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ラグビー コラム 2026年11月2日

【ハイライト動画あり】ロスタイムPGで決着!極上の大学最高峰バトル「帝京大学×早稲田大学」。ラグビー関東大学対抗戦 2026

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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手に汗握る最高のゲームになった。

関東大学対抗戦第5節。11月1日(日)の4戦全勝対決「帝京大学×早稲田大学」は、ロスタイムの逆転ペナルティゴール(PG)で決着した。

「昨年は負けてしまったので、強い思いがありました」

そう語ったのは昨年度の大学選手権で早稲田に敗れた帝京のFB本橋尭也だ。観客1万3,496人が見守る中、晴れ・無風の条件下でキックオフされた試合は、そんな「強い思い」が序盤から激突した。

■躍動した早稲田のルーキーSO竹山史人

早稲田の10番は夏合宿頃から本格的に台頭したSO竹山史人(桐蔭学園)。主戦10番のイメージが強い服部亮太は、ブレイク能力とロングキックも活きるフルバックでの先発となった。

その竹山は序盤から非凡な能力を発揮した。

キックカウンターから無駄のないランコースで突破。会場を沸かせると、前半11分の自軍投入スクラムでは、内返しから抜け出したFB服部のオフロードパスを受けてロングゲイン。SO竹山&FB服部の新ホットラインで会場を沸かせた。

■スクランブル出場から70分出場。スクラム奮起の早稲田PR平山風希

この日の大きな焦点はスクラムだった。

帝京にとってはスクラムの劣勢が昨年度の“敗戦”の理由の一つ。早稲田にとっては優勢となれば精神的にも打撃を与えられる領域であり、先発3番にはスクラムを強みとする前田麟太朗を入れた。

アクシデントは前半10分。

ルースヘッド(1番)のPR杉本安伊朗が負傷。後半出場が一般的であるリザーブの2年生PR平山風希(大分東明)が緊急出場することになったのだ。

スクラムバトルは開始2分の“ファースト”から一進一退の状況。ここで投入された平山は、ルースヘッドとしての出場でスクラム回数を重ねるごとに修正。見事な対応力でスクラムの安定、後半の優勢に繋げた。

■攻守に大活躍!隠れたハードワークも光るNO8カイサ・ダウナカマカマ

帝京で気を吐いたのが大分東明出身のNO8カイサ・ダウナカマカマだ。

この日早稲田はトライ寸前の攻撃が数度あった。その一つが序盤に早稲田SO竹山がトライラインに迫った一回だった。

ここで相手SO竹山のボールをはたいてターンオーバーを起こしたのがフィジー出身のNO8ダウナカマカマ。

ラグビー 関東大学対抗戦 2026(11月1日)

【ショートハイライト】帝京大学 vs. 早稲田大学

その直後には相手ラインアウトからの展開で、突破位置を予測して猛ダッシュ。抜けてきたスピードスターFB服部にドンピシャで猛タックルを浴びせるスーパープレーを見せた。

2連続でトライセーブ級のディフェンスをしたNO8ダウナカマカマは、前半31分のスコアラーにもなった。

帝京はやや不安定だったラインアウトでボールを確保すると、一次攻撃で1年生WTB林宙の突破を生み出す。準備したサインプレーを炸裂させると、フォローの背番号8がダイビングトライ。開始31分でようやくスコアが動いた。(7-0)

■すでに大学トップ級か。帝京の黄金ルーキー、CTB福田恒秀道

お互いに譲らぬラインアウトモールの攻防。早稲田のルーキーLO笹部隆毅がスティールを見せれば、直後に帝京PR森山飛翔主将が低い姿勢でボールハント・・・。

ハイレベルな好プレーが繰り広げられ、勝負は引き締まったロースコアの展開に。試合は早稲田が前半40分にPGで3点を返し、帝京4点リード(7-3)で後半へ。

後半最初のトライは帝京だった。

このトライに繋がるアタックで絶妙な仕掛けを見せたのが、國學院栃木出身のルーキーCTB福田恒秀道だ。早稲田がスクラムで反則(フリーキック)を犯すと、帝京がクイックでバックス展開。

