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振付師の宮本賢二さん(KENJI)が、日本を代表するトップスケーターを毎月1名、ゲストに迎えてお送りする30分のトーク番組「KENJIの部屋」。記念すべき最初のゲストは、鈴木明子さんです。
第1回では、フィギュアスケート漬けだった子供時代など、貴重なお話をたっぷりと語っていただきました!
スケートを始めたきっかけ
――明子ちゃんがスケートを始めたきっかけは?
鈴木:小さい時から習い事をいっぱいしていたんです。水泳、ピアノ、書道、絵画とか。毎日習い事をしている中で日曜日があいていて、スケートのサンデー教室にいとこと行き始めたのがきっかけです。普通の習い事として週1回やっていて、そこでフィギュアのクラブに勧誘されて練習を見に行ったら、くるくる回っているのがかわいくて。選手になりたいというよりは、スケート教室の延長上で。
――最初はやっぱりちょっと人よりもうまかった?
鈴木:全然。一番上の級までいってなかったし、あまりセンスはなかったと思います。
――センスなかったの(笑)?
鈴木:センスはなかったけど、好きだったんです。滑ることがすごく好きで、お教室が終わったあとも一般で滑ってたりとか。でもピアノとかは家で練習するのが好きじゃなくて、スケート以外のことは持続できなかったから全然上達しませんでした。興味のあるものとないものの差がすごく激しくて、それでスケートが一番好きでした。練習というよりもクラブに入って遊びみたいな感覚でリンクにいて、休みの日はお弁当2個とおやつも持って行っていました。
――“遊んでいて楽しい”から選手を目指そうと思ったのは何がきっかけだったの?
鈴木:始めて2年も経たずに地元のリンクが閉鎖しちゃったんですよ。親はそこでやめるかなと思っていたみたいですけど、すでに選手として試合に出ているお姉さんたちは名古屋や浜松に通っていて、自分も行くものだと思っていたんです。お姉さんたちと同じように練習に行くんだって。
――自然にそんなものだと思っていたと
鈴木:自分は選手だと思っていたみたいです。
ターニングポイント
――ダブルアクセルを飛んだのは何才の時?
鈴木:6年生の時かな。結構遅かったです。
――ダブルアクセルってスケーターの中で最初の壁だよね
鈴木:KENJI先生はいつスケートを始めたの?
――俺は10才
鈴木:じゃあ遅い方ですよね。
――そう、遅くて。サッカーと野球をやってたから
鈴木:ダブルアクセルの壁はいつでした?
――中3かな
鈴木:じゃあ10才で始めてから結構早いですね。私はずっとやっていたけど回転不足だったんですよ。それで6年生の時に仙台に合宿に行って、行ったその日に突然飛べるようになりました。
――合宿って飛べること多くなるよね
鈴木:特に小さければ小さいほど。
――野辺山(合宿所)とかって新しいジャンプ飛ばない?
鈴木:野辺山も自分の中でターニングポイントだったかも。
――何かあったの?
鈴木:ずっと豊橋の田舎の小さいクラブでやっていて、初めて野辺山で全国の選手たちと集まった時に、東京の明治神宮の子たちが輝いていて。ステップをやるにもいつも一番に行く、みたいな。私はやったことないことばかりで、見てすぐにできませんでした。クラブの人数も多くなかったので、トップの人たちを見て学ぶというのではなくて、先生がこうやって、って教えてくれることばっかりだったんです。野辺山に行って講師の先生が「じゃあこれをマネして」って言った時に全然できないんですよ。それがすごくカルチャーショックで、なんでみんなできるんだろうと思っておどおどしているうちに終わっちゃうんです。次のステップにいっちゃってなんにもできずに、アピールも全然できなくて終わるっていう。
――野辺山って昔はそういうのあったよね。我が我が、の人がいたもんね
鈴木:先生は野辺山の新人発掘は行っていないですか?
――新人発掘の一期生
鈴木:じゃあ荒川静香さんと一緒?
――静香ちゃんとあと何人かいたよ。明子ちゃんの時は誰がいた?
