フィギュアスケートコラム 2014年12月16日

フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋【織田信成エピソード3】

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部

振付師の宮本賢二さん（KENJI)が、日本を代表するトップスケーターを毎月1名、ゲストに迎えてお送りする30分のトーク番組「KENJIの部屋」。今月のゲストは、織田信成さんです。第3回では織田信成さんの素顔に迫りました！

フィギュア男子の苦労

――「全身タイツ着て滑ってんの？」とか言われるでしょ？

織田：学校でフィギュアスケートをやってるって言ったら、「えーハイレグはいてんの？」みたいな。

――えっ、ハイレグはいて滑ってたの？

織田：滑ってないですよ(笑)。だから、そういうのにすごく困ってたんですよ。

――その時どう答えてたん？

織田：普通の黒いズボンやで、ってなんのおもしろみもない返しをしてましたね。

――それが一番良いよね

織田：フィギュアスケートしてるって言ったら、「え、後ろ向きで滑れるの？」とか。「え、回れるのすごー！」みたいな。

――それはうれしいことなんちゃうん？

織田：うれしいですけど、その時トリプルとか練習してたから。

――回るどころか3回も回っちゃいますよ、みたいな

織田：言いづらかったんですよ、友達が見に来るから。「いや、すごいやん」てなるのもめんどくさかったし。

今シーズンの注目選手

――今シーズンの注目の選手とか展望を教えてください

織田：去年はまっちー(町田樹)がグイーンて伸びたじゃないですか。だから今年も誰かグイーンて伸びてほしいなと思ってて、年齢的にも無良崇人くんかな。あと、宇野昌磨くん。お仕事でジュニアグランプリを見させてもらったんですけど、すごかったです。貫禄がすごい。4回転もすごくきれいだったけど、その他がすごく丁寧で、素敵なスケーターになってほしいなって。

――女子は？

織田：やっぱり佳菜子かな。明子ちゃんや真央ちゃん、支えになってた存在がいなくなってしまって、自分ががんばらないといけない。多分本人もわかってるけど、それを周りに言われるのがあまり好きじゃないと思うんですよ。そう言われてがんばれる子じゃなくて、温かく見守ってあげるのが一番だと思うから、それは自分の中で乗り越えてがんばって良い演技をしてほしいと思います。あとは宮原知子ちゃん。今シーズン、さらにジャンプも回転もすごく安定してきる。

――知子ちゃんすごいもんね。練習量が半端ないもんね

織田：リンクで、調子悪い日もみんなあるじゃないですか。知子ちゃんもそれなりに調子悪い時に、うっすら涙を浮かべてる時があるんですけど、それを見ていつも泣きそうになります。こんなに知子ちゃんがんばってるのに、まだ悔しいって思えるのが、あんなにがんばってるのにすごいなって、横でちょっとウルウルしてます。

――じゃあ、海外は？

織田：個人的な好みも入るんですけど、ジェイソン・ブラウンくん。つなぎがすごいじゃないですか。スピンもキレイだし、自分も練習する時に彼のプラグラムとか、どういうつなぎから入ってるかなって参考にして、すごいなって。見ていてゾクゾクする感じがあって。

――結構派手に踊るもんね。女子は？

織田：かわいい選手が好きっていうのが基本的にあるんですけど、ラジオノワちゃん。すごく好きで、近くで見ると本当にもうお人形さんみたいなんですよ。でも滑るとすごいんですよ。ジャンプもすごいし、表現もつま先がきれいで、個人的には注目してますね。

織田信成の素顔に迫る！○×Question

――自分の演技に見とれてしまうことがある

織田：×。

――試合の前は緊張で眠れないことがある

織田：○。

――失敗してもくよくよしないタイプだ

織田：○。

――やっぱり夏より冬のほうが好きだ

織田：○。

――仲間の活躍を見ると感動せずにはいられない

織田：○。

――子供が泣くと自分も泣きそうになる

織田：○。

――奥さんには頭が上がらない

織田：○。

――オリンピックで金メダルをとる自信があった

織田：うーん、×。

――実は現役を引退したことに未練がある

織田：○。

――生まれ変わってもフィギュアスケーターになりたい

織田：○。

――失敗してもくよくよしないタイプだ

織田：失敗した時はもちろんショックですけど、失敗するのにも原因があるし、それを作ってしまったのは自分だと思ってるから。だから失敗してしまったことに対して周りの人に申し訳ないなという気持ちはあるけど、前を向いてやらないといけないから、結構そういうのはすぐ割り切れる。

