早稲田、2年連続の優勝か、明治の逆転優勝か。優勝決定戦となる第101回早明戦

　

恒例の12月第一日曜日、第101回目の早明戦が国立競技場で開催される。関東大学対抗戦Aは終盤に入って熾烈な順位争いは繰り広げられている。大学選手権出場枠の5位までのなかで、5位の慶大の順位だけが確定しており、上位4チームの順位は最終節の結果次第だ。全日程を終了して暫定首位の帝京大は33点（5勝2敗）、筑波大は、12月6日に青山学院大と対戦を残し、最大でも勝ち点は34まで。勝ち点32（5勝1敗）の早大、勝ち点30点（5勝1敗）の明大は、勝てば5点を獲得するので、帝京大、筑波大を超えて優勝となる。引き分けの場合は、3点が加算されるので、早大は引き分けでも優勝だ。

早大は帝京大に敗れているが、そのときはFB矢崎由高（3年）が日本代表の欧州遠征で不在だった。帰国直後の早慶戦（11月23日）では、49－21で快勝。先発した矢崎はパワーとスピードを兼ね備えたランで図抜けた突破力を見せつけた。ロングキックで陣地を獲得、長距離ドロップゴールも決めるSO服部亮太（2年）と矢崎の存在は、明大には脅威になる。早慶戦後、大田尾竜彦監督は、「テンションの高い時間と低い時間があった」といかに高いパフォーマンスを80分継続できるかどうかを課題にあげた。上り調子の明大に対しては、一瞬もスキを見せない戦いが求められる。

対する明大は、11月16日（日）、帝京大を終了間際の逆転トライで下した。実に5年ぶりの帝京大戦勝利だった。後半にPR田代大介（3年）、HO西野帆平（4年）のトライと、自慢のモールを押し込んでのペナルティートライはFW選手の自信になっただろう。CTB平翔太キャプテン（4年）、SO伊藤龍之介（3年）、WTB白井瑛人（2年）ほか、BKには世代屈指の才能が並ぶ。矢崎、服部、CTB野中健吾キャプテン（4年）との攻防は楽しみだ。

　

5日午後に発表されたメンバー表を見ると、早大は慶大戦から、先発15名のメンバーは変わらず。セットプレーの要になるHO清水健伸（3年）、ハードタックラーのLO新井瑛大（3年）、FL田中勇成（4年）ら仕事人も揃う。変更はリザーブの2名。PRの控えが山口湧太郎（4年）から勝矢紘史（4年）に、CTBが金子礼人（4年）から黒川和音（4年）に代わった。

　

明大は、帝京大戦から先発の変更は1名のみ。FWは前節、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出されたPR田代大介（3年）はじめ、FW前5人は不動のメンバー。FW第3列は、FL最上太尊（4年）、大川虎拓郎（3年）、NO8利川桐生（4年）というU20日本代表ほか各年代で代表チームに選ばれていた才能が揃う。変更はBKで、FB竹之下仁吾（3年）が欠場し、WTBだった古賀龍人（1年）がFBに入り、WTBに阿部煌生（2年）が入る。阿部は10月11日の日体大戦以来の先発だ。リザーブでは、帝京大戦の伊藤潤乃助（4年）に代わって檜山蒼介（3年）が入る。

スクラム、ラインアウトのセットプレー、ブレイクダウンでのFW陣のプレッシャーの掛け合いはもちろん注目だが、服部亮太と伊藤龍之介のSO対決、日本代表の矢崎由高、今後の成長が期待される明大1年生・古賀龍人のFB対決など個人技の応酬という楽しみもある。早大の野中健吾、明大の平翔太の両キャプテンは、東海大大阪仰星、東福岡という高校ラグビー界のライバルとして激闘を繰り広げてきた。他にも同じ高校でともに戦った仲間、先輩、後輩、ライバルなど数多くのストーリーがある。ここまでの対戦成績は早大56勝、明大42勝、2引き分け。伝統の定期戦は、下馬評通りにいかないもので、しばしば波乱も起こるが、今回は実力が拮抗している。どちらが勝っても不思議はない。立ち上がりから目の離せない戦いになりそうだ。

文：村上 晃一