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ラグビー コラム 2025年12月11日

D1開幕戦!成長一途の「ブラックラムズ」×名門復活を期す「サンゴリアス」!ジャパンラグビーリーグワン2025-26

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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最高峰のディビジョン1(D1)は、昨季1勝1敗の好カードで幕を開ける。

J SPORTS オンデマンド番組情報

12月13日(土)の「リコーブラックラムズ東京×東京サントリーサンゴリアス」。昨季プレーオフ進出をめぐり、明暗の分かれた両雄が、東京・秩父宮ラグビー場で火花を散らす。

昨季躍進したチームといえば?

その回答の候補は、2季前はワースト9位だった3位コベルコ神戸スティーラーズ(神戸S)、もしくは3季連続の8位から急浮上した5位静岡ブルーレヴズ(静岡BR)かもしれない。

だが、トップ6(プレーオフ進出圏内)に迫った7位ブラックラムズ東京(BR東京)も忘れてはならないだろう。

昨季第2節ではSO中楠一期の“劇的トライセーブ”で、20年ぶりにサンゴリアスを撃破。第9節では、NO8リーチ マイケル主将やSOリッチー・モウンガも先発した東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)を1点差(44-45)まで追い詰めた。

さらには第11節交流戦。トップリーグ時代から名勝負を繰り広げてきた「事務機器ダービー」で、6年半ぶりに横浜キヤノンイーグルス(横浜E)を退けた。

ブラックラムズは前身リーグから4位以上の経験がない。壁を越えたい黒羊軍にとって、4強経験のある東京サンゴリアス(東京SG)と横浜Eの撃破は自信になったはずだ。第16節の埼玉ワイルドナイツ(埼玉WK)戦では6点差(27-21)に迫り、勝点1も掴んだ。

だが、プレーオフ初進出の希望は第17節で断ち切られた。

相手はサンゴリアス。34-43で第2節の借りを返され、逆転プレーオフ進出の道筋がなくなり、自動的に第18節がシーズン最終戦となった。

だが、高まる存在感と共にジャパンへの招集選手も増えた。

2025年はJAPAN XVに10名、日本代表に6名が招集。SO中楠とCTB池田悠希が代表デビューを果たし、初キャップはならなかったものの欧州遠征にはLO山本秀、SO/FB伊藤耕太郎も参加した。

2023年W杯でブラックラムズ所属の日本代表選手はアマト・ファカタヴァのみだったが(サンゴリアスは7名)、わずか2年でジャパンに絡む選手が激増。2年目のタンバイ・マットソンHCには嬉しい悩みが増えている。

「昨シーズンは負けてもボーナスポイントをとった試合が多く、選手たちは最後まで戦い抜きました。代表活動に多くの選手が招集されたのも、チーム全体が良いパフォーマンスをした証です」(BR東京/タンバイ・マットソンHC)

そのマットソンHCが繰り返し「パズルの最後のピース」と表現してきた選手がいる。

今季キャプテンに就任した入団2年目のTJ・ペレナラだ。

ニュージーランド代表89キャップの世界的スクラムハーフは、ベストなプレー選択と攻撃的な仕掛けでチームの士気を高めるオンリーワンの存在だ。昨季は18試合に先発し、独自のトライ嗅覚で6トライも奪取した。

オールブラックスの「ハカ」のリードとしても有名な最強モチベーターが、ジャパン招集選手らを率いる。さらには職人芸でチームを助けるリアム・ギル、ピッチに流線を描く韋駄天アイザック・ルーカスもおり、今やパズルの表は輝いている。あとは結果を出すだけだ。

ホストチームとして開催する開幕戦。スターターはSHペレナラ主将を始め、2025年の日本代表スコッドが4名。SO中楠、WTB高本とむ、CTB池田、そして(新婚の)WTBメイン平。NO8ギルとFBルーカスも揃い踏みとなった。

フロントローにはPR西和磨(30歳)、HO大内真(28歳)、昨季は切り札的な活躍をみせたPRパディー・ライアン(37歳)というベテランを並べてきた。

上昇機運にあるブラックラムズに対し、V字回復を期するのがサンゴリアスだ。

トップリーグ時代から「優勝以外は敗北」と捉えている印象のエリート常勝軍団だが、優勝杯は前リーグの2017年度から掲げていない。リーグワン開幕からの順位は②④③⑥だ。

順位と共に下降しているスタッツがある。リーグ戦1試合平均の失点だ。リーグ戦で首位だった開幕年度は1試合平均「17.9」失点だったが、2年目からは「20.3」「26.6」「31.6」。昨季の数字は8位でリーグ戦順位よりも下だった。

「他チームの成長」だけで済ませられない失点を抑えるべく、今季はディフェンス強化に注力。元ニュージーランド代表主将の名ディフェンダー、FLサム・ケインの主将就任はその意識付けの一貫にも映る。

ヘッドコーチは2年目の小野晃征HC。南アフリカ代表を撃破した2015年W杯日本代表の司令塔だったチームOBだ。

「昨シーズンはチームカラーのアタックを重視してチーム作りをしました。今シーズンは、アタックに加えてディフェンス面も強化し、相手にとってトライの取りづらいチームを目指しております」(東京SG・小野晃征HC)

失地挽回へ、フランス帰りの頼もしい男も帰ってきた。

仏ボルドーで2季プレーした元日本代表のテビタ・タタフだ。アタック力に注目が集まるが、東海大学で頭角を現したさいの代表的なプレーはスティール(当時ジャッカル)。攻守交代を起こす守備力だった。攻守のバランスが良いのは浦安DRから移籍してきたPR竹内柊平も同様だ。

サンゴリアスといえば有望な若手日本人。2025年は日本代表活動でPR小林賢太、PR木原三四郎、HO平生翔大も経験を積み、ハードワークでファンの心を掴む27歳のLOハリー・ホッキングスも待望のジャパンデビューを果たした。

もちろん南アフリカ代表のWTBチェスリン・コルビ、豪州代表として経験豊富なNO8ショーン・マクマーンも在籍。成熟度が高まればおのずと結果がついてくるであろう陣容だ。

昨季はBR東京に競り負けるなど、第4節まで2敗2分けと大苦戦。初勝利は第5節の三重H戦まで待たなければならなかった。勝利の雄叫びからスタートしたい2025-26シーズン、その開幕戦のスターターを見てみよう。

FLケイン新主将が登場し、相手SHペレナラ主将とのNZ代表の元同僚対決が実現。日本代表では、先月の欧州遠征も参加した4名(PR小林、PR竹内、LOホッキングス、FL下川甲嗣)がスターター、SH福田健太がリザーブに名を連ねた。

古巣復帰のテビタ・タタフも背番号8で登場。ハーフ団はSH流大とSO高本幹也のコンビ。さらには尾崎兄弟(WTB尾崎晟也、CTB尾崎泰雅)、WTBコルビ、そして最後尾はお馴染みFB松島幸太朗だ。相模原DBから新加入の石田一貴もリザーブに入った。

個人的に注目するマッチアップは、BR東京の背番号3ライアンと、東京SGの背番号1小林のスクラム・トイメン対決。ペレナラ主将(BR東京)と流(東京SG)とのスクラムハーフ対決も見逃せない。

サンゴリアスは重点課題としてきたディフェンスで手応えを掴みたい。FLケイン主将を筆頭にどんなファイトを見せるか。

Optaによるとサンゴリアスは昨季、ラインアウト成功率が90%を上回った唯一のチーム(93.8%)だ。ブラックラムズとしては、相手の攻撃基点となるはずのラインアウトを制圧したい。相手ラインアウトの端緒となりうるペナルティ数も注意事項だろう。

すでにD1は実力伯仲の新ステージに入った印象だ。まずは勝利という結果で、D1の荒波を越えていくための自信をつけたい。待ちきれないキックオフは、D1最速の午後1時だ。

文: 多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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