのGOEを獲得した。結果FSで200点超え、トータルで300点超えという高得点を叩き出し、2年連続銅メダルとなった。「今までスケート人生を頑張ってきて、やっと世界選手権という舞台で300点超えの点数を取ることができ、とてもうれしいです。去年はちょっと運が良かったと思いますが、今年は本当の実力を発揮できたので、とても満足しています。」と語った。
4位 ハビエル・フェルナンデス/301.19(SP:109.05/1位、FS:192.12/6位)
去年の王者ハビエル・フェルナンデスは、SPで迫力あるノーミスの演技で、驚異的な109.05点を叩き出した。三連覇を狙うプレッシャーによるか、前に出場した選手たちの好演技に影響されたか、FSでは4サルコウでの転倒やコンビネーション・ジャンプでのパンクなど大きなミスが目立ち、192.14点でFS6位に落ち、総合得点が300点を超えながらも4位に落ちた。
5位 パトリック・チャン/295.16(SP:102.13/3位、FS:193.03/5位)
世界選手権を三回も君臨したパトリック・チャン。SPでは実力を出し切り、今まで最高な演技を見せた。4回転1本しか入れていなかったが、全てのエレメンツで+2以上のGOEを稼ぎ、持ち味の美しいスケーティングで高い演技構成点を獲得した。結果、自身初のSP100点超えを果たした。FSでは、3アクセルのコンビネーション・ジャンプと後半4トゥでの乱れが目立ったが、4サルコウを含む他のエレメンツをしっかりと完成させた。しかし、ジャンプの難易度が比較的に低いため、基礎点が上位選手に及ばず、FS・総合とも5位となった。
その他、4回転の申し子、四大陸王者として注目が集まったネイサン・チェンは、別次元にあるほど難易度の高い構成に挑んだが、ジャンプに精度が欠け、転倒などのミスが響き、総合6位につけた。チェンに続き、成功した4回転なしのジェイソン・ブラウンが豊かな表現力で7位と奮闘し、二人でアメリカにオリンピック出場の3枠をもたらした。その後ろにロシアのミハイル・コリヤダが8位、カナダのケヴィン・レイノルズが9位、イスラエルのアレクセイ・ビチェンコが10位と、それぞれの国のために2枠を獲得した。
J SPORTS 編集部
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