ここでCTB福田が相手の足を止める仕掛けで、味方の突破を助ける。ここから右奥でゲインを取り、帝京のプライドであるFW勝負からスピードのあるFL甲斐敬心が、高速のキャリーでトライラインを割ってみせた。(12-3)

CTB福田は前半から早稲田のノックフォワードを誘う低空タックル、突破を演出する12番のスキルなど、1年生とは思えぬ実力を披露。プレーメイクもする12番としての安定感はすでに「大学トップクラス」と思える末恐ろしい19歳だ。

■早稲田のチーム初トライは復帰のバイスキャプテン松沼寛治

劣勢の早稲田に勢いを与えたプレイヤーがいた。

ここまで怪我がちだったバイスキャプテンの松沼寛治だ。殊勲の一撃は後半8分。敵陣右コーナーでラインアウトのチャンスを迎えると、ここまでのモール勝負から一転、後半から投入された松沼をキャリアーにする粋なサインプレー。

モール形成と見せかけてショートサイドを急襲した松沼。そのまま相手9番を吹き飛ばして豪快なグラウンディング。会場を沸かせる一本を奪った。(8-12)

■早稲田が重要局面で見せたビッグスクラム

ここまで一進一退と見えたスクラムだが、後半14分だった。

帝京陣22mのスクラム。早稲田が相手ボールのスクラムでヒットから優勢に。そのまま帝京のスクラムを粉砕するプッシュ。追加点がほしい場面での会心のスクラム・ターンオーバーだった。

このペナルティから右奥へ入った早稲田は、モールのプッシュからラックサイド勝負。最後は復帰の松沼がトライラインを割って2連続トライ(同17分)。早稲田が13-12と逆転に成功した。

■重圧のかかる最終局面で“いつも通り”だった帝京SO上田倭楓

スクラム劣勢からフォワード戦で押し切られて失点――。

帝京としては最も避けたいであろうトライを奪われ、さらに敵陣で再三のハンドリングエラー。時間だけが過ぎていき、なかなか1点差(12-13)の壁を乗り越えられない帝京。早稲田も自陣でペナルティもなく好守を続けた。

帝京、万事休すか――。

J SPORTS 放送情報

だが最後にドラマが待っていた。早稲田は終了間際、自陣でのボールキャリーでノックフォワードの判定。帝京ボールスクラムとなって逆転のチャンスが巡ってきた。

ここで帝京フォワードが奮起。

最重要局面での“ラスト・スクラム”で強制ペナルティ。その後のプレー中断で戻されたプレーで、1点ビハインドの帝京が選択したのはペナルティゴール(PG)。

試合の時計はノータイム。

決まれば逆転勝利。外せば敗北。この最も重圧のかかる場面でキッカーを託されたのは2年生SO上田倭楓(大阪桐蔭)。観客が創り出した静謐のなかで右足が振り抜かれると、放物線はHポールを越えた。

ほぼ正面ながら、約40mのペナルティゴールを普段通りに決めたSO上田。最終スコアは15-13となった。

「選手権に向けてまだまだ試合があるので、タフな相手に勝てるようなラグビーをするので応援よろしくお願いします」(帝京・FB本橋)

逆転勝利の帝京は開幕5連勝。次戦の11月22日(日)は、昨季チャンピオンの明治大学との全勝対決となった。

敗戦した早稲田だが、スクラムの獲得率は100%。帝京ボールをターンオーバーするビッグスクラムも披露し、ペナルティも早稲田の7回に対して帝京は10回だった。

ポジティブな面も多く見せたが、4勝1敗となった早稲田の次戦は伝統の早慶戦。11月23日(月)の東京・秩父宮ラグビー場が舞台だ。

文:多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

1980年2月1日生まれ、神奈川県出身。法政大学第二高校、法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻修了。スポーツジャーナリストとして『ラグビーマガジン』『Number』『J SPORTS』などに寄稿する傍ら、ユーモアコラムの執筆も行なっている。スポーツにおけるハラスメント防止を目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」理事。共著に『子どもがラグビーを始めたら読む本』(ベースボール・マガジン社)がある

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