――一番失敗したと思うのはなんやった？

織田：オリンピック大会バンクーバーの中国大会で、チャック全開で滑ってた時。

――でも普段からあいてるよ

織田：あいてないですよ(笑)、やめてくださいよ。

――やっぱり夏より冬のほうが好きだ

織田：夏も好きなんですけど、冬のほうが寄り添えるじゃないですか。僕の理想を語っていいですか？デートに行った時に、ホームに立ってるじゃないですか。女の子が「はあ寒いね～」とか言って「そうだね～」って手をつないでるじゃないですか。その手をこうポケットに入れるっていうのが理想です。

――次！

織田：興味なかった(笑)。

――仲間の活躍を見ると感動せずにはいられない

織田：そばで練習を見てたりとか、日本の合宿とかで大変だとか、ケガとかあったりというのを身近に見てるから、良かった時にハアッてなっちゃいます。全日本選手権が、実は最終グループだけじゃなくてその前のグループからウルウルきてて。他にも知ってる選手がいっぱいいたから、こういうことで苦しんでたのにすごい良い表情で滑ってるなとか、kiss＆cryですごく良い表情してるなって見ると、もう涙腺がやばいですね。

――子供が泣くと自分も泣きそうになる。育児はやってるの？

織田：お風呂入れたりとか、寝かしつけたり絵本読んだりとかしてます。育児っていうよりも一緒に楽しんでるってかんじで。寝室で人形投げ合ったりとか。

――人形を投げ合うの？

織田：人形をいっぱい置いてあるんで、人形に埋もれてワーッてやったりとか、そういうのを一緒にやってます。

――最近その子見てて、泣きそうになったエピソードは？

織田：奥さんから聞いた話なんですけど、公園で下の子がいじめられてたと。でもうちの子が悪いことして他のお兄ちゃんたちに迷惑かけて、「おまえあっちいけよ！」みたいになってたんですよ。でも、奥さんは子供同士のことやから何も言わずに見てたら、上の子が「やめろー！」って行ったらしいです。やっぱり兄弟産んで良かったなって、僕は産んでないですけど(笑)。いて良かったなって。

――そんな奥さんには頭が上がらない

織田：上がらないです。

――出会いは？

織田：中学の時の同級生で、ずっと好きだったんですよ、中学時代に。告白したらフラれたけど、その後も普通にメールしてたら逆に向こうから「付き合いましょう」ってかんじで来て、やったーって。そこから5年付き合って結婚しました。

――なんかもう、かゆいわ～

織田：初恋のエピソード聞かせてくださいよ

――嫌や。オリンピックで金メダルをとる自信があった、×

織田：これは、自信があったってわけじゃなくて、自信を持てるくらいの練習はしようと思っていたので。自信がなかったかと言われると、なかったはなかったですけど、自信がつくくらいまで練習しないといけないだろうなって。

――大会の思い出は？

織田：一番感動したのは、マクドナルド食べ放題。すごいと思って。

――うちの先生のパスカーレがさ、長野オリンピックの何がすごかった？って聞いたら「マクドナルドが食べ放題」って

織田：うれしい(笑)。

――実は現役を引退したことに未練がある

織田：やめた当初は未練ないかなって。夏のアイスショーとかでも、プロとして滑る喜びだったりとか楽しさっていうのも見つけることができて、プロも良いなって思ってたんですけど。ジャパンオープンを現場で見た時に、「やっぱり大会良いな」って思っちゃったんですよね。この着くまでの緊張感とか、選手の息遣いだったりとか、うらやましいなって。4分半しんどいけど、それまでに苦しい思いをして4分半で自分の良い演技ができた時の喜んでる表情を見ると、いいなって。

――選手の時は、あの照明の下で滑りたいとかってなるけど、逆にあの照明のない、拍手じゃなく待ってるっていうのがね

織田：離れてみてわかる、現役の良さというか。すごく良い経験させてもらってたんだなって改めて大会見て。

――また自分の経験を活かして、自分のかわいい生徒に伝えていってあげたらまたすばらしい選手が生まれるよ

次回のKENJIの部屋

次回のKENJIの部屋はついに織田信成編最終回。KENJI振付の思い出のプログラムを語る！