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ラグビー コラム 2025年11月28日

連敗避けたい暫定4位「帝京大学」×着実成長の5位「慶應義塾大学」。関東大学対抗戦2025

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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2025年度の関東大学対抗戦は佳境だ。

残るは12月7日の優勝決定戦「早明戦」(早稲田大学×明治大学)を含む4試合のみ。

そのうちの1試合が、今週唯一の開催となる暫定4位(4勝2敗/勝点27)の帝京大学と、5位確定(3勝3敗/勝点21)慶應義塾大学の一戦だ。舞台は11月30日(日)の埼玉・熊谷ラグビー場。どちらも対抗戦は最終ゲームとなる。

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対抗戦に与えられた大学選手権出場5枠は埋まっている。

早稲田、明治、筑波、帝京、慶應の5校が、2週間後(12月14日)に3回戦が開催される大学選手権に出場する。

だが対抗戦5位で関西2位と対戦する慶應以外の4校が、選手権トーナメント表のどこに入るのかは確定していない。

一方で、大学4連覇王者の帝京が、昨季に続いて対抗戦優勝を逃したことは決まっている。

11月2日(日)には早稲田に勝利(25-20)した。しかしその2週間後の明治戦で、最終盤のペナルティトライにより2敗目(17-21)を喫したことが痛かった。

明治戦について、帝京の先発FW最年少(19歳)だったLO坪根章晃が「今日の試合は全体を通してFWのセットプレーで圧倒されてしまった」と語ったように、帝京の看板である強力セットプレーに対し、明治は互角以上に戦った。

また大きな敗因の一つが勝負所でのペナルティだった。

結果的に帝京は3点リードの85分のモールコラプシングが敗着に。直前の逆転トライをお膳立てしたCTB大町佳生主将は「クロスゲームを勝ち切るためには、規律や一つ一つのプレーの精度を高める必要があると思っています」として、プレー精度のさらなる向上を誓った。

2020年度以来の対抗戦2敗目を喫した帝京。指揮官である相馬朋和監督は、みずからの反省を交えたコメントを発した。

「これまでの映像で見る明治大学さんはこうだけれど、きっと対戦では違ってくるというメッセージは発していたのですが、私自身も正直、この短期間で明治大学さんがここまで変わってくることを見通せていなかったと思います。そういう意味で、帝京が負ける時の敗因は常に私にあるのだと痛感しています」

「帝京が負ける時の敗因は常に私にある」――このような姿勢のリーダーがいるから帝京は成長するのだろうと感じる。ラグビーに限った話ではないはずだ。組織全体に強いストレスが加わる問題が起きたとき、「私に原因がある」と語るリーダーと、まず自分以外に原因を求めて責めるリーダーと、どちらの下で人間はパフォーマンスが上がり、組織のために力を尽くしたいと考えるだろうか。

相馬監督はまた「いろいろなことを直さなければいけないほどの試合をしたわけではないので、規律の部分、細かな部分の精度を上げていくという部分が、ここから必要になってくると思っています」とも語り、規律面など細部の精度向上を図っていくとした。

 

その帝京は、慶應戦へ向けて明治戦から先発3名を変えてきた。

HO梶川尚能がリザーブから上がり、坪根章晃とアントニオ・フィシプナが両ロックにスライドしたことで空いた背番号6に呉山史桃が入った。SH武智成翔がメンバー外となり、リザーブから三田村喜斗が先発9番へ繰り上がった。

引き続きの先発はCTB大町主将、PR森山飛翔、NO8カイサ・ダウナカマカマ、SO本橋尭也ら、充実の布陣。対抗戦ラストバトルで5勝目を狙う。

その帝京が対峙する慶應は5位だが、今季は随所で力を示してきた。

11月2日の明治戦は2点差(22-24)の大熱戦。慶大にはラグビー部としての入学枠はないが、CTB今野椋平主将を筆頭に堅守をベースとした強豪に成長している。

ルーキーFL申驥世を筆頭に下級生にも好素材が多く、来年度は花園初出場を決めた慶應志木高からの入部者も見込まれ、今後も存在感を増してきそうな気配だ。

一週間前の「早慶戦」においても、FB田村優太郎のインターセプト・トライもあり、後半30分までは14点差(21-35)の接戦模様。終盤の失2トライで21-49と突き放されたが、ラストプレーは敵陣ゴール前のモール。

パイルアップでノーサイドとなったが、102回目の「早慶戦」にふさわしい熱戦を繰り広げた。

 

そんな慶應の帝京戦メンバーを見てみよう。

早稲田戦からの先発変更としては、HO藤森貴大、常翔学園出身のLOキーヴァー ブラッドリー京、そして背番号11にはルーキーWTB草薙拓海(桐蔭学園)。草薙は「ロシアとウクライナと日本のクォーター」で、祖母はウクライナに住んでいるという。

これで慶應はスタメンの1年生が5名に。LO西野誠一朗、FL申、WTB草薙は桐蔭学園の連覇メンバー。共に慶應高出身のSO小林祐貴、CTB安西良太郎は高校日本代表の経験者だ。

浪人生がいながらも全体として比較的若いメンバー編成で、フィジカルの強さや強力なセットプレーを武器とする帝京に挑む。まずはディフェンスから主導権を握る。帝京の大型FWを動かすためのエリアマネジメントも重要になるだろう。

帝京は、明治戦の敗因にもなったペナルティに注目したい。

比較的個人でコントロールしやすいラインオフサイドやノット・ロール・アウェイに加え、自陣ゴール前などプレッシャーが掛かる場面でのペナルティをいかに減らせるか。

2週間後の大学選手権3回戦へ向けたステップともなる一戦。レフリーは荒岡慶伍さん(関東協会)。注目のキックオフは午後1時だ。

文: 多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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