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試合後記
ロシア選手権ペアは、上位2組の息を呑む大接戦となりました。
優勝はクセニア・ストルボワ/フョードル・クリモフ。ストルボワの怪我で今シーズンはグランプリシリーズを欠場、アメリカでの治療ののち、本格的な氷上練習に復帰という茨の道を潜り抜け、勝利を手にしました。
2位はその差0.93点、優勝最有力候補だったエフゲーニヤ・タラソワ/ウラジ―ミル・モロゾフ。試合後モロゾフは「ヨーロッパ選手権に出られることが一番重要ですが、銀には満足していません。自分のミスで金を逃してしまいました。ジャンプの失敗とレベルの取りこぼしがありました。グランプリファイナルでの疲れが溜まって、ロシア選手権も例年より早く開催されたので、回復するには時間が短かったです。」、タラソワは「失敗を教訓にします。ヨーロッパ選手権までには時間がたっぷりあるので、年が明けたら気合いを入れ直して練習に励みます。」と悔しさを滲ませながら語り、ヨーロッパ選手権での雪辱を誓いました。
3位はナタリヤ・ザビヤコ/アレクサンドル・エンベルト。エンベルトは「今までロシア選手権で表彰台に立ったことはありませんでした。私たちがペアとして出るのは今回が二回目、私たちにとっては、銅は勝利に等しいです。グランプリファイナルに出られて、しかも堂々の結果を出すことできたので、高いモチベーションでロシア選手権に臨めました。」と嬉しさを晴れやかに語りました。
川口のアキレス腱断裂の怪我からエントリーさえも危ぶまれましたが、執念の復帰を果たした川口悠子/アレクサンドル・スミルノフは5位。タマラ・モスカビナコーチは「悠子とサーシャは、すべての、仕事や健康のために人生に苦難や問題を抱えている人たちに、どうやってそれを克服するかを見せたのです。」と二人の愛弟子を心から労いました。
7位のジュニアグランプリファイナルチャンピオン、アナスタシア・ミシナ/ ウラジスラフ・ミルゾエフは、ショートプログラムで転倒した女性を男性が「置き去り」にして、テレビ解説のマキシム・トランコフからお叱りを受けました。シニアの舞台で彼らはペアとは何たるかを学び、この経験はさらなる成長の糧になるでしょう。
ロシアのスケート関係者は、よく「スポーツ選手の人間としての成長は通常より速い」と言います。それは選手たちが外からも内からも鍛えられ、磨かれるからでしょう。苦難の時期を経て優勝を勝ち取ったストルボワの言葉は、私たちに勇気を与えてくれます。「ダンテの『神曲』のように、ここ数ヶ月は「九つの地獄」を通ってきたようでした。(不吉とされる)うるう年であったからか、私に何かを考え直させるために、我に帰らせるために、神様が試練を与えられたのか。運命に感謝しています。私が耐えられたこと、私たちがこの試練を乗り越えられたこと、やり通せたこと、帰って来られたことに。」
セルゲイ・ヴォルコフスキー
1967年ロシア生まれ。モスクワ大学日本語学科を卒業。
日本人と結婚し、ソ連崩壊を機に日本に移住。フリーランスの通訳・ジャーナリストとして活動。日本文化への関心が高じ、ロシア語で俳句を紹介するブログも執筆。ソチ五輪を始めとするフィギュアスケートの国際大会で、記者・通訳としても活躍している。
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