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第66回全国高等学校スケート選手権大会 フィギュア競技選手権大会 女子シングル
フィギュアスケートレポート by 中村康一(Image Works)去る1月20日-23日の日程で宇都宮市スケートセンターにて開催された、全国高等学校スケート競技選手権大会(インターハイ)。活躍した入賞選手について、女子選手をご紹介しする。
優勝 : 三原舞依
「初めてのインターハイで優勝できて嬉しい」。
演技後、彼女の第一声だ。現在高校2年生の三原選手だが、昨年のこの時期は関節の病気のため療養中で、インターハイに出場することが叶わなかったのだ。彼女は既にシニアに昇格しており、しかも四大陸選手権、世界選手権の代表に選ばれている。インターハイはジュニア課題で行われる大会であり、プログラムの作り直しが必要になるため通常ならば出場を辞退することも十分にあり得るケースだが、彼女はそれを押して出場に踏み切った。「ジュニア課題に戻すことは大変でしたが、その大変なことが出来ていることで、スケートが出来ているんだという実感が湧いて幸せだと感じています」。応援してくれている学校のためにも出場したかったのだという。
「病気から立ち直って、こうして人前で滑れていることが幸せです」。
取材の中で、そう何度も口にした。感謝の思いを込め、演じるスケート。心に響く演技で万雷の拍手を受けた。
2位 : 坂本花織
ショートプログラムでは1位スタート。しかしフリー演技では彼女らしからぬミスがあり、2位に留まった。ミスをした後のリカバリーがうまく行かなかったことに悔いが残ったようだ。
「舞依ちゃんの後に滑ったことが緊張の元になりました」。
抽選で三原舞依の後の滑走順を引いた時から緊張を覚えていたという。シーズン序盤は怖いもの知らずの気持ちで臨めていたのだが、全日本ジュニア選手権で優勝してからは再び緊張を覚えるようになり、ここ数試合は思うような演技が出来ていないと語る。ただその能力の高さは疑いようのないところ。急きょ出場が決まった冬季アジア大会での巻き返しを期待したい。
3位 : 岩元こころ
滑り切って思わずガッツポーズ。演技後の取材ではスピンでのレベルの取りこぼしなど、細かなミスを反省していたが、傑作とも呼べる今季のフリープログラムを完成度高く滑り切った、感動の演技だった。
個人成績では2年連続の3位、そして大阪薫英女学院高等学校は見事に団体優勝を果たすことが出来た。ショートが終わった後、「団体1位と聞いて意識はした」とのことだが、フリーでは落ち着いて滑ることが出来、陸上、バスケットボールと好成績の続いている母校にもう一つ、勲章をもたらすことが出来た。来季はシニアに上がる可能性が高いという。受験のため、どの程度スケートの練習が出来るか分からないそうだが、ダイナミックで美しい演技を来季も披露してもらいたいものだ。
4位 : 松原星
ジュニアでは東日本勢のエースと目される選手だ。その潜在能力は高く、常に期待を集める立場だが、今季のショートプログラムは緊張のためにミスをしがちだった。この大会でもショートでループジャンプを失敗。出遅れてしまったが、フリー演技は本来の素晴らしいパフォーマンスを見せ、4位に入賞することが出来た。来季こそは悲願のジュニアグランプリ出場を果たしてほしい。それだけの力は十分にある選手だ。
5位 : 横井ゆは菜
今季、彼女はトリプルアクセルにこだわってきた。ジュニアのトップ選手達に追いつくためには“飛び道具”が必要だ、との理由からだったが、そのためにプログラムの完成度を落としてしまっていた感が強かった。その反省もあり、インターハイではトリプルアクセルを回避し、難度を落とした構成でどこまで点数を出せるのかをチェックする大会と位置付けていたようだ。残念ながらこの試合ではミスが多く、当初の目的を果たすことは出来なかったが、続く国体では同じ構成で素晴らしい演技を披露。フリー演技での120点台を視野に入れることが出来、来季に向けて意を強くしたようだ。来季は「トリプルアクセルを入れて、完成度も求めたい」とのこと。期待したい。
6位 : 竹野仁奈
見事な入賞を果たした竹野仁奈。一昨年、昨年は姉の竹野比奈が連続入賞を果たしており、姉妹での3年連続入賞となった。この大会ではショートプログラムで3ループを成功させたことが大きく効を奏した。元よりトウ系のジャンプは得意な印象のある選手で、ループジャンプが安定すれば更なる活躍が期待できる。
7位 : 西坂美柚
美しいコスチューム、艶やかな表現力で黒鳥を演じた西坂美柚。その踊りのセンスは今大会の全出場選手の中で一番かもしれない。技術面ではトウループ、サルコウを軸とした構成で、まだ難しい種類のトリプルジャンプは苦手なようだが、それが気にならないほど素敵な演技だった。
8位 : 森千夏
2年連続で全日本選手権に出場するなど、安定した成績を残している森千夏。この大会においてはショートプログラムの出来栄えが素晴らしかった。ループジャンプこそダブルに抑えたものの、全てのエレメンツをそつなくこなし、ノーミスの演技。それが最後のインターハイでの入賞へとつながった。大学進学後も活躍を見せてほしい。
中村康一(Image Works)
フィギュアスケートを中心に活躍するスポーツフォトグラファー。日本全国の大会を飛び回り、選手の最高の瞬間を撮影するために、日夜シャッターを押し続ける。Image Works代表。
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