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スポーツテレビ局J SPORTSの人気番組「フィギュアスケーターのオアシス♪KENJIの部屋」2015-2016シーズンがいよいよスタート!日本選手はもちろん、海外選手のプログラムも多数手掛ける振付師・宮本賢二さん(KENJI)が、トップスケーターをゲストに迎えて、楽しく、真剣にトークを繰り広げます!
記念すべき新シーズン最初のゲストはソチ五輪・金メダリストの羽生結弦選手。第1回ではスケートを始めたきっかけやソチ五輪金メダル獲得後の心境などについて語っていただきました!
ソチ五輪は緊張した?
――優勝はしたんやけど、行って現地に着いた時にモチベーションというか心境というか、どうやったの?
羽生:なんも変わらなかったですね。
――普通?
羽生:はい、普通でした。普通の試合前の緊張感でした。僕、緊張するとすごいしゃべるタイプなので。良い緊張の時って何も言わないんですけど、緊張しすぎちゃうとすごくしゃべっちゃうので。だからってすごいぺちゃくちゃしゃべってたかって言われたらそんなこともないし、普通のテンションで。
――じゃあ、良い状態で
羽生:良い状態で入ったんですよ。で、団体戦があって個人があったので、団体戦の時にまさか自分の名前が呼ばれる前にロシアコールだったとは思わなくて。
――え、どういうこと?
羽生:ロシアのコールされてたんですけど、ずっと「羽生羽生」って言われてると思ってて。「こんな期待されてる!俺そんな有名なのかな」みたいな感じで行って、ノーミスして、おっしゃあ!って思って。でも「拍手少ない?羽生コールしてたのにな」みたいな。
――そんなこともあったんや
羽生:団体戦の時はそうでした。個人戦の時は違って、プルシェンコさんが棄権されたじゃないですか。で、それがきっかけで会場からロシア人が結構いなくなってたんですよね。それで拍手も結構まばらで、それにも関わらず自分がショート終わったあとはみんなもう「すばらしい」のコールがすごかったんです。だからその団体戦のこともあったから、余計めちゃくちゃ嬉しかったというか、感動したというか。
――そうなんや
羽生:そこがソチオリンピックで一番印象に残ってるところだと思います。
――その日本人初のフィギュアスケートの金メダルをもらった時にはどういう感じやったの?
羽生:なんかもっと自分でいろいろ想像してて。結構表彰式の想像とかしちゃうんですよ僕って。メダルもらった時何しようとか、結構考えてたんです。で、ちっちゃい頃から絶対オリンピックで金メダル獲ったら、こういうインタビューが来るはずだからこういう風に答えようって全部考えてたんですよ。
――小学校の時から?
羽生:小学校の時から。絶対オリンピックで金メダル獲るところを。
――考えた結果?
羽生:結果、なんも出てこなかったです。
――わはははは(笑)
羽生:なんにも出てこなかったんですよ。実際にそれまでショートもやってフリーやるまでにずっと同じようなこと考えてたんです。フリー終わって、1位確定して、インタビューのゾーン通るんですけど。その言葉ひとつもでてこなかったですね。
――じゃあさ、小学校の頃からあたためてたこれを言おうっていうのを2,3個教えてくれへん?
羽生:とりあえず、今まで教えてもらった先生の名前を全て言おうと思ってました。全ての先生の名前を言って、この先生方が支えてくださった方々ですって言おうと思ってたんですけど、出てこなかったですね。
――もうパーンってなってしまってんねやろね
羽生:出そうとは一瞬思ったんですけど、もう詰まってるし、プレスカンファレンス行けよみたいな空気だし。
――忙しいもんね
羽生:ブライアン待ってたし。ブライアンがずっとハグをしようと待ってたから言えなかったんですよ。
――なんかもういろいろ場面があったんや。他にはなんかなかったん?
羽生:名言みたいなのを残したいなって思ってたんですよ。
――それはなんやったん?
羽生:感謝の気持みたいなものをもっとかっこ良く言いたいなってちっちゃい頃から思ってたんですよ。それこそ樹くんじゃないけど、難しい感じの言葉で言いたかったんですよ。
――いやあ、それはどうかなあ
羽生:最終的に「オリンピックで金メダル獲りましたけど、感想は?」って聞かれて、「悔しいです」って言って帰りましたもん。
――あの時のやつね。そっかそっか。でもいいんじゃない、その方が。
羽生:僕らしさが残って良かったかなあとは思ってるんですけど。
――あの、ちょっと待ってその前に。俺は別に町田くんの言葉を否定しているわけではないけど
羽生:でも、否定的な感じで言いましたよね?
――まあ、本人にね、あれティムシルやったっけ?