鈴木:(小林)宏一とか。私の同世代ってあまり残っていなくて、途中で辞めていった子が多かったです。
――こんな所で僕の生徒の宏一の名前が出てくるとは(笑)。
鈴木:あと、(中野)友加里。友加里は1つ年下なんですけど、友加里が3年生で私が4年生の時から同じ部屋だった。バンクーバーや全日本までずっと一緒だったので長かったです。(安藤)美姫とか(浅田)真央は同じ愛知県でもちょっと年代が変わるので。
鈴木明子さんの抜群の表現力
――明子ちゃんは、表情ですごく表現をする人でしょ。小さい頃はどんな感じだったの?
鈴木:初めて新人発掘に行った時は全然だったんですけど、その後どちらかというとジャンプよりも表現でって小さい時から言われていたので、小学校5、6年からは表現をしていたみたい。
――新人発掘の時は俺は海外にいたけど、すごい踊る子がいるっていうのを知ってた
鈴木:それ、私のことですか?
――うん、顔も知ってた。小学生の時でしょ?
鈴木:自分ではすごい踊ろうとか見せようとか思ってなかったんですよ。単純に自分が振り付けてもらったものを一生懸命やっていただけだったんですけど。
――その頃からそういう一生懸命なのが出てるんだろうね。表現のすごさっていうのが
鈴木:あとはやっぱり褒められると、もっとがんばろうみたいな。でもジャンプはちょっと、っていうのがその時にもう植え付けられていました。あの頃の採点は技術点と芸術点でどちらかに選手の傾向が分かれていたじゃないですか。技術点が4.9くらいだったら表現力が5.2とか漠然としたのがあって、そうすると下の点数が出てしまってから表現力の方で上に出ちゃうので、「自分はジャンプは苦手なのかな」って。
――あれは良くないと思う。苦手意識を選手に植え付けてしまう
鈴木:どうしても「私はジャンプが苦手なんだ」と思っている部分があったから、その分踊ろうという気持ちは強かったかな。
――それが今活きてるもんね。そう考えると良かったのか悪かったのかどっちかわからないけど
鈴木:途中で採点が変わったのもありますしね。旧採点の頃は個性がいっぱいあっておもしろかったです。ジャンプが得意な人はジャンプを前面に出していたりとか、表現の人は音楽やステップを自由にやっていて。
――アーティスティック・インプレッションだね
鈴木:大体5.2,5.2,5.2、たまに5.9とか。
――小さい頃は4点超えるとうれしくなかった?
鈴木:うれしかったです。
――すぐ越してたもんね
鈴木:いや、越してなかったですよ、4点の壁。今じゃ考えられないですよね。だから採点法が変わった時に、あまりの違いにすごい戸惑って。競技を1年休んで戻ってきたら新採点になっていたんですよ。浦島太郎みたいになっちゃって。
――あれはルールは変わって、採点方式が変わって、全員が点数が出て「これは良いのか悪いのか?140点は良いのか?」って思って順位が出たら「あ、良かったんだ」って。一年中そんな感じだったよ
鈴木:なんの基準もないですもんね。いまだに選手の中でも言いません?これが自分の自己ベストなのかなって。ずっと先生の顔見てるっていう。
――先生もどーんと構えているわりにわかってないから(笑)
鈴木:女子ならスパイラルの要素が1個抜けたら点数もまた変わってくるし、難しいですね。女子のスパイラルがなくなるのかコレオになるのか、あのへんもすごくあやふやだった時に、プログラムはどうしていけばいいんだろうと思いました。
――しかも得意な方と得意じゃない方があるよね、スパイラル。それを一時期どっちも入れないといけなかったもんね
鈴木:きれいに見せたいじゃないですか。きれいなものを長くやるのは「すごく見せられるな」と思えるんですけど、ルール上これを入れなきゃいけなくなると「この人がんばって入れているな」って感じが出ちゃうからすごくつらかった。
――明子ちゃんは出ていなかったよ
鈴木:いえ、結構つらかったです。あまり柔軟性とか好きなバリエーションもなかったから苦労しました。
次回予告
――「よるかし」って聞いた時に、うなぎパイかなんかのことかと思った
鈴木:お菓子の方ですか(笑)?真夜中のお菓子。
◆フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋【鈴木明子】
» エピソード2の記事はこちら
J SPORTS 編集部
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