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最上太尊(明治大学)
第101回の早明戦は予想に違わぬ僅差勝負になった。12月7日(日)、快晴の国立競技場には、39,084人の観衆が集った。午後2時、明大SO伊藤龍之介(3年)のキックオフで激闘の幕が上がる。序盤は明大がハイパントを多用して攻めるが、ハンドリングエラーもあってトライにはつながらない。互いに反応よく守り、攻める時間が続いた。
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野中健吾(早稲田大学)
先制したのは早大だった。前半18分、明大陣深く攻め込んだ左ラインアウトからのアタックで右へパスをつなぎ、最後はWTB山下恵士朗(2年)のパスを受けたFB矢崎由高(3年)がステップでディフェンダーを翻弄してトライエリアに駆け込んだ。CTB野中健吾キャプテン(4年)のゴールも決まって、7-0とリードする。前半22分、明大もCTB平翔太キャプテン(4年)がPGを決めて、7-3とする。
前半31分、早大のハイタックルで得たPKから明大SO伊藤龍之介(3年)がタッチキック。トライライン直前のラインアウトを得た明大は、そこからFW陣が何度もトライラインに迫り、最後はFL最上太尊(4年)がトライライン上にボールを押さえた。「タイソンはわんぱくな子」と平キャプテンは言った。その言葉通り、ディフェンスラインが整う前に体を躍らせてのエネルギッシュなトライだった。平のゴールも決まってスコアは、10-10。いつもチームメイトを励ます言葉をかけているという最上太尊のトライで明大は勢いづいた。
直後のキックオフではLO亀井秋穂(3年)が大きく前進し、一気に早大陣に入る。いったんはハンドリングエラーでチャンスを逸し、早大に反撃を許すが、再びトライラインに迫る。トライかと思われたシーンは認められず、PKからのサインプレーもパスがつながらず、前半は同点のまま終わった。しかし、明大は数多くのチャンスを作っており、流れは紫紺と白のジャージーに傾いているように見えた。早大はスクラムで優位に立ち、SO服部亮太(3年)のロングタッチキックでチャンスを作る場面もあったが、ハンドリングエラーなどでスコアに繋がらず、もどかしい時間が続いた。
ラグビー 関東大学対抗戦2025(12月7日)
【ハイライト動画】明治大学 vs. 早稲田大学
後半5分、明大が先にトライを奪う。SH柴田竜成(4年)が早大陣に蹴り上げたボールを、同大WTB山下が確保し、SO服部へパス。タッチキックのモーションに入ったところで、明大PR田代大介(3年)が猛然とプレッシャーをかける。田代は服部の蹴り足に覆いかぶさるように手を出し、キックチャージに成功。転々としたボールを明大CTB東海隼(4年)が拾ってトライエリアに走り込んだ。ゴールは決まらず、15-10と明大がリードする。「服部選手はモーションが大きいので、プレッシャーをかけ続けようと話していました」と平キャプテン。全員が忠実にプランを遂行したからこそのトライだった。
拮抗した展開でPGを決め合い、後半26分の時点で、18-16の2点差。明大の決勝トライは後半31分のことだった。トライラインまで5mのラインアウトから明大はモールで前進。これは押しきれなかったが、最上が密集サイドにボールを持って出て、タックルを受けながら手を伸ばしトライ。平が難しいゴールも決めて、25-16とする。その後、早大にPGを返され、25-19と差を詰められたが、最後の早大の猛攻も平キャプテンの好タックルなどでしのいだ。「明治の強みは粘り強いディフェンスです。80分間信じてやりきるのみでした」(平キャプテン)。まさに言葉通りの戦いだった。
最上太尊(明治大学)
プレーヤー・オブ・ザ・マッチの最上太尊は「早稲田に勝って、ようやく日本一奪還へのスタートラインに立てました。大学選手権は全部勝って優勝しますので、応援よろしくお願いします」と元気よくコメント。5シーズンぶりの対抗戦1位となったが、平キャプテンは「これは通過点に過ぎないので、大学選手権に向かって頑張りたい」と、7シーズンぶりの大学日本一を見据えた。一方、早大の野中健吾キャプテンも「まだ終わっていない。残りを勝つだけ」と再出発を誓った。今シーズン中に両者の再戦が実現するとすれば、2026年1月11日の全国大学選手権決勝戦ということになる。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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