羽生:汽水域の如くなんちゃらかんちゃらって言ってて。
――それでいろいろみんなはてなマークがあるし、本人に直接言われへん感じが見えたから、前に久々に会った時に「おまえ何言うてんの?あれどういうこと?」って言ったら、あいつも真面目やから、最初から全部説明してくれるねん
羽生:何分かかりましたそれ?
――だから途中で切ったよ、「いや、大丈夫やわ」って
羽生:元からそんなにしゃべる選手じゃなかったから僕も最初びっくりして。でもなんか、あれが彼なりの集中の仕方っていうか。そういうのもあったと思いますし、そういうのを聞くとなるほどなって。
ソチ五輪金メダル獲得後
――獲ってみて、なんか、どう?
羽生:もっといろいろ変わるかなって思ったんです、自分の心境とかスケートに対する思いだとか。試合に対する緊張感とかもっと自信ついて、何か変わるかなって思ったんですけど、変わったのは周りと僕のスケジュールだけで。試合に対する気持ちとかは変わらなかったですね。
――それが良い方向に全部行ったんやね
羽生:あとは、いつも思うのはそのフリーがあまり良くなかったっていうか、自分の中では課題が残ってしまう演技だったので、それがまた良かったなと。自分がこれから競技を続けることを見据えた上で、あそこでパーフェクトで、燃え尽きなくて良かったなって思ってます。
――いつでも挑戦をするタイプなんやね
羽生:ですね。なので、逆になんか過去がどうのこうのっていうのに引きずられやすくはあるんですね。例えば「パリの散歩道」を2年間やらせていただきましたけど、最初の大会でノーミスして、ノーミスが3回くらい続いた後に逆に跳べなくなっちゃった時期があって。前の試合では跳べたから大丈夫、このプログラムなら絶対跳べるからみたいな感じで緊張を紛らわす時があるんですね。だからそれに引きずられるとだめなので、オリンピックによってさらにもっと自分の今の演技に集中しなきゃいけないなっていうのはすごく感じさせられました。
――すごいなんか深いなあ。深いなの一言で済ますのは悪いけど(笑)。トップでいることっていうのは大変やん。だからまあ言葉ではなかなか難しい
羽生:オリンピックのチャンピオンになって、次のシーズンってすごい期待はされてたと思うんですよ。そのすごい期待の中でどうやって滑っていくかって考えた時に、やっぱり最初の試合でアクシデントはありましたけど、その前のショートプログラムではそのプレッシャーに押しつぶされてた感じはあったんですよ。後半に4回転入れるって言って、3回転になってしまいましたし。自分が過去に何々だからみたいな、そのもちろんオリンピックで金メダル獲ったっていうのもあるし、ファイナルとか世界選手権で3つ獲ったっていうのもあるし。それに全て囚われてたっていうところはあるなと。その囚われてること自体に罪悪感を持つっていうこともあるなって思ってて。もちろんその試合試合で勝ちたいなって思う部分もあるんですけど、勝てば勝つほど追われる立場っていうことを意識するので、そこがまた難しいところなのかなって去年思いました。
――はあ~
羽生:コメントしづらいですよね。
――いやいや、やっぱりみんなちゃんと考えなあかんなって
羽生:多分これは僕自身しか経験できてないことだと思いますし、4年に一度の舞台で金メダルを獲るっていうのは並大抵なプレッシャーではないと思うんですよね。その大会もだし、そのあとずっと続く称号なので、それとどうやって向き合っていくかっていうのがこれからの自分の一番の課題かなって
――がんばって。なんかあったら連絡して。たまにやっぱり楽にならないと、リラックスしないと。集中したら良いっていうけども、これって視野が狭くなってしまうことがあるから。楽に
羽生:でも、意外と一般的な考えとしては賢二先生も持ってるかもしれないですけど、僕スケート一途みたいなイメージありますけど、意外とそんなんでもないんですよ。
――だってしゃべってる時、あんまりスケートの話せえへんもんね
羽生:しないですね。
――大体イヤホンの話と。これからもっとジャンル増やしていったり。ハマったらハマりすぎるもんね
羽生:1個ハマるとそれしか手を付けられなくなるんですけど、けん玉とか。
――ずっとけん玉やってたよね。それにつられてみんなやる。去年のアイスショーの控室とか全員静かやったよ
羽生:カチカチカチカチやってましたね。
――たまに俺が行って、俺もやりたいってやって、でもできへんやん。そんなのもできないんだなって、笑いじゃなくてみんながこうやって
羽生:冷たい視線(笑)。でもこないだなんかやってた時、3回くらいやったら「もうええわ」って(笑)。
――いや、なんかね。いやそんな話ええねん
◆【フィギュアスケーターのオアシス♪KENJIの部屋】羽生結弦選手エピソード
»エピソード1(前編)の記事はこちら
J SPORTS 編集部
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