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ラグビー コラム 2025年12月8日

【ハイライト動画あり】最終節で明暗分かれた「筑波大学×青山学院大学」。関東大学対抗戦2025

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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関東大学対抗戦の最終第7節。12月6日(土)の第2試合では、暫定4位(5勝1敗/勝点28)の筑波大学が、同6位(1勝5敗/勝点11)の青山学院大学と相まみえた。

試合直前にプレッシャーを受けたのが青学だ。

同会場の第1試合で、同7位だった日本体育大学が勝利。この結果、日体大が暫定6位(勝点16)に浮上し、青学は勝点4差で暫定7位に。これから始まる筑波戦に勝たなければ入替戦出場が決まる状況になった。

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序盤は、その青学が攻勢に出た。

キックゲームからランを選択した筑波に対し、青学CTB袖山遼平が鋭いタックル。ここからラックのペナルティを誘った。青学の攻勢ムードが広がる。

ラインアウトのボール確保に苦戦する青学だが、2度目のキック「50:22」で敵陣へ。前半13分、スクラムで筑波がスリップしてペナルティ。まずはSO井上晴生のPGで3点を先取した。

一方の筑波もマストウィンだった。

しかも3トライ差以上の勝利で最大勝点を取れば、対抗戦2位通過の可能性が高くなる。80分トータルでトライを重ねていきたい試合だ。

しかし開始15分で3点ビハインド。ここで筑波はモールに活路を見出した。

まずは前半15分に中盤からモールを組む。ここで青学がペナルティ。敵陣22mへ。ここで筑波は乱れたラインアウトのボールを再獲得して連続攻撃。最後はU23日本代表のSH高橋佑太朗がラック脇の穴に気づいて突破。先制トライを奪った。(7-3)

この日の筑波は長短のキックが冴えた。

先制トライ後、背番号12に起用されたCTB朴大優が「50:22」を披露。ふたたび敵陣22mラインアウトを呼び込むと、再度のモール勝負。手応えのあったモールで“寄り切り勝ち”。連続トライで、苦しんだ序盤を乗り切った。

さらに筑波は「3フェーズ・アタック」が冴える。

「3フェーズ以内」の効率的なトライにもこだわってきた筑波。前半25分にはゴール前スクラムからFBで先発のルーキー・内田慎之甫が走り込むサインプレーで、1フェーズ目で3本目を奪ってみせる。(19-3)

ラグビー 関東大学対抗戦2025(12月6日)

【ハイライト動画】筑波大学 vs. 青山学院大学

強豪校出身者がならぶ16点ビハインドの青学も反撃する。

筑波のペナルティ(ノーバインド・タックル)などで敵陣に居座ると、モールを押し込んで前進。常翔学園出身のHO田中太陽が最後尾となったモールで、嫌なムードを断ち切る2本目を奪った。(19-8)

だがタレントなら筑波も負けない。

佐賀工業出身の元高校日本代表、ルーキーFB内田が脚力をみせる。前半33分、チェイスラインの揃ったキックカウンター。ボールを受けたFB内田が小刻みのステップを踏む。無駄のないランコースでタックラーを次々かわして独走。チーム4本目でリードを26-8と広げた。

前半終了時点でトライ差は「4対1」。

このまま3トライ差以上をキープすればボーナスポイントを取れる筑波は、後半にSO楢本幹志朗のクロスキックを起点にFL茨木颯が5本目を奪う。(33-8)

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入替戦回避へ踏ん張りたい青学。

自陣から展開する筑波に対して後半5分、FL松ザキ(山に竒)天晴がスティール成功。相手後方エリアをスキャンしたSH小林純岳がボールを蹴り込むと、チェイスから敵陣ラインアウトを呼び込んだ。

このフェーズ攻撃で、ループをダミーにするトリックプレーが炸裂。

青学CTB山田壮が抜け出すと、フォローした攻守交代の契機をつくったFL松ザキ(山に竒)がトライエリアへ。反撃の一本で15-33と迫った。

だが、ここから始まったのは筑波のトライラッシュだった。

司令塔のバイスキャプテン、SO楢本はこの日、高い技術力が求められるエリア隅へのキックパス「クロス(フィールド)キック」をことごとく成功させた。そこから縦へのショートキックも組み合わせる主流のキック戦略もハマった。

そのSO楢本のクロスキックから後半10分に6本目を奪取すると、同13分にはスクラムでペナルティ誘発。PR湯浅大心、HO前川陽来、PRイーゴリ・ボンダレンコを並べた押し合いから好機を掴んだ。

後半16分には、敵陣FW戦から展開する筑波らしさを発揮し、WTB濱島遼が右隅へ(43-15)。後半20分時点でトライ差は「7対2」となったが、筑波は手を緩めない。

連続攻撃から途中出場のPR寺山公太が力強いレッグドライブでゴール前へ入る。最後はリーダーの一人であるHO前川陽来がラックサイドを急襲。トライラインを越えた。(50-15)

終盤になるとスクラムでの筑波優勢がいよいよ明確に。

中盤でのスクラムプッシュで自信を得た筑波は、後半29分にゴール前ペナルティでスクラム選択。残りの5メートルを力強いスクラムで前進すると、反則でトライを防いだ青学に対してペナルティトライの宣告。

青学も終盤までしぶとく体を当てたが、ゲームの最後は左隅でフリーになったFB内田慎之甫がハットトリック。ルーキーながら経験値を感じさせる的確なコース取りから最後の一本を奪い、最終スコア62-15でノーサイドを迎えた。

筑波はボーナスポイント付きの勝利で勝点34に。この翌日の早明戦の結果、対抗戦2位通過が確定。選手権を逃した昨季から大きく躍進した。

筑波の大学選手権は、2週間後に行われる12月20日(土)の準々決勝から。秩父宮ラグビー場で、東洋大学(関東リーグ戦2位)と帝京大学(関東対抗戦4位)の勝者とぶつかる。

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一方の青学は勝点12で対抗戦7位に。最終節で日本体育大学(勝点16)に逆転され、対抗戦Bグループとの入替戦出場が決定した。

浮沈のかかる重大決戦は今週末の12月14日(日)。舞台は同じく熊谷Bグラウンド。相手は対抗戦Bグループで2位(6勝1敗)の明治学院大学だ。息をつく暇もなく、勝てば残留、負ければ降格の一発勝負に挑む。

文: 多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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