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優勝候補のエフゲーニャ・メドヴェージェワを筆頭に、3年連続でロシア勢の表彰台独占となるか、2シーズンぶりの復帰となるカロリーナ・コストナーがそれを阻むか、注目が集まった今年の女子シングル。SP(ショートプログラム)では1位〜4位までが70点を超えるというハイレベルな闘いで幕を開けると、FS(フリースケーティング)でも、PB(自己ベスト)スコアを出す選手が続出。さらには、メドヴェージェワの圧巻の演技に世界歴代最高得点更新という記録までついて、会場を大いに沸かせた。
1位 エフゲーニャ・メドヴェージェワ/229.71 (SP:78.92/1位、FS:150.79/1位)
まさに、圧巻だった。SP、FSともに、GOE(出来栄え点)プラスがズラリと並ぶプロトコル(採点表)。スピン、ステップのレベル4は当然のごとく、失敗する気配のないジャンプ、表現力あふれるスケーティングで、彼女の世界へ観客を引き込んだ。PCS(演技構成点)で10点満点をつけたジャッジも出たFSでは、自身が持つ世界最高得点を更新。ひとり別次元の演技を見せたメドヴェーデワ。トータルスコアでもこれまで韓国のキム・ヨナが保持していた世界歴代最高得点を7年ぶりに破った。これでSP、FSと併せ、すべての最高得点ホルダーとなり、あっさりと欧州選手権2度目の優勝を決めた。しかしそれだけで終わらないのが彼女らしい。余分なコンビネーションジャンプを跳んで基礎点を下げてしまったが「ちょっと普通じゃないことをしたかった」と笑い飛ばした。攻め続ける絶対女王は未だ進化の途中だ。
2位 アンナ・ポゴリラヤ/211.39(SP:74.39/2位、FS:137.00/3位)
今季のポゴラリヤは本当に強い。ジャンプの安定感、手足の長さを生かしたエレガントでダイナミックなスケーティングは、新たなステップに上った彼女を印象づけた。SPではノーミスの演技でPBを更新。その勢いで挑んだフリーは、冒頭のコンビネーションジャンプが単独となるものの、その後しっかりリカバリー。細かいミスもあったが、勝ちに対する貪欲さを見せ、銀メダルをもぎ取った。ソツコワを超えてロシアチームの2番手となり、ロシア選手権のリベンジも果たした格好だ。ファッショナブルでゴージャスな衣裳もポゴラリヤの魅力。今回も彼女の笑顔と相まって、リンクに大きく咲いた花のようだった。
3位 カロリーナ・コストナー/210.52(SP:72.40/3位、FS:138.12/2位)
2014年ソチ冬季五輪で銅メダルを獲得して以来、2シーズンぶりの国際試合へ笑顔で復帰を果たしたコストナー。SPでは和太鼓やドラムソロの激しいビートにのり、いきなりのノーミス演技。3トゥループ+3トゥループのコンビネーションジャンプをはじめ、得意のスピンでも高い加点がつき、トップ選手の実力を見せつけた。FSでは着氷に乱れが出たもののすべてのジャンプを下り、メドヴェージェワに次いで2位となった。ダイナミックなスケーティングは変わらず素晴らしく、今回はさらに丁寧で美しいパフォーマンス。そこに彼女の強い気持ちを感じた。「滑りきれたことがうれしい」と語ったコストナーが、しっかりと掴んだ欧州選手権10個目のメダル。ブランクを全く感じさせないスタートは、待ち望んでいた多くの人々への最高の贈り物だろう。
4位 マリア・ソツコワ/192.52(SP:72.17/4位、FS:120.35/5位)
今季のロシア選手権ではポゴリラヤを抑えて3位に入ったマリア・ソツコワ。シニアデビューのシーズンにして、NHK杯の銅メダリストとなったこの勢いのある16歳は、SPでも落ち着いていた。3つのジャンプをしっかり下り、スピン、ステップの4つのエレメンツでレベル4を獲得。今できることをやりきった演技でPBを更新した。表現力の面で若さゆえの硬さが見られたが、それはこれから身に付いていく部分。FSではジャンプのミスが目立ち失速したが、蝶が舞うような、指先まで美しいパフォーマンスで存在感を示した。基礎がしっかりできているクリーンな演技、優雅さを醸し出す柔軟性はソツコワの大きな武器だろう。
5位 ロリーヌ・ルカヴァリエ/188.10(SP:63.81/5位、FS:124.29/4位)
フランスの20歳、ルカヴァリエは、これまでジャンプをはじめ、各エレメンツともに安定感に欠けていた印象があった選手。しかし今大会ではSPで、冒頭の3ルッツ+3トゥループという大技を見事に決め、そのままの勢いでノーミスで滑りきるという快挙。スピンもすべてレベル4の判定を受け、笑顔でフィニッシュする余裕を見せた。FSでは演技途中、お馴染みの衣裳替えを披露。観客を大いに沸かせた。そこからは『グリース』のポップな曲にのり溌剌としたパフォーマンス。最後まで観客の拍手は途絶えず、2アクセルを見事に決めてのフィニッシュでは大喝采となった。今大会、SP、FS、トータルのすべてでPBを更新し、フランスの新星が誕生した。
ついにトータルでの世界歴代最高点を出した、女王メドヴェージェワの圧倒的な強さ。まだ17歳という年齢を考えると、今大会も進化の途中。3月の世界選手権ではまた新しい景色を見せてくれることだろう。最終シーズンでプログラムが馴染んでくるためか、PBを更新する選手が女子でも多かった。中でも、FSでポゴリラヤ、ソツコワというロシア勢に割って入ったフランスのルカヴァリエは、まさに覚醒した感のある演技を見せた。そのほかベルギーの男子選手、ヨリック・ヘンドリックスの妹であるロエナ・ヘンドリックスも若さ溢れる演技で伸びしろを感じさせる。来季、ますます白熱する気配の欧州選手権を思い、改めて今大会をじっくり楽しみたい。
植田広美
女性誌編集者としてアスリートの取材、インタビューを手がけるうち、どっぷりとフィギュアスケートの沼にはまる。国内外の試合、アイスショーはほぼ観戦。五輪王者を筆頭に日本選手が世界の舞台で活躍する現在の状況にワクワクしつつ、海外選手も全力応援! 全員がベストスコアの神試合がいちばんの望み。趣味は愛機で選手の写真を撮ること。
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