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混戦となっている2025年度の関東大学対抗戦。
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両軍は大学選手権出場が決定済み。総決算の選手権へ向けてプレー精度をさらに高めたい状況で、まずは帝京が強力スクラムで魅せる。前半4分。2度目のスクラムで真紅ジャージーが強烈プッシュ。強制ペナルティを起こして雄叫びを上げた。
最初のトライは、慶應のキックミスから生まれた。
前半8分。トライゾーンから蹴り返したボールがノータッチ。帝京が整備不足のチェイスラインに仕掛けて右サイドを攻略。最後はウイング経験の豊富なFL呉山史桃がショートサイドの守備を貫き、この試合最初のスコアラーとなった。(7-0)
このまま帝京のトライラッシュが始まるのか――。
だが相手は難敵・慶應。黒黄ジャージーの軍団は前半13分のスクラムで、スクラム自慢の帝京から会心のペナルティ。鋭いヒットから間合いを詰め、相手の弱い姿勢をつくりあげたまま16本の脚を掻いた。真紅ジャージーを押し込み、ペナルティを誘ってみせたのだ。
だが熊谷ラグビー場で繰り広げられた次なる展開は「取りきる帝京、取りきれない慶應」だった。
帝京が11フェーズ目でWTB生田弦己が2本目(前半17分)を取りきる一方で、慶應は同26分に敵陣5フェーズ目で帝京LO坪根章晃にスティールを食らう。“取りきる帝京”は前半28分にも3本目。185センチのWTB吉田有佑がトライゾーンへ。地力の差が次第にピッチに現れた。(21-0)
さらにWTB吉田の連続トライで26点リードを奪った帝京に対して、慶應は再三のモール勝負。バックスも加わる“全員モール”の様相をみせたが、前半終了前にも押し切れず「ユーズ・イット」コール。
慶應は展開に活路を見出そうとする。ルーキーCTB安西良太郎が強い姿勢で前進。しかし10フェーズ目でFB吉田琉生がスティール。帝京のルーキーも存在感を示し、帝京リードの26-0で前半を終えた。
ラグビー 関東大学対抗戦2025(11月30日)
【ハイライト動画】帝京大学 vs. 慶應義塾大学
後半も帝京が機先を制する。
自陣からキック脱出をせずにオープン展開。大外でのCTB佐藤楓斗が突破をつくると、フェーズを重ねて攻撃的SH三田村がラックサイドを急襲。ロングゲイン後にスクラムとなると、ここでペナルティを誘発して盤石モードに。
スクラムからの一次攻撃で右大外へ。セットプレーから少ないフェーズで取りきるパターンで、WTB生田がチーム5トライ目を奪ってみせた。(33-0)
が、慶應は一貫性が武器だ。
豊富な運動量をベースに80分トータルでハードワークする。相手の集中力が落ちる後半に得点が伸びることも多く、この日もその強みは発揮された。
チーム最初のトライをアシストしたのは、これが対抗戦ラストゲームとなる4年生。後半から投入されたCTB山本大悟だ。
まず後半8分頃から33点リードの帝京に守備時のペナルティが増える。プレー精度が落ちてきた帝京に付け入り、敵陣左ラインアウトへ。苦戦していたラインアウトを後方で確保すると、CTB山本が鋭いカットイン。オフロードをルーキーFL申驥世に繋げてトライゾーンを奪った。(33-7)
帝京もワイド展開からLO坪根が相手を引きつけて後方パス。スペースを生み出すと、最後はロックコンビを組むLOアントニオ・フィシプナが相手を引きずりながら6本目。5点を追加(38-7)したが、慶應は諦めず7分後。
帝京はビッグゲイン後のショートキックの再獲得に失敗。チャンスを生かし切れないプレー判断&ペナルティでエリアを後退すると、巡ってきたチャンスを慶應が生かす。
ラインアウトから順目へ3次攻撃目。DFラインが揃った状態で、スペースへトップスピードで走り込んだWTB伊吹央が守備網を突き破った。スキルとスピードの合わせ技で歓声を呼び起こし、鮮やかな2トライ目。こちらもセットプレーから少ないフェーズで連続トライを奪う。(38-12)
自分たちからチャンスを与えてしまった帝京だが、後半30分にふたたびロックコンビが突破口を拓く。
敵陣でFWユニット間のパスを受けたLO坪根が、フットワークと加速力で突破。豊かな将来性を感じるアタック能力で坪根がゲインを獲ると、外から2番目のLOアントニオ・フィシプナがゲイン。オフロードを受けたWTB生田弦己がハットトリックを達成した。(45-12)
さらに帝京は大分県の山間部・玖珠市出身で、今季初出場となった昨季主力のWTB日隈太陽にもトライが生まれ、得点を「50」の大台に乗せる。(50-12)
だが最後のトライは慶應。
帝京はハンドリングエラーからボールロスト。ターンオーバー後にペナルティを犯すと慶應が速攻。
ここで躍動したのは、この熊谷ラグビー場で2週間前に花園初出場を決めた慶應志木高出身で、後半出場した4年生WTB石垣慎之介。エッジで帝京ディフェンダーを振り切ると、流線を描いて独走。そのまま左隅に飛び込んで、対抗戦ラストゲームをトライで飾った。
だが軍配は前後半で8トライ50得点を奪った帝京。大学選手権へ弾みをつける5勝目を挙げた。ただペナルティ数は9と比較的少なかったものの、ボールロスト後に挽回しようとしてペナルティを犯す悪循環も散見された。引き続き規律意識の向上は必要だろう。
対抗戦上位陣のゲームは筑波大学が青山学院大学戦、そして早稲田大学×明治大学が残っており、帝京の順位はまだ確定しない。一方、対抗戦5位の慶應は、関西2位となった京都産業大学との対戦が決まった。西へ移動し、12月14日、東大阪市花園ラグビー場にて大学選手権3回戦を戦う。
文: 多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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