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声援の大きさは、実際の4325人よりもっと多くのファンがそこにいるようだった。
3月7日に釜石鵜住居復興スタジアム(岩手)でおこなわれた日本製鉄釜石シーウェイブス×花園近鉄ライナーズ(リーグワン ディビジョン2)は、ホストチームが30-22のスコアで勝った。
2月8日のNECグリーンロケッツ東葛戦が雪で延期となったことで他より消化した試合が少ないシーウェイブスは、これで今季6試合を戦って3勝3敗。リーグワンのレギュラーシーズンで初めての3勝目を手にした。
またライナーズの敗戦により、ディビジョン2の全勝チームはなくなった。
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東日本大震災復興祈念試合としておこなわれた一戦にシーウェイブスの選手たちは、「勝利で地域の人たちを笑顔に」の思いを胸に臨んだ。
前日には釜石祈りのパークで追悼式を実施し、チーム全員で足を運んだ。
前節のレッドハリケーンズ大阪戦(14-15/2月21日)から2週間。その試合で出た課題を修正してこの試合に臨んだ。
スクラムで受けた圧力と、ペナルティの多さが原因となって敗れた前戦と同じ轍を踏まぬ準備を重ねてキックオフを迎えた。
前半6分には先制を許した。ライナーズのLOサナイラ・ワクァに自陣中央を豪快に走られた時は、相手の個々の強さをあらためて感じるシーンだった。
しかしその後のシーウェイブスは全員がよく体を張り、つながり続けた。
強い風が吹いていたこの日。シーウェイブスは前半、それを背中から受けてプレーした。
風上に立つ時間帯にできるだけ多くの得点を重ねる考えは、SOミッチェル・ハントの2つのPG選択(成功)に反映され、最終的にそれが効いた。河野良太主将は試合前、自分たちの大一番に空回りしないよう、「気持ちは熱く、頭は冷静に」戦おうと呼びかけた。それが奏功した。
この日、シーウェイブスが挙げたトライは前半、後半2つずつの計4つ。その中で、目指しているスタイルがもっとも顕著に表れたトライは、前半26分のものだったか。
新任のトウタイ・ケフ ヘッドコーチ(以下、HC)は、ボールを動かしながらスペースを作って全員でそこを見つけ、攻めるラグビーを示し、チームをそこに導こうとしている。その成果が出た。
ジャパンラグビー リーグワン2025-26(3月7日)
【D2 第7節 ハイライト】釜石シーウェイブス vs. 花園近鉄ライナーズ
中盤右で相手のこぼしたボールを手にしたシーウェイブスは、そのボールを迷いなく大きく動かした。その判断に多くの選手たちが呼応。相手防御は薄かった。
前に出てくるディフェンダーたちの裏にショートパントを蹴ったのはCTBヘルダス・ファンデルヴォルト。チェイスしたWTB髙居海靖は手にしたボールをトライライン前まで運ぶ。ラックから出たパスを受けたHO西林勇登がインゴールに入った。
36分、チームにとってのこの日2つ目のトライも、スペースがあれば攻める意識が結果に結びついた。口火を切ったのはFB落和史。相手に蹴り込まれたキックからのカウンターアタックで防御のスキを突いて走った。NO8サム・ヘンウッドにオフロードパスをつないだ。
ゴール前のラックから持ち出してトライラインを越えたのは、この日、前に出る力を期待されていたCTBトンガ モセセ。防御が揃う前に判断よく出た。
20-7とシーウェイブスのリードで始まった後半。ホストチームは3分にも、強みとしているラインアウト後のモールで前進したのをきっかけに、FL髙橋泰地がトライラインを越える。25-7と差を広げた。
しかし、地力のあるライナーズもそのまま終わるはずもない。後半7分にWTB中川湧眞がキックカウンターから一気に走り切られ、10分にもキックから攻められる。つながれ、弾き飛ばされて、最後はFL宮下大輝に5点を加点された。スコアは、あっという間に25-17となった。
沸いていたスタンドが、息を飲んで見つめる時間帯がしばらくあった。
しかし、この日のシーウェイブスは決してコネクションを切らず、チームとして戦い続けたから勝ち切れた。後半16分のトライは、再び得意としているモールから。31分にトライを奪われて30-22とされるも、最後までリードを守り切った。
笑顔が溢れた試合後のスタジアム。河野主将は、「声援が大きな力になった」と話し、ケフHCは、「セットプレーと規律にフォーカスして準備したことをすべて出し切って勝てたのが嬉しい」。選手たちの遂行力を称えた。
敗れたライナーズの太田春樹監督は、「東日本大震災の復興祈念試合ということで、必ずいい試合、皆さんに感動していただけるようなゲームをしたいと思って臨みましたが、結果は非常に残念なものとなりました」と悔しさを滲ませたが、勝者を称えた。
「釜石さんの気迫あふれるプレーに後手を踏みました。そのラグビーに対して本当にリスペクトします」
シーウェイブスのディフェンスが強く、「受けてしまった」とした。
CTBピーター・ウマガ=ジェンセン共同主将も「釜石は明らかに良いプレー、良いラグビーをしました。彼らのエリアマネジメントとキックの使い方は私たちを上回っていました。逆に言えば、私たちはキックすべき場面でボールを保持してしまい、走るべき場面でキックしてしまった」と相手を称え、「学ぶことが多かった」と、今後に目を向けた。
文: 田村 一博
田村一博
前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。
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