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昨年のグランプリファイナル(GPF)に出場したトップ6中3組を輩出したアイスダンス王国アメリカ。なかでも昨年の全米覇者であり、今季は表彰台を逃していないマイア・シブタニ/アレックス・シブタニ組に注目が集まった今大会。元世界Jr.チャンピオンでNHK杯メダリストでもあるケイトリン・ホワイエク/ジャン=ルック・ベイカー組、エリアンナ・ポグレビンスキー/アレックス・ブノワ組など、若手チームの成長も目覚ましい今、火花散る華麗なダンスの共演に、多くのファンが酔いしれたに違いない。
1位 マイア・シブタニ/アレックス・シブタニ組/200.05(SD:82.42/1位、FD:117.63/2位)
前評判通り、強さを見せつけたマイア・シブタニ/アレックス・シブタニ組。ショートダンス(SD)では、シナトラの『That’s life』にのせ、クラシカルでゴージャスな世界を、確かなテクニックで表現。ディフェンディングチャンピオンとしてのプレッシャーを感じさせないスケーティングで、82.42という高得点を獲得。全米選手権アイスダンスの歴代最高点保持者となった。FD(フリーダンス)では緊張からか少し硬さが見えたものの、加点もたっぷりつく演技で、こちらも非公式ながら自己ベストを更新。それでもFDは2位となったが、SDの貯金で逃げ切り、見事2連覇を果たした。ゆったりと流れるように各エレメンツが繋がりながら、シャープさもしっかりある。見ていて優雅さと爽快さを感じるスケーティングが魅力だ。試合ごとに着実に力をつけて来た彼らが、この勢いのまま世界選手権にピークを持って行けるか。全米の期待がかかる。
2位 マディソン・チョック/エヴァン・ベイツ組/199.04(SD:79.96/2位、FD:119.08/1位)
昨年の全米選手権で、マイア・シブタニ/アレックス・シブタニ組に破れたマディソン・チョック/エヴァン・ベイツ組。2年ぶりにタイトルを奪還するべく、SDから気合いが入っているのを感じた。直近のGPFでは6位に沈むなど、不調を指摘する声もあったが、今回はスタイリッシュでエッジの効いた彼ら本来の演技が戻った。こちらも自己ベストを更新するが、僅差で1位に届かず。FDではデビッドボウイの『Under Pressure』をダイナミックに滑りきり、会場を大いに沸かせた。結果、1位となるものの、SDの差を覆すことはできず2年連続の銀メダルとなった。高い技術に裏打ちされた彼らのパフォーマンスは、最高にクールで、最高に情熱的。一度目にしたら引き込まれること必至だ。
3位 マディソン・ハッベル/ザカリー・ダナヒュー組/191.42(SD:79.72/3位、FD:111.70/3位)
今季のGPSでは、エリック杯、スケートアメリカと、2試合とも銀メダルを獲得しGPFに進出。確実に力を伸ばしているのがマディソン・ハッベル/ザカリー・ダナヒュー組だ。今回のSDでは、ヒップホップメドレーにのせ、その勢いを見せつけるようなパワフルな演技で、オールレベル4を達成。期待のかかったFDでは、転倒があったことで集中力が途切れたか、スコアを伸ばせず。3年連続の3位で終わった。
4位 エリアンナ・ポグレビンスキー/アレックス・ブノワ組/170.29(SD:67.17/5位、FD:103.12/4位)
4位につけたのが、エリアンナ・ポグレビンスキー/アレックス・ブノワ組。174cmと188cmというこの超大型カップルは、シニア初参戦。全米ジュニアでは2度の銅メダリストとなっている。18歳と21歳とは思えない、ゆったりと落ち着いたパフォーマンス。とくにSD『Trouble』では、プレスリー&50 ‘sテイストの衣裳と振り付けに会場が沸いた。若さ溢れる2人にはとてもマッチしているプログラム。見た目も演技もスケール感のあるこの若手ペアにこれからも注目したい。
5位 ケイトリン・ホワイエク/ジャン=ルック・ベイカー組/160.06(SD:72.60/4位、FD:87.46/8位)
今季、スケートカナダで6位、NHK杯で4位と健闘を見せたケイトリン・ホワイエク/ジャン=ルック・ベイカー組。全米でどこまでスコアを上げるかが期待された。SDは細かなミスがありつつなんとか4位につけたものの、FDではツイズル、リフトに転倒があり、得点なしという大きなミスが出た。結果、本来の実力を出し切れぬまま8位に沈み、総合で5位となった。それにしてもお馴染みの2人の挨拶は、いつ見ても笑顔にしてくれる。
ダンス王国、アメリカと言われるだけあって、上位争いは国際大会に匹敵するハイレベルなものとなった。その中で、2連覇を果たしたマイア&アレックス・シブタニ組は、安定度で群を抜いていた。今回、少し控え目な演技に感じたのは、3月の世界選手権にピーキングを持って来るためなのか。まだまだ伸びしろがあると感じさせてくれるパフォーマンスを楽しみたい。FDで猛追した”チョクベイ”組は、その気迫に感動。クールとはこういうことだ、と言わんばかりのパフォーマンスは必見。3位のハベル&ドナヒュー組までが3月の世界選手権に出場が決まった。この3組にとっては全米のリベンジのチャンスにもなるだろう。今後も続く熱き闘いを楽しみに待とう。
植田広美
女性誌編集者としてアスリートの取材、インタビューを手がけるうち、どっぷりとフィギュアスケートの沼にはまる。国内外の試合、アイスショーはほぼ観戦。五輪王者を筆頭に日本選手が世界の舞台で活躍する現在の状況にワクワクしつつ、海外選手も全力応援! 全員がベストスコアの神試合がいちばんの望み。趣味は愛機で選手の写真を撮ること。
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