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ペアの試合ではSP・FSとも素晴らしい演技が続出。ヘルシンキの会場を沸かせた。優勝したウェンジン・スイ/ツォン・ハン組と2位のアリョーナ・サフチェンコ/ブルーノ・マッソ組はそれぞれ歴代2位と4位のトータルスコアを叩き出し、トップ10組がなんと全員200点を超えるなど、なかなか見られないハイレベルな戦いとなった。
1位 ウェンジン・スイ/ツォン・ハン/232.06(SP:81.23/1位、FS:150.83/1位)
過去2大会とも銀メダルを獲得したスイ/ハン組は、今年ようやく念願の金メダルを手に入れた。SPでは「ブルース・フォー・クルック」の音楽に合わせ、全てのエレメンツを高い質で完成させた。中でもスロー3フリップはジャッジ全員から+3のGOE(出来栄え点)を付けられる、完璧な出来だった。結果PB(パーソナルベスト)を更新し、ショート1位に立った。FSでは高い4ツイストを始め、またも+3のGOEのスロージャンプ、リフトはすべてレベル4を取るなど、次々とエレメンツをクリアし、スイがソロジャンプの3サルコウで転倒したにもかかわらず、全選手中、最も高い技術点を叩き出した。心を込めて演じたこの「明日に架ける橋」のプログラムは、観客を感動させ、スタンディングオベーションを起こし、ジャッジも9.5点台近くの演技構成点を与えた。その結果、二人は初めて世界王者に君臨した。「去年両足に手術を受けた後、これからもう滑れないと思う時期があった」と靭帯とアキレス腱の再建手術を受けたスイが振り返り「練習が再開してから、毎日滑れることが幸せですし、本当に戻れてよかったと心から嬉しく思います」と語った。
2位 アリョーナ・サフチェンコ/ブルーノ・マッソ/230.32(SP:79.84/2位、FS:150.46/2位)
ペアを組んで2年しか経っていないサフチェンコ/マッソ組は、去年から順位を一つ上げ、銀メダルを獲得した。SPの冒頭では、レベル4かつGOE+3が付けられた完璧な3ツイストを見せたが、難易度の高いスロー3アクセルで着氷が大きく乱れ、SP2位となった。FSでは、再びスロー3アクセルに挑戦し出来を改善したが、プラスのGOEを得ることはできなかった。一方で、抑揚のある音楽と振り付けが独特な「Lighthouse」は、観客を二人の世界に引き込み、最も高い演技構成点を獲得。スロージャンプでのミスが響いて、FSもトータルスコアも結果は2位となった。今大会で個人10枚目の世界選手権メダルを手に入れたサフチェンコ。「ここまで来られたのは満足していますが、もっともっと欲しいです」とマッソが語ったように、結成3年目となったサフチェンコ/マッソ組のこれからの活躍に注目したい。
3位 エフゲーニャ・タラソワ/ウラジーミル・モロゾフ/219.03(SP:79.37/3位、FS:139.66/4位)
銅メダルを獲得したのは、欧州王者のタラソワ/モロゾフ組。SPでは満点をもらった3ツイストをはじめ、全てのエレメンツをノーミスで完成させた。FSでも終盤のアクセルラッソリフトでブレた以外、目立つミスがなかったが、基礎点とGOEが上位2組に及ばず、FSの演技構成点でも差が広がり、結局3位につけた。試合後、モロゾフは「今日の演技に満足しています。演技の最後に興奮してしまって、一瞬集中力が欠けたからこのリフトのミスをしたと思います」とミスについて語った。
4位 シャオユイ・ユイ/ハオ・ジャン/211.51(SP:75.23/4位、FS:136.28/5位)
結成して10ヶ月しか経っていないユイ/ジャン組が見事に4位に入賞した。SPでノーミス、FSでもソロジャンプ一つ以外目立つミスがなく、さらに大技4ツイストを完成させるなど高い技術力を示した。これから表現力を増し、演技構成点を徐々に上げることができれば、表彰台も狙えるであろう。
5位 クセニア・ストルボワ/フョードル・クリモフ/206.72(SP:65.69/13位、FS:141.03/3位)
ロシアの国内王者であるストルボワ/クリモフ組は、SPでツイストとスロージャンプで失敗して転倒し、ソロジャンプの着氷も乱れ、まさかの13位となった。しかし、FSではオリンピック銀メダリストの底力を発揮し、全選手中、最も難易度の高い構成をまとめ、FS3位と巻き返し、総合5位につけた。
他にも、カナダのリューボフィ・イリュシェチキナ/ディラン・モスコヴィッチ組がSP・FSともPBを出し、6位につけた。ディフェンディング・チャンピオンのメーガン・デュハメル/エリック・ラドフォード組はなかなか調子を上げられず、エリックの怪我の為、本来の力を発揮できなかった演技で7位にとどまった。
熾烈な戦いの結果、日本代表の須藤澄玲/フランシス・ブードロ オデ組もSPで会心の演技で61.70点を出しPBを更新したが、FSに進出できる16位まで僅か0.33点差で届かず、残念ながらSPで終わってしまった。しかしながら結成二年目のこのペアの演技は素晴らしく、二人が今大会の経験を活かして次の試合に繋げることを期待したい。
J SPORTS 編集部
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