東洋大学、大学選手権初勝利を懸けて前回王者・帝京大学に挑む。ラグビー全国大学選手権3回戦

ステファン・ヴァハフォラウ主将

大学ラグビーの頂点を決める全国大学ラグビーフットボール選手権大会。ラグビー関東大学リーグ戦2位で駒を進めた東洋大学は12月14日（日）、秩父宮ラグビー場で初勝利を狙う。

それに立ちはだかるのは、大会4連覇中の帝京大学だ。真紅のジャージを前に、クラブの歴史を塗り替えることはできるか。鉄紺の挑戦が、幕を開ける。

東洋大は関東大学リーグ戦で初優勝を悲願とするも、2年連続で2位と、悔しい結果になった。最も悔いが残るのは、第5節の東海大学戦。

前半は継続して敵陣でプレーするも、思うようなプレーをさせてもらえず、リードを保たれたままラストプレーへ。東洋大が敵陣深くまで攻め立てるも、最後はタックルを受けた際にタッチを割ってしまいノーサイド。最終スコア27-28と、1点差での敗北が最終結果に響いた。

しかし、確かな成長も感じられている。終盤戦では、先発出場を継続してきた複数の主力選手が戦列を離れるも、チームは東海大戦以降、白星を並べてきた。

「東洋大は少数精鋭。その分、どの選手にでもチャンスがあるから諦めない」と福永昇三監督。

少数精鋭チームだからこそ持つ「結束力」は、リーグ戦を通してより強固なものとなっているだろう。

復帰戦となる栗原大地

大学選手権王者と対戦する今試合、東洋大で注目すべきプレーヤーはLO（ロック）栗原大地（4年）だ。昨シーズン大ブレイクし、U23日本代表にも選ばれた実力者は、東海大戦で負傷して以降はメンバーに入っておらず、この試合が復帰戦。

プレーでは192cmの長身を活かしながら、FW（フォワード）をプレーを支えるのに加え、練習中には後輩に笑顔で声をかけながら、チームに巻き込む人望の厚さも兼ね備える。プレーでも人としても頼りがいのある漢の戦列復帰は、チームにとって大きい。

また、リーグ戦が終了して以降は、「FWを強化していく」と福永監督。栗原を筆頭に、より連係の取れたFWプレーで、帝京大にプレッシャーを与えたいところだ。

さらに、SH（スクラムハーフ）生田旭（2年）も第4節・立正大学戦以来に姿を現す。彼の強みは、的確な判断力と巧みなパスワーク。その姿はまさに「パスの名手」ともいえる。1年時から公式戦で先発を任され、試合経験を積むごとに成長を見せている。

春シーズンでは、自らの判断でインゴールまで走り抜き、複数トライを決めるなど、体力をつけながら攻撃の幅を広げてきた。生田の判断力とゲームコントロール力で、序盤から試合の主導権を握る展開に持ち込みたい。

対する帝京大は、対抗戦4位と苦戦したが、大学選手権では圧倒的な強さを発揮してきたチームだ。

セットプレーや接点を軸にした力強いラグビーが武器。FW・BK（バックス）が連動した組織力に加え、局面での冷静な判断力も兼ね備え、今季も大学選手権の優勝候補であることは間違いない。

東洋大にとっては、立ち上がりから積極的に攻守でリズムを作り、栗原や生田ら復帰組を中心に、FW・BKの連携を最大限に発揮することが勝利へのカギとなる。チャレンジャー精神と少数精鋭ならではの結束力で、王者・帝京大に挑む。

秩父宮ラグビー場で繰り広げられる一戦は、技術と意地のぶつかり合い。強者を前にしても、自分たちが積み上げてきたものを信じれば、勝機は必ず舞い込んでくる。下克上で大学選手権初勝利を目指す東洋大。その挑戦は、試合開始の笛とともに幕を開ける。

文／写真：北川未藍（東洋大学スポーツ新聞編集部）