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グランプリファイナル(GPF)にも出場した昨年の覇者、アダム・リッポンが骨折により棄権を発表。波乱含みの開幕を迎えた男子シングルは、期待に違わぬ熱いバトルが繰り広げられた。疲労骨折の休養からカムバックしたジェイソン・ブラウン、驚異の進化を続けるネイサン・チェン、若干16歳で世界を驚かせるヴィンセント・ジョウ。目が離せない選手たちが揃った今大会の結果を総括する。
1位 ネイサン・チェン/318.47(SP:106.39/1位、FS:212.08/1位)
今季のGPFのFS(フリースケーティング)で4本の4回転ジャンプを成功させ、ノーミスの演技で会場を沸かせた記憶が新しいネイサン・チェン。今回の全米選手権で彼が選んだものは、”守り”ではなく”さらなる攻め”だった。SP(ショートプログラム)では、もはや彼のアイコンとも言える4ルッツ+3トゥループをあっさり決めると、続く4フリップも成功、そこからは余裕を感じさせる演技。苦手意識を語っていた3アクセルにも2.14というGOE(加点)がつく完成度の高さで、106.39点を獲得。SPで100点を超えた全米選手権史上初の選手となった。迎えたFS『だったん人の踊り』では4回転ジャンプを当初の5本に戻し、見事にすべて成功。ジャンプを跳ぶ度に技術点が10〜20点近く積み重なっていく様子は圧巻だった。ジャンプが決まった分、他のエレメンツにも余裕が見え、トータルで318.47を叩き出した。バレエで培った身体表現の美しさと相まって、硬軟併せ持つ新たな男子フィギュアの形を見せてくれた。
2位 ヴィンセント・ジョウ/263.03(SP:87.85/3位、FS:175.18/2位)
16歳のヴィンセント・ジョウは、今季はジュニアグランプリシリーズ(JGP)に参戦し、2大会で表彰台に上がっている。ジュニアの公式戦ではフリーに4サルコウを入れていたが成功していなかった。今大会では、ショートに4サルコウ、フリーに4サルコウ+2トゥループを入れるなど、大幅に構成を上げての参戦。それをしっかり決め、終わってみればジェイソン・ブラウン、グラント・ホックスタインを抜いての銀メダル。最終滑走者、それも直前のネイサン・チェンの圧巻の演技後となり、興奮覚めやらずざわつく会場内での演技。そこできっちりと力を出せたのは収穫だろう。17歳のチェン、16歳のジョウの1・2フィニッシュに、解説からは「この2選手はアメリカフィギュア界の未来」という言葉も出た。
3位 ジェイソン・ブラウン/254.23(SP:79.23/4位、FS:175.00/3位)
FSで1つ順位を上げ、銅メダルを獲得したのがジェイソン・ブラウンだ。2015年の全米選手権で優勝を果たすも、先シーズンは腰痛のために棄権。そのため、今季の復活を待ち望んでいた観客からのひと際大きな声援が印象的だった。GPSのNHK杯では珍しいほどのミスを出し不調を感じさせていたが、その後正式に疲労骨折というアナウンスがあり、今回の出場も危ぶまれていた。そんな状態ゆえか、SP、FSともに4回転を回避。3フリップ+3トゥループ、3アクセル+2トゥループなど、質の高いコンビネーションジャンプで乗り切った。女子も顔負けの美しさを見せるスパイラル、音楽と一体化したようなステップにスピンと、ジャンプ以外の重要性も改めて示したブラウン。複数の4回転を装備しないと勝てないという風潮の現在、男子フィギュアという競技に深みをもたらしていることは間違いない。
4位 グラント・ホックスタイン/248.31(SP:79.10/5位、FS:169.21/4位)
全米ならではの4位表彰台、ピューターメダリストとなったグラント・ホックスタイン。SPではガーシュウィンの『ラプソディ・イン・ブルー』のメロディにのせ、情緒溢れる演技を見せた。冒頭に予定していた4トゥループが抜けてしまいノーカウントとなったが、その後の3ルッツに3トゥループをつけてリカバーするなど、終始落ち着いていた。FSでは2つの4回転をなんとかまとめ、歌劇『道化師』の世界を滑りきりったホックスタイン。シーズン中多く見られた転倒も今回は1度もなく、復調の兆しも。フィニッシュ後には久しぶりの笑顔を見せた。
5位 ロス・マイナー/240.34(SP:88.67/2位、FS:151.67/8位)
SPでは88.67という高得点を出し2位につけていたロス・マイナー。ダイナミックなジャンプと表現力が魅力の26歳のベテランは、昨年の全米選手権では5位。表彰台を狙える位置にきてプレッシャーが生じたのか、FSではことごとくジャンプのミスが出るなど、焦りを感じる演技という印象。結果、3つ順位を落とし昨年に引き続いての5位となった。
ネイサン・チェンの5本の4回転ジャンプ成功、300点超えで大いに湧いた今年の男子シングル。2位のヴィンセント・ジョーと、若き2人の台頭は、アメリカのフィギュア界に大いなる希望を与えただろう。成熟さを感じさせる3位のジェイソン・ブラウンもまだ22歳。ここから平昌五輪ヘ向け、より一層の成長が期待できる。「強いアメリカ」の時代が男子シングルにも訪れそうだ。
植田広美
女性誌編集者としてアスリートの取材、インタビューを手がけるうち、どっぷりとフィギュアスケートの沼にはまる。国内外の試合、アイスショーはほぼ観戦。五輪王者を筆頭に日本選手が世界の舞台で活躍する現在の状況にワクワクしつつ、海外選手も全力応援! 全員がベストスコアの神試合がいちばんの望み。趣味は愛機で選手の写真を撮ること。
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