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フィギュア スケート コラム 2014年3月20日

フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋【鈴木明子 エピソード3】

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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振付師の宮本賢二さん(KENJI)が、日本を代表するトップスケーターを毎月1名、ゲストに迎えてお送りする30分のトーク番組「KENJIの部屋」。今月のゲストは、鈴木明子さんです。第3回では、思い出の大会や曲などについて語っていただきました!

ソチ五輪

KENJIの部屋

鈴木:全日本の時から足の状態が良くなくて、痛い思い出しか残ってないですね。団体戦と個人戦の間はオリンピック村から抜けていましたけど、その間も痛くて泣きながら滑っていました。個人戦で戻ってきたら、靴を履くのも精一杯、練習して上がってきたら痛くて更衣室で号泣しているような状態でした。でもその痛い中で、最初は「なんでこんなオリンピックの時に。せっかくここまでやってきたのに」って思っていたけど、だんだん「別にジャンプだけじゃないじゃん。最後のオリンピックでどんなスケートがしたいか」って考えて「自分らしいスケートで最後まで人に見せられる演技がしたい」という原点に戻れたんです。

たかが1つ失敗しようが、ジャンプの回転が抜けようが、他の所で自分の持ち味を出せばいいっていう所に戻れたんですよね。状態が良くないからこそできることをしようと思った。あと、その前に男子を見ていて、高橋くんも足の状態があまり良くなかったじゃないですか。それでもあの演技にすごく心を打たれたんです。自分が今できる最大限の演技をしようとしているのが見えて、すごく勇気をもらえた。それで吹っ切れて滑れたのがソチオリンピックです。でも、とにかく痛かった(笑)。

――痛いのは仕方ないものね

鈴木:先生も、期間中は私の気持ちが落ち込まないように厳しかったんです。「なんで痛いのにわかってくれないんだろう」と思っていたんですけど、終わってからは「本当によくがんばったと思うよ」って言われました。「先生もなんとかしてあげたいけど、ここで弱くなったらダメだと思ってずっと言っててくれたんだ」と思ったら、すごく考えてくれていたんだなと思って。

――それだけ選手のことを思って理解してくれているから、今こうしていられるんだよね

鈴木:すごくありがたいと思います。

――明子ちゃんの周りには、いろんな素敵な人がいるからさ。困った時にはみんなが助けてくれるよ

鈴木:それが私の自慢です。

思い出の大会

KENJIの部屋

鈴木:悔しいのってずっと残りますよね。初めて出た、今で言う全日本ノービスみたいな試合が小学校5年生の時だったんです。それまでそんなに全国の子たちを見ることってなくて、もっと自分ではできると思っていたんですね。でも、緊張しすぎて最初のポーズの足が逆だったんですよ。それで一歩出ようとしたら、ああっ!てなるじゃないですか。

――出そうと思っている右足がそこにないからね

鈴木:パニックのまま終わり、21位だったんです。すごく悔しかったし、多分親も期待していたと思うんですよ。で、その試合を境にお父さんが来なくなったんです。

――結構、重いね

鈴木:自分もすごく悔しかったし、周りの人を悲しませちゃった、みたいなのを5年生ながらに感じたんです。それで次の年に仙台に合宿に行ってターニングポイントになって、7番まで上がって、最後の全日本ノービスは3番だったんです。

――最後まで諦めずにがんばって良かったよね

鈴木:しつこいんですよね。KENJI先生の一番悔しい時って?

――中学生の時に京都で習い出したんだけど、そこですぐに試合に出たの。ダブルアクセルとルッツとフリップ、それを全部ダブルで行ったら、みんなトリプルフリップを跳んでた。それで、「あれ、俺違うな」って思って。でも自分がルッツとかダブルルッツを跳んだ時に、自分の親は喜ぶから拍手してくれるのよ。それが「オカンごめんな、俺レベル低いねん」って。うれしいんだけど悔しくって、帰ってからすごく練習した

アイスダンス転向の真相とは?

KENJIの部屋

鈴木:シングルからダンスに転向するきっかけってなんだったんですか?

――先生に「ダンス1回やってみたら?」って言われて。スケーターにしては背がちょっと高かったから、組んでも見た目は悪くないんじゃないかって

鈴木:それがいつですか?

