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ラグビー コラム 2026年2月16日

試合巧者ぶり見せつけてワイルドナイツ接戦を制す。ヴェルブリッツがほしいのは自信

ラグビーレポート by 田村一博
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一つひとつの局面を切り取れば、ほとんど差はない。むしろ、最終的に敗れる側の接点での激しさが印象的だ。実際、ターンオーバーで相手ボールを奪い返すシーンも多かった。

2月14日に熊谷ラグビー場でおこなわれたリーグワン、ディビジョン1の埼玉パナソニックワイルドナイツ×トヨタヴェルブリッツは、ホストチームのワイルドナイツが26-20と競り勝った。
試合開始時点で、暫定ながらリーグ首位はワイルドナイツ。ヴェルブリッツは12位と最下位も、試合は互いにハードに戦い、冒頭のようにヴェルブリッツの秘める力の大きさを感じるものだった。

トライ数は勝者が4で敗者が2。攻め切れたか否かの差が勝敗に直結した。
また、両チームのトライの取り方が対照的だった。ワイルドナイツはチャンスを掴むと少ないフェーズでトライラインを越えた。ヴェルブリッツは攻め切るまで、多くのフェーズを重ねる必要があった。

ワイルドナイツが挙げた4トライのうち、3つが5フェーズまでに挙げたものだった。
先制トライは前半12分。攻め込まれていた序盤を抜け出して敵陣に入ると、ラインアウトから攻める。4フェーズ目にゴール前でインゴールに転がしたSO山沢拓也のグラバーキックをCTBヴィンス・アソが押さえた。

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後半8分過ぎのチーム2つ目のトライは、敵陣ゴール前ラインアウトのピールオフで、スローインから5秒、ボールを持ち出したFLベン・ガンターが一発で防御を破った。
3つ目のトライこそスクラムから13フェーズを重ねたが(後半18分、トライスコアラーはWTB竹山晃暉)、4トライ目はキックレシーブから攻め、6フェーズ目にボールを受けたFLラクラン・ボーシェーがトライラインを越えた。

それに対してヴェルブリッツは、前半22分過ぎにSO松田力也が挙げたトライが18フェーズ目。後半6分になろうかというところでFL奥井章仁が飛び込んだトライは20フェーズを重ねた後だった。

ジャパンラグビー リーグワン2025-26(2月14日)

【D1 第8節 ハイライト動画】埼玉ワイルドナイツ vs. トヨタヴェルブリッツ

 

多くのフェーズを重ねられるのは、チーム全員が動き続け、ブレイクダウンで体を張り続けたから。積み重ねているトレーニングと、個々の能力の高さが分かる。
また、後半6分にトライが生まれる一連の流れの中には、ヴェルブリッツの良さが詰まっていた。中盤で続いた攻防のあと、WTB高橋汰地がコンテストキックをクリーンキャッチした後にフェーズを重ねた。最後、淡々とした球捌きを続けていたSHアーロン・スミスが縦に出て、オフロードパスを受け、つないだ青木恵斗、奥井の両FLで攻撃を完結させた。

その奥井のトライでヴェルブリッツはスコアを14-5としてリードを奪ったのだが、最終的には、ワイルドナイツが粘り強く守り続け、簡単にスコアさせなかったことが勝利を呼んだ。
そして、前半の7-5から差を広げて勢いに乗りかけた相手を加速させなかった要所での集中力の高さも、勝者の強みとあらためて分かる試合だった。

ワイルドナイツの挙げた2つ目のトライ、前述のようにガンターがラインアウトから一瞬にしてインゴールに入ったのは、9点のビハインドとなった直後、リスタートのキックオフでボールを手にしたのがきっかけだった。
点差を広げて喜んだヴェルブリッツは、2分後の失点で勢いを出すことができなかった。

2点差に詰め寄ったワイルドナイツは、その後の30分に2トライを挙げ、ヴェルブリッツに2PGしか許さず、全勝を守った。プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたFLボーシェーの働きは、特に後半に輝いた。

ガンターのトライを呼んだラインアウトは、自分たちが蹴り込んだボールを受けて前に出た相手をボーシェーが抱え込み、誘った反則からPKを蹴り込んで得たもの。
青いジャージーの背番号7は、19-17で迎えた後半27分過ぎにゴール前に攻め込まれた時には再び接点で相手反則を誘う。そして、そこから始まった一連の流れの中で、自らトライも。SO山沢のGもあり、26-17として勝利を引き寄せた。

試合後の会見で、自分たちの重ねてきた努力の大きさと、この日の仲間たちのパフォーマンスを称えたヴェルブリッツ、姫野和樹主将は、「それでも結果に結び付かなかった。勝利をつかむためには、やるべきことをもっと積み重ねる」と言った。
「自信を持つことが必要」と沈痛な表情だった。

見ていて力が入る80分の中で、好調なワイルドナイツWTB竹山の積極的な動きや、ニュージーランド代表キャップ19を持つヴェルブリッツWTBマーク・テレアの幅広い動き、ボールタッチの多さも見てほしい。
ワイルドナイツFB野口竜司、ヴェルブリッツWTB高橋汰地のハイボールキャッチには、普段からの積み重ねが感じられる。


文: 田村 一博

田村一博

前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。

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