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エストニアで初めて開催された欧州フィギュアスケート選手権が終了しました。注目の男子シングルスでは、五輪でも「表彰台大本命」となるプルシェンコ、ランビエール、ジュベールの3人が順番に表彰台に登りました。もちろん本人や周辺の心境は様々。そして彼らは来るべき本番、バンクーバー五輪での金メダル獲得へ向けて、新たな目標・誓いを立てたようです。
・プルシェンコ→4回転ジャンプ2回入れる
・ランビエール→フリーの振り付けをさらに磨く
・ジュベール→フィジカルコンディションを上げる
ということのようですが……。
■男子3位:ブライアン・ジュベール(フランス)の場合
「すごくガッカリしている」
これはジュベール本人が放った言葉ですが、フランス連盟もフランスメディアも、そしてフランスのファンたちも同じ心境のようです。プルシェンコが前線から後退し、ランビエールが一時引退を宣言してから、欧州トップ、いや、世界トップ級の実力を発揮してきたジュベールが、復帰2人組にあっさり上の座を明け渡してしまったのですから。
敗因はフィジカル面の不調整。11月の右足のケガのせいで調整スケジュールが大きく乱れ、トップの体調に持ってこられなかったせいだとジュベール本人は分析します。
「リンクに上がったときから、自分の問題には気が付いていた。フィジカルコンディションの不足だ。五輪に向けて調整していくべき部分はここだけ。技術的な問題も、精神的な問題もない。今大会では表現力も獲得ポイントが大幅にアップした。つまり単純に、フィジカルだけの問題なんだ」
フィジカル面さえクリアされれば、ジュベール本人はプルシェンコを倒せると確信しています。「自分のベストの滑りができれば、五輪金メダルが取れると確信した」と、今回の欧州選手権で力強い感触を得たとのこと。
■男子2位:ステファヌ・ランビエール(スイス)の場合
「ファンタスティックな復活劇」「五輪金メダルの道を確実に進んでいる」「リトルプリンスが再び王になった」……などなど、母国スイスはまるで優勝したかのような大騒ぎ。新しいフリープログラムを観客のスタンディングオベーションで賞賛されたランビエール本人も、国際舞台への復帰成功に十分満足しているようです。
「2位になれたことは、僕にとって非常にスペシャルなこと。自分には出来るとわかっていたけれど、それを証明しなければならなかった。ここまでの道のりは非常に厳しかった。たくさんの障害があった。今は自分を誇らしく思う。自分の成し遂げたことを、決して諦めなかったことを、誇りに思っている」
しかも人生3度目の五輪で待望の金メダルをとるために、自分にはまだまだ「ノビシロ」があるとランビエールは確信しています。そして肝心の伸ばしていく必要があるポイントとは、フリープログラムの振り付けです。
「フィジカル面の調整はすでに万全なんだ。これからは振り付けを改良していく必要がある。質をさらに高めて、同時に優勝のチャンスを高めていくために。このプログラムは非常にエネルギーを使う。でも4分40秒にこれだけの要素がちりばめられたプログラムは、滅多にないはずさ」
引退前よりも表現力が増したと評判のランビエール。さらにプログラムを磨き上げて、五輪本番では「ライオンのように戦う」決意です。
■男子1位:エフゲニー・プルシェンコ(ロシア)の場合
数々の名選手を生み出してきたロシア人コーチのアレクセイ・ミーシンは、プルシェンコの復帰が男子スケート界を、ロシアフィギュアスケート界を、さらにはフィギュアスケート界全体を目覚めさせたと言います。多くのスケーターが以前より一層ハードな練習を始め、誰もが一層入念な準備を積むようになったとのこと。
……それでもやっぱり、(今大会では)プルシェンコを越えられる選手はいませんでしたが!
「自分のことが誇らしい。今日は本当にいい滑りが出来た。4回転3回転のコンビネーションと、トリプルアクセルに満足している。スケーティングスピードも上がってきたし、ステップも良くなってきた」
各々のエレメントの仕上がり具合にはどうやらかなり満足しているようです。ただし「未だ五輪レベルのパフォーマンスには達していない」と厳しい自己分析も忘れません。特に五輪では、4回転ジャンプを1プログラムに2回入れなくてはならないと断言します。
「バンクーバーで勝ちたいならば、4回転を成功させる必要がある。これは明らかだ。過去2年の世界チャンピオンは4回転を飛ばなかったけれど。でも欧州選手権ではどの選手も4回転を2回入れようとしていた。いいことだね。きっと彼らは、4回転なしでは優勝できないと理解したのだろう。だから五輪では、4回転を2回成功させなければならない」
つまりジュベールは肉体を、ランビエールは表現力を、そしてプルシェンコは技術を磨き上げてバンクーバーに乗り込みます。ちなみにプルシェンコはしばらく地元サンクトペテルブルクで調整し、2月11日にカナダへと出発する予定だそうです。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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