――15、6才かな。アイスダンスをする前に野辺山で合宿していて、実は4回転トウループを練習してたの

鈴木:えっ、初耳。

――4回転トウループを練習している時、下りたら3回転半で壁の前にいてね。そのまま壁にぶつかって足からググググって落ちていったの。で、これは危ないな、俺はジャンプ向いてないなって思ったのもきっかけ。ジャンプって難しいよね

鈴木:難しい。できれば跳びたくない。

――では、明子ちゃんが引退を決断した理由というのを教えて下さい

鈴木:引退を決断したというか、バンクーバーでもオリンピックは次はないと思っていたんですけど。バンクーバーでようやく代表で世界選手権にも行ったし、一番軌道に乗ったので、もうちょっと日本のトップの中で選手をやりたいなと思いつつ、1年ずつ決めればいいやと思って続けました。周りは2シーズンたつと「あと2年でソチですけど」、となるけど、バンクーバーの時の1シーズンをまっしぐらにやってどれだけ大変かわかってしまっているので、オリンピックに向かっていく覚悟ができなかったんですよ。

決めたのは、ソチの1年前のGPファイナルで滑り終えて、いろんなインタビューを受けた時。周りの選手たちはみんな、1年後のソチオリンピックでここに戻ってくるっていう話をしているんですよ。でも私はそれに対して「いや、まだちょっとオリンピックとかわからないです」って言っていて。それで部屋に帰って考えて、「せっかくここまでみんなでがんばってきて、最後まで自分がその中にいなくて後悔しないかな、自分は本当は最後まで選手をやりたいんじゃないのかな」って思って。だから引退を決めたというよりは、ソチまでやることを決めた。

私の中ではソチオリンピック以降のことは一切なかったんです。それ以前に、どこで引退を決めるのかが怖かったんです。でも全日本選手権が終わってから、「あと1年続けて、ソチのシーズンで現役を引退しようと思います」って言ったら、自分では1年間の現役続行宣言だったんですけど、次の日の見出しは全部「鈴木明子、来期で引退」でした。

――まあ、捉え方だね

KENJIの部屋

鈴木:自分の中では「え、それ以上はなかったんだけどな」ていう気持ちはあったんですけど。でも、決めたらすごいスッキリしました。オリンピックに行けても行けなくても3月までと決めたら、「もうこれが最後なんだ」って思ってがんばれたんですよ。引退後の自分を想像できなかったからずっと怖かったんですけど、最後までやりとげた。それは成績が出ないと満足しないのかなって思っていたんですけど、そうでもなくて。最後の世界選手権はそんなに良くはなかったですよ。終わった時にちょっと悔しさはあるけど、「選手としてのスケートにおいてはもういいかな、次のステップに行くんだな」って思ったんです。そう思えるまで選手ができたのは、すごい幸せなことだと思う。

――そうだね

鈴木:みんなが次のシーズンの準備をしているのを横目で見ていて、自分だけもうやめたんだなって悲しくなるかと思ったら、すごいスッキリしていて。次の世代の子たちに、選手生活を自分が充実した気持ちで終われたように終わっていってほしいと思います。そういう気持ちでいられるのも、最後まで自分がやり遂げたからかな。そこまでできるとは自分では思っていなかったので。

――長いスケート人生の中で思い出の曲はある?

鈴木:リベルタンゴ。中学生の時に一度滑っていて、15年以上たっているんですよね。特に私の表現というものが評価されたのが14才の時のリベルタンゴだったんです。だからすごく思い入れがあって。まだお互い知らなかった時の大ちゃんが14才の私のリベルタンゴを見て、勝手に完コピしていたんです。

――そうなの?

鈴木:その時はまだ全然大ちゃんも表現のタイプではなかったんですよ。仙台の合宿で会った時に「覚えたんですよ」って言うから、2人でずっと遊んでたんです。

――波長が合うんだろうね。こういう表現が好き、みたいな

鈴木:間合いとか似ているんだと思います。それで、自分の中で初めてのスタンディングオベーションはKENJI先生との曲でした。

――それは俺もすごく印象に残ってる

鈴木:ファミレスでずっと悩んで、いろんなタンゴを聞いたんですよね。なのに最終的にリベルタンゴになるっていう。ベタでいいかってなっちゃったんですよね。振り付けって、出てくる時と出てこない時があります?

――出てこない時もあるよ

鈴木:私の時も一回ありましたよね?

――4時間振り付けして、やっぱり全部やめるっていう

鈴木:出てこなすぎて、手羽先を食べに行きましたよね。

今聞きたい質問!

鈴木:私の「男性の好み」。

――これは聞いてみたいですよね

鈴木:愛されて育った人がいいなと思う。家族とか周りの人から愛情を受けて、それに対して感謝できる人。

――内面ね。見た目は?

鈴木:目がきれいな人が好きです(笑)。

次回のKENJIの部屋

――タララタ~ラララ~タララ~ン、ウアン

鈴木:でも、私に伝えた時はそう伝えましたよね?

――そう、ウアン

鈴木:タララ~ン、ウアン、です。

◆フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋【鈴木明子】
» エピソード1の記事はこちら
» エピソード2の記事はこちら

J SPORTS編集部

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