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ラグビー コラム 2025年12月15日

【ハイライト動画あり】力比べの80分。天秤は最後にスピアーズに傾く。スティーラーズ、2万超ファンに勝利を届けられず。

ラグビーレポート by 田村一博
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2万207人のファンが駆けつけた。
選手たちは、その期待に応えた。両チームで挙げた計7つのトライだけでなく、その瞬間までに至る攻防がスタンドを沸かせた。

12月13日(土)にノエビアスタジアム神戸でおこなわれたリーグワン2025-26の開幕節の一戦、コベルコ神戸スティーラーズ×クボタスピアーズ船橋・東京ベイは、前半をホストチームのスティーラーズが16-15とリードする。
しかし後半は、スピアーズが相手の規律の乱れもあり攻勢に出る。逆転で勝利を手にした(28-33)。

 

前半終了時の得点、ファイナルスコアを見ても、常に競った展開だったのは分かるだろう。
スティーラーズの共同主将、ブロディ・レタリックは試合後、「多くのファンがホームの試合に駆けつけてくれた光景を見られたことは素晴らしかった。結果として、自分たちが勝つことができなかったのは残念だが、ファンの観点からすると、接戦を楽しめたのではないか」と話した。

先に試合の流れをつかんだのは、スティーラーズだった。
日本代表のSOに定着した10番、李承信が安定したプレーを見せる。相手の反則で得た4回のペナルティゴール(以下、PG)の機会のうち3回を成功させ、トライ後のコンバージョンキックも成功。11得点でチームを勝利へ近づけた。
赤いジャージーの挙げたトライは、新戦力のCTBアントン・レイナートブラウン。相手にPGを決められた直後のリスタートのキックオフから攻めた時に奪った。そのプレーは、一瞬のスキを見逃さずに取り切った、オールブラックスキャップ88の片鱗を見せるものだった。

赤いジャージーに先に流れをつかまれたスピアーズは、マキシ ファウルア主将が「自分たちで自分たちを苦しめた」と言うように、反則でリズムを崩し、失点を繰り返した。
ただFWがパワフルに前に出て、薄くなったスペースを突いて攻め切るスタイルで2トライを返してみせた。

規律を乱しながらも、地力の豊かさで互角に戦っていたスピアーズは、ハーフタイムの短い時間に話し合った。
前半の細かなディフェンスの乱れについて。また、プレシーズンに積み重ねてきたものは何だったのか。マキシ主将は、「規律高く、自分たちのプランを遂行しよう、とあらためて言いました」。フラン・ルディケ ヘッドコーチ(以下、HC)は、「ディフェンスの修正点をいくつか話しました。後半は、時間が経つほどによくなった」。
また同HCは、「後半は全員が、よくハードワークをした。小さな局面で勝ち続けたことが(試合そのものの)勝利に結びついた」とした。

ジャパンラグビー リーグワン2025-26(12月13日)

【D1 第1節 ハイライト動画】コベルコ神戸スティーラーズ vs. クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

お互いに点を取り合う展開が続いた後半の序盤。ただ、流れは少しずつスピアーズに傾いていっていたか。それは、後半の反則数がスティーラーズ8、スピアーズ3という規律の点にも起因していた。最終的に敗れたスティーラーズのデイブ・レニーHCは、「フラストレーションがたまる結果となった。アームレスリングのような試合となった。大事な時間帯に相手がうまく戦った。キーモーメントで自分たちは正しいパフォーマンスを出せなかった」と悔やんだ。

スピアーズは後半11分にLOアキラ・イエレミアがレッドカード(20分後に他の選手が出場)で退場となったが、「一人ひとりが自分の仕事をよりやり切る気持ちを強く持ってプレーして」(マキシ主将)戦い続けた。

後半16分に21-21となった試合は、そこから10分の間に7点ずつを取り合って28-28となって残り10分となった。
試合を決めるトライは、スピアーズの11番、前半40分にも5点を挙げた木田晴斗が決めた。

そのトライは、FBショーン・スティーブンソンのキックレシーブから始まった。
スティーブンソンはボールを受けると縦に走り、トリッキーなパスで木田を走らせる。サポートランを続け、パスを受けて、すぐにリターンパス。トライゲッターをフリーにして左隅に飛び込ませた。
決定力のあるスティーブンソン。この日は自らフィニッシュすることはなかったが、前半21分のWTB根塚洸雅のトライも、この人がラストパスを送った。勝利への貢献度は高かった。

木田のトライ後もスティーラーズの猛攻があるなど、最後の最後まで声援が途切れることはなかった好ゲーム。ルディケHCは、「本当に誇れるリーグになった。最後の最後までタフに戦い続けない限り勝てない」と笑顔で激戦を総括した。

 

また、この試合では世の中の小型FW選手の希望の星、スピアーズの末永健雄(178センチ)が、トップリーグ・リーグワン通算100キャップに到達した。
リーグのレベルが高まれば高まるほど、この人の輝きと価値は増す。

文: 田村 一博

田村一博

前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。

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