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全国32校による春のトーナメント戦「第27回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会」(センバツ)の決勝が、2026年3月31日、埼玉・熊谷ラグビー場で行われ、東福岡が連覇を狙った桐蔭学園(神奈川)を33-22で下し、5大会ぶり7度目の優勝を遂げた。
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決勝
3大会ぶりのセンバツ決勝となった東福岡は、花園3連覇中の対戦相手を強烈に意識していた。
「『優勝する』とか『決勝に行く』ということ以前に、『まずは桐蔭学園さんにたどり着く』というのが(新チームの)立ち上げの時の目標でした。そこをモチベーションにして、選手たちが頑張ってきました」(東福岡、藤田雄一郎監督)
「桐蔭学園さんをこれ以上優勝させたくないという思いがありました。『止められるのは東福岡しかいない』と。その部分でアップ(練習)の時からめちゃくちゃ良い雰囲気でやれていました」(東福岡、FL吉川元基主将)
決戦の舞台となった熊谷ラグビー場は、Hポールがしなるほどの強風が吹いていた。
前半は風上の東福岡。準決勝の東海大仰星戦で前半6連続トライを奪った攻撃力を存分に発揮し、30分間で4トライを奪った。
「いつも以上に上手くいかず、やっていて『決勝は(これまでの試合と)違う』と思いましたが、『アタックすればいける』という感じはありました。なので、前向きに試合ができました」(東福岡、FL吉川主将)
一方で前半風下となった桐蔭学園。前半のトライは、高校から本格的にラグビーを始めたという197㎝のLO原品瑞帆のキックチャージ(前半4分)、SH金野悠生のインターセプト(前半13分)の2本のみ。ただ前掛かりの守備意識が奏功し、風下ながら11点差(17-28)で前半を終えた。
後半は風上に立った桐蔭学園。しかし「風を上手く使えませんでした」(桐蔭学園、藤原秀之監督)。FWのフィジカル勝負で劣勢気味となり前に出られず、後半2分のトライからゼロ更新が続いてしまった。
「後半はディフェンスの時間が長くなるから『規律を守ろう』と言っていたら、ああいうディフェンスができたので、焦ることなく試合を進められました」(東福岡、FL吉川主将)
試合の大きなターニングポイントは後半24分。
逆転に燃える6点ビハインドの桐蔭学園が長い連続攻撃。しかし東福岡はCTB八尋奏とSO川添丈がダブルタックル。カウンターラックでターンオーバーを起こしてみせた。
さらにその後の相手ボールスクラムで猛プッシュ。終始優勢だったスクラムで殊勲のペナルティ。ここから敵陣22mライン上まで前進。ここから20m以上モールで前進して歓喜のトライを奪ったのだ。
残り1分で東福岡のリードはセーフティーな11点。勝負は決した。大会連覇を逃した桐蔭学園の藤原監督は「これが現状の力」と潔かった。
「(前半14分に)17-14と一度逆転した後、次の一手が足りなかったですね。後半1本獲ってからも続かなかったです」
「接点とセットプレーに関しては完敗です。ここは冬に向けての大きな課題で、現時点でのうちの弱点なので、やり直さなければならないポイントです」
「彼らは全国大会で負けた経験が一度もありませんでした。これで自分たちの立ち位置が決して高くはないということがよく分かったはず。この結果を受けて、彼らがこれからどう努力していくかだと思います」(桐蔭学園、藤原監督)
5大会ぶり最多7度目の優勝を遂げた東福岡。藤田監督は感慨深げだった。
「モールの2本が大きかったですね。モールはアタックの得点パターンとして大事なのでかなり練習してきました」
「『決勝の最後の笛』って格別じゃないですか。そこを味わってほしかったですよね。昨日のミーティングで言ったのですが、日本一を獲れる機会はそうそうないので、『獲れる時に獲りなさい』と伝えていました」
「ここでなかなか勝てない東福岡だったから、それを春の段階で彼らが取り戻してくれたのは嬉しいですね。怪我人も何人か福岡に残しているので、これからその彼らもどれだけ追いついてくるかですね」(東福岡、藤田監督)
1回戦・2回戦
大会を振り返ってみると、1回戦(16試合)では、堅守の長崎北陽台が桐蔭学園に対して前半5点差(7-12)。7-26で敗れたが健闘を見せた。また目黒学院は優勝候補だった大阪桐蔭と0-9の激闘を演じた。
好カードとなった御所実(奈良)と早稲田実業(東京)の一戦は、後半に伝統のモールとWTB田村虎士朗の独走を起点とした2連続トライで突き放した御所実が、28-12で勝利した。
