快勝スタートの埼玉ワイルドナイツに、 昨季12位の浦安D-Rocksが挑む

　

12月13日（土）に開幕したNTTジャパンラグビーリーグワンは、各地で質の高い戦いが繰り広げられた。ミスや反則で波に乗り切れないチームもあったが、今後、問題点をいち早く修正してプレーの精度を高めていくのはどのチームなのか。2節以降も目の離せない試合が続く。今週末は各ディビジョンの第2節が開催されるが、12月21日（日）の熊谷ラグビー場（埼玉県熊谷市）では、ディビジョン1の開幕節で昨季の王者・東芝ブレイブルーパス東京を46－0という大差で破った埼玉ワイルドナイツ（埼玉WK）が、昨季12位の浦安D-Rocks（浦安D）を迎え撃つ。

浦安Dは、初戦で三菱重工相模原ダイナボアーズに終了間際の逆転勝ち。本来のキャプテンである藤村琉士は欠場したが、代わって22歳のFL佐々木柚樹がゲームキャプテンに初めて抜擢され、プレーヤー・オブ・ザ・マッチの活躍をみせた。昨年加入したWTBケレブ・カヴバティも持ち前のスピードを披露してチャンスメークにトライにと躍動した。今季より指揮を執るグラハム・ラウンツリーヘッドコーチは、「自分たちのラグビーを見せられたか、という意味では、エラーの多さや規律のところで見せられなかったので、今後修正していきたい」と話した。

リーグワンの統計数値を担当するOptaのスタッツでも、浦安Dは「唯一被ターンオーバー数が20を上回ったチーム（21）」とされており、多くのボールを失った。この部分を修正しないと、ディフェンスから流れを作る埼玉WKには太刀打ちできない。対する埼玉WKは、前節で記録したゲインライン成功率はディビジョン1トップの65％という高い数字を残している。攻守の精度の高さに加えて、SO山沢拓也のプレースキック成功率は100％（10本中10本成功）。ディビジョン1で1試合10本以上のプレースキックをすべて成功した選手は、2022年3月の松田力也（埼玉WK）以来になる。

　

スキのない埼玉WKに浦安Dがどんな戦いを挑むのか。昨季は2度対戦し、埼玉WKが53－26、54－26で連勝している。12月19日に発表された両チームのメンバーを見ると、埼玉WKは、開幕節から先発15名では4名の変更がある。HO坂手淳史キャプテンほかFW前5人は変わらず。6番のFLには、ユアン・ウィルソンから強烈なタックルを持つベン・ガンター、SHは小山大輝から萩原周に変更。11番のWTB長田智希はリザーブに回って、オーストラリア代表WTBマリカ・コロインベテが先発。アウトサイドCTBも、谷山隼大に代わってディラン・ライリーが入る。ガンター、ライリーの日本代表コンビの加入は攻守のレベルをさらに上げるだろう。

　

対する浦安Dは、本来のキャプテンのHO藤村が先発し、3番のPRは金廉がリザーブに下がって、セコナイア・ポレが先発。BKでは、SH飯沼蓮、SO田村煕のハーフ団ほか前節と同じメンバーが並ぶが、14番のWTBのみ、タナ・トゥハカライナに代わってオーストラリア代表のイズラエル・フォラウが入る。さらに強力なランナーが加わって、FB山中亮平、カヴバティと決定力あるバックスリーが並ぶ。フォラウはハイボールにも強く、埼玉WKの脅威になるだろう。埼玉WKのライリーと、浦安Dのシェーン・ゲイツの日本代表CTB対決。コロインベテとフォラウのオーストラリア代表対決など、マッチアップも興味深い。

舞台は埼玉WKの本拠地、熊谷ラグビー場。埼玉WKはレギュラーシーズンのホストゲームでは現在17試合連続無敗（16勝1分）。同直近8戦では各3トライ以上を記録している。埼玉WK優位は動かないが、浦安Dとしては、新ヘッドコーチのもとハードワークしてきたチーム作りの成果を披露したい。

文：村上 晃一