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ラグビー コラム 2025年11月7日

日本一を狙う名門同士の運命の決戦。全国高校大会京都府予選決勝、京都工学院×京都成章プレビュー

ラグビーレポート by 直江 光信
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高校生ラガーにとっての聖地である冬の花園への出場権をかけた都道府県予選は、各校が1年間の鍛錬の成果をぶつけ合うもうひとつの晴れ舞台だ。負ければその代の活動が終了するという緊張感が独特のムードを呼び、観戦者を強く惹きつける。そこから数々のストーリーやドラマが生まれてきた。

そんな戦いの中でも毎年注目されるのが、激戦必至の京都府予選決勝だ。対峙するのは過去21回の花園出場を誇る京都工学院と、同16回の京都成章。両校が決勝で対戦するのはこれで11年連続となる。

全国でもトップクラスの実力と実績を誇るこの2校だが、今季は特に戦力が充実している。その年の勢力図が決まるといわれる3月の全国選抜大会ではともにベスト8に進出し、準々決勝で激突。試合は34-24で成章がタイトな接戦を制し、そのまま勢いに乗って決勝まで勝ち進んだ(最終結果は準優勝)。いずれも日本一に十分手が届く実力を備えており、極限の仕上げで挑むこの京都府予選決勝は、例年にも増してハイレベルな熱戦になるだろう。

今シーズンのそれぞれの歩みを振り返ると、2月の近畿大会は成章が東海大大阪仰星(19-14)、常翔学園(17-10)、関西学院(32-10)と難敵を連破して準優勝を遂げたのに対し、工学院は2回戦で御所実業に10-24で敗戦。代表決定戦で天理に19-12と競り勝ち選抜出場を果たしたものの、先述のように本大会では準々決勝で成章に屈した。ただ今季は昨冬の花園出場を逃した成章が約1か月早く新チームをスタートさせており、春の時点ではチームづくりの進捗度に差があったのも事実だった。

実際、5月の府総体は工学院が10-7で選抜の雪辱を果たしている。7月の全国高校7人制大会も工学院が京都代表として出場し、カップトーナメント6位という成績を収めた。

秋の花園予選はともに準決勝からの登場で、第1シードの工学院が東山に74-5、第2シードの成章は洛北に50-0と大勝。工学院がSO杉山祐太朗(3年)やCTB林宙(3年)ら高校日本代表候補の主力を温存しながら圧倒的な攻撃力を披露したのに対し、成章も看板の堅守で完封勝ちを収め、それぞれ順調な仕上がりを披露した。いずれも万全の状態で決勝に挑んでくるだろう。

 

戦力を比較すると、工学院の強みは世代屈指のタレントがそろうBKの展開力だ。SH片岡湊志(3年)、SO杉山のHB団は昨シーズンからレギュラーを務めた経験豊富なコンビで、岩本斗吾(3年)と林のCTB陣も攻守にバランスのとれた全国有数のペアだ。FWにもPR春名倖志郎(3年)、LO飯田匡亮(3年)の高校日本代表候補2人をはじめ、献身的に体を張れるハードワーカーが並ぶ。

一方、成章の高校日本代表候補はPR辻子倫太朗(3年)、HO米本啓太朗(3年)、SH佐藤啓譲(3年)、SO岡元聡志(3年)、CTB森岡悠良(3年)、CTB高萩誠人(3年)、FB笹岡空翔(3年)の7人。他にも1年時に花園を経験したFL近藤幹太(3年)、WTB尾関仁(3年)ら実力者を擁し、総合力はどんな相手にも引けを取らない。接点にプライドを持つタックラーが多いことも、拮抗したゲームで大きな強みとなる。

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過去10年の花園予選決勝での戦績を振り返ると、京都成章が8勝2敗と大きく勝ち越している