初出場3校は、神戸(兵庫)が秋田工業に5-76で大敗したものの、後半にFL中川徹平が力強いキャリーで大会初トライを記録。聖光学院(福島)は常翔学園(大阪)に13-59で敗れたが、後半にSH遠藤慧史がラックサイドを突いて大会初トライ。
3校目の地元の熊谷高(埼玉)は名古屋との1回戦敗者戦で劇的な大会初トライ。0-31で迎えた後半33分に自陣からCTB橋本光輝が軽快なステップで抜け出して独走、WTB松本爽良がトライを決め、初出場の大会を締めくくった。
また、2回戦(8試合)では、東海大仰星が石見智翠館を66-5で圧倒。大分東明と茗溪学園の強豪対決では、茗溪学園がLO熊谷響志郎をサインのフィニッシャーにしたトライで食い下がったものの、15-10で九州第2代表に軍配。國學院栃木は27-7で常翔学園を下した。
準々決勝
準々決勝(4試合)では、共に優勝候補に挙げられた東海大仰星と大阪桐蔭の「大阪対決」が実現。前半は東海大仰星がFL米谷翔馬らの2トライで14-7とリード。後半スコアが0-0の熱戦は、東海大仰星が14-7で勝利し近畿大会のリベンジを果たした。
また東福岡は大分東明との「九州対決」を57-28で制し、桐蔭学園は元埼玉WKで熊谷凱旋の内田啓介氏がコーチを務める京都工学院を36-0で完封。5年連続の対戦となった國學院栃木と佐賀工の「因縁対決」は、33-24で佐賀工に軍配が上がった。
準決勝
準決勝第1試合は桐蔭学園×佐賀工。佐賀工のエリアマネジメントに苦しめられた桐蔭学園だが、組織ディフェンスは崩れず15-7で2大会連続のファイナルへ駒を進めた。
第2試合は東福岡×東海大大阪仰星。前半はアタック整備に力点を置いてきた東福岡が衝撃の6連続トライ。WTB丸山晴矢の2トライを含む38得点で早々に試合を決めたかに思われたが、前半29分に1トライを返すと、東海大仰星が後半に猛追。NO8新谷慧斗のトライで17点差(21-38)に詰めたが、結果的に前半の38失点が響き、東福岡が45-28で3大会ぶりの決勝進出を果たした。
第27回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会(試合結果)
【1回戦】
- 流経大柏 10-36 東海大学仰星
- 目黒学院 0-9 大阪桐蔭
- 中部大春日丘 14-41 大分東明
- 長崎北陽台 7-26 桐蔭学園
- 神戸 5-76 秋田工業
- 石見智翠館 48-11 静岡聖光学院
- 城東 7-50 茗溪学園
- 松山聖陵 35-12 札幌山の手
- 御所実業 28-12 早稲田実業
- 尾道 45-10 名古屋
- 佐賀工業 69-14 川越東
- 常翔学園 59-13 聖光学院
- 京都工学院 93-0 熊谷
- 國學院栃木 38-14 高鍋
- 報徳学園 32-12 仙台育英
- 東福岡 36-0 日本航空石川
【1回戦敗者戦】
- 神戸 0-80 長崎北陽台
- 静岡聖光学院 0-52 流経大柏
- 熊谷 5-31 名古屋
- 城東 17-19 中部大春日丘
- 高鍋 34-5 聖光学院
- 日本航空石川 29-19 早稲田実業
- 仙台育英 19-24 川越東
- 札幌山の手 0-41 目黒学院
【2回戦】
- 秋田工業 12-40 桐蔭学園
- 石見智翠館 5-66 東海大仰星
- 茗溪学園 10-15 大分東明
- 報徳学園 5-29 佐賀工業
- 松山聖陵 7-40 大阪桐蔭
- 國學院栃木 27-7 常翔学園
- 東福岡 49-7 御所実業
- 京都工学院 45-7 尾道
【準々決勝】
- 國學院栃木 24-33 佐賀工業
- 桐蔭学園 36-0 京都工学院
- 東福岡 57-28 大分東明
- 大阪桐蔭 7-14 東海大仰星
【準決勝】
- 佐賀工業 7-15 桐蔭学園
- 東福岡 45-28 東海大仰星
【決勝】
- 桐蔭学園 22-33 東福岡
文: 多羅 正崇
多羅 正崇
1980年2月1日生まれ、神奈川県出身。法政大学第二高校、法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻修了。スポーツジャーナリストとして『ラグビーマガジン』『Number』『J SPORTS』などに寄稿する傍ら、ユーモアコラムの執筆も行なっている。スポーツにおけるハラスメント防止を目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」理事。共著に『子どもがラグビーを始めたら読む本』(ベースボール・マガジン社)がある
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