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振付師の宮本賢二さん(KENJI)が、日本を代表するトップスケーターを毎月1名、ゲストに迎えてお送りする30分のトーク番組「KENJIの部屋」。今月のゲストは、髙橋大輔さんです。第1回では子供時代のジャンプの苦労話などについて語っていただきました!
――こんにちは。改めてしゃべることがないから若干恥ずかしいな
髙橋:顔と目つき怖いですよ(笑)。
――今日も男前やなあ。髪の毛切った?
髙橋:切りましたよ、フレンズ終わり。フレンズの前に切りたかったんですけど、なかなか忙しくて。
――今日のファッションのテーマは何なの?
髙橋:大人っぽく?今季は、イタ男的な、ブリティッシュ的な、アメカジ的な、ニットとかデニムでいこうかなと。
――イタ男ってどういう意味?
髙橋:イタリアの男です。
どんな子供だった?
――スケートを始めたきっかけは?
髙橋:いろいろおすすめされた結果、フィギュアスケートが一番やりたいスポーツだったんです。兄貴が少林寺拳法をやっていて、表彰されるのを見て「なんで僕のだけないの?」って言ったのがきっかけで、両親が何かスポーツをさせようかって思ったらしくて。それで野球とか球技は苦手だったし、少林寺とか空手も興味ないですし。スケートリンクが車で10分位の所にできたんで、それなら送り迎えできるしってなって。
――そのスケート始めた小さい頃って、どんな子供だったの?
髙橋:わからん(笑)。
――わからんことはないやろ!よく泣いたりしてた?
髙橋:よく泣いてましたね。学校が嫌いだったんで、団体生活というものが嫌すぎて、毎日学校行くのにぐずってた。学校ではびびってました。
――まわりに人がいっぱいいるっていうのがあんまり好きじゃない?
髙橋:めちゃめちゃおじいちゃん子だったんで、家の中でかわいく育てられたんです。外への抵抗力がなかったんでしょうね。子供ながらに、いじめられないように気をつけようとか、嫌われないように気をつけようとかね。
――気遣いは今でも変わってないもんね
髙橋:そうなんでしょうね。そんなのがあって目立つのも嫌だった。
――そんなメガネかけてるのに?
髙橋:今はね(笑)。
――まあ今は目立ってなんぼやもんね
髙橋:先生の子供時代はどんな子だったんですか?
――運動会は絶対1番とると思って走ってたし、泳ぐのは習ったことないのに1番取ろうと思ったけど、全然とれなかったりとか、活発な子だった
髙橋:KENJI先生も末っ子じゃないですか?しかも4人兄弟の末っ子。子供時代だけですか、活発だったの?
――そうだね。京都に移ってからはスケートの練習ばっかりしてた
髙橋:京都は中学から?
――中2くらいかな。引っ越して、祖母と姉と住んでた
ダブルアクセルの壁
――スケートでジャンプをやり始めて、ダブルアクセルが最初の壁になるでしょ。いつ跳べた?
髙橋:まったく記憶にない。
――気がついたら跳べてたの?
髙橋:いや、苦労してたと思いますけど。ぐりんこってあるでしょ。僕、巻足だったんですよ。結構長い間ぐりんこだったんで、知らないうちに回るようになってたから、下りてはいたけど、完璧じゃない。
――スケーターあるある。アンダーって言わないね、ぐりんこ。
スタッフ:ぐりんこっていうのはどういうことですか?髙橋:回転不足です。回転不足でも半回転の“ぺたんこ”もあるんですけど。ぐりんこは、うまい人のをぐりんこって言うんですよ。
――トゥからぐりってするのがぐりんこ。
髙橋:ぺた足でパンパンッてするのがぺたんこ。ぐりって勾玉の半分みたいなのを描ける人がぐりんこ。
――案外みんな知らないよね。じゃあ、トリプルアクセルはいつ頃できた?
髙橋:中学3年生だった気がします。
――それって早いの?
髙橋:早くもなく遅くもなく、じゃないですか?でも僕らのまわりで、中3で跳べてる人は数少なかったと思います。
――他に誰がいたの?
髙橋:同期は、小林宏一、南里康晴、中野友加里、梅谷英生、北垣達也です。同年代は少なかったんですよ。
――スケートは男子が少ないでしょ。そういうので苦労話はある?
髙橋:今なら、お客さんに見てもらえないとか、テンションが上がる上がらないとかで、寂しいのかなと思うんですけど。それが普通だったからあんまり大変ではなかったかな。ただ寂しかったなっていうのはありますね。ジュニアの時ってジュニアGPに行ける人が本当に少なくて、男女合わせて3人とかだったんですよ。だから常に男が僕1人だったんです。男子がかぶることってなくて、寂しかった。
――いつも誰と行ってたの?
髙橋:明子ちゃんとか、若松詩子ちゃん。太田由希奈と、安藤美姫。あと林一絵、中野友加里。そのメンバーで、男子はいなくて。GPファイナルも1対4だったんですよ。いつも男1人だったから、苦労でもなんでもないですけど、今の子がちょっとうらやましいなって。
――1人で行ってて、こんなのが嫌だったとかある?
髙橋:ごはんに行く時も常に1人か先生とでした。だからシニアに上がってからはすごくおもしろかったんですよ。毎回みんなでごはん行ってたでしょ。
――あの時いたのが、俺とか、田村岳斗先生、本田武史先生、健ちゃん(中庭健介)、しーちゃん(荒川静香)。それでいまだに中国の天安門広場でのことを言うけどさ、あの時も実は楽しかった?
天安門事件!?@03年四大陸フィギュア
髙橋:楽しかったです。あの時は正直怖かったですよ、我らの天安門事件。
――天安門で取り残された事件。中国で試合の後に、中国選手がごはんに連れて行ってあげるって言って、みんなで車に乗って行ったんですけど、大ちゃんがトイレ行きたいって言って。みんなで行って帰ってきたら、大ちゃんがちょっと遅れてて、そしたら中国の人がドアをばんって閉めて出ちゃったんです。それで「いやいや、大輔大輔!」って言ってるけど中国語できないし、英語も通じなくて、「大丈夫、大丈夫!」みたいな感じで天安門を1周回っちゃったんです。で、大ちゃんを迎えに行くのかと思ったら、1周回って逆方向へ行っちゃったんです。それで焦って、その人のハンドルをこっちって無理やり連れて行ったのが、30分以上経ってたんだよね
髙橋:結構経ってたんですよ。
――それで着いたら、暗闇から大ちゃんが「もう、長いっすわ」って(笑)
髙橋:最初はイタズラだと思ってたけど、全然来なくて。お金も鍵も持ってたから、あと30分待って来なかったら自分でタクシー乗って帰ろうって。冗談にしたら長いし、怖いし、意味わからんし。
――めっちゃ怒ってたよね
髙橋:そんな怒ったことなかったんですけどね。当時はまだ若かったんで。
――一応どっちも現役で俺が先輩だったもんね。それなのに「もう長いし」って、タメ口で
髙橋:本当に腹が立って、あれは(笑)。
昨年末の打ちっぱなし事件!?
――その話をあなたはいつもしますよね。俺も文句1個あるけど、年末うちに泊まりに来て、それで打ちっぱなしに行ったでしょ。俺が買って1週間のドライバーを壊したよね
髙橋:でも、大丈夫って言ったじゃないですか。
――大丈夫だけど、ボールがそこにあるのになぜ地面をあれだけ何回も打ったの?
髙橋:やっぱり経験値がないから?いや、それは悪かったです。でも、弁償はしないです。
――直ったからいいけどね
04年四大陸フィギュア
――その一緒に試合に行ってたので覚えてるのが、初めて演技の後にガッツポーズした時
髙橋:四大陸?
――今だから言えるけど、前日にみんなでサッカーしてて、全員筋肉痛だったよね
髙橋:ありましたね。
――ウォームアップ代わりにしたつもりが、全員筋肉痛だったもんね。あれ、試合ではほぼノーミスだったよね
髙橋:そう、良かったんですあの時は。それまで全日本でボロボロだったんで。初めて、試合で4回転で下りたんじゃないかな。
髙橋大輔のスケートへのこだわり
――大ちゃんのスケートのこだわりの部分てあるの?こういうの気にしてやってるんです、みたいな
髙橋:あんまりない。音に外れてるか外れてないかだけ。ただ踏めばいいって感じじゃなくて、音が速いのにゆっくりやって何が良いのっていうのがあるから、ちょっとでも速くしようとしてしまう。
――音には本当にうるさいよね。“Eye”のプログラムを作ってた時に、シャーッて音があって、「先生、ここ音が1個あまってるんですけど、なんか動いてもいいですか?」って言ったの覚えてる?
髙橋:全然覚えてない。
――アクセルの前にモホークしようとした時に、俺はジャンプを入りやすくしてほしいから何も言わなかったら、動きたいって。すごくこだわってるなって思ったけど
髙橋:こだわりだとは思ってなかったけど、そっちが気になって余計集中できないから。先生はこだわりありますか?
――まあ選手ごとに違うよね。大ちゃんなら、人が見てて惹きつけられるように作りたいし、自己満なことはさせたくないとは思う。曲にもよるけどね
次回のKENJIの部屋
髙橋:視線の先になんかいるんですよ。
――おまえ何してんの?それビール何杯目?
田村岳斗:これ3杯目。
――マジで?
田村岳斗:ちょっと楽しくなってきた。
――一番印象に残ってる試合は?
髙橋:やっぱりバンクーバーオリンピックですかね。オリンピックに来れた実感を感じたのが、自分のフリーの出番の前。泣いちゃって。
◆フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋【髙橋大輔】
» エピソード2の記事はこちら
» エピソード3の記事はこちら
» エピソード4の記事はこちら
J SPORTS 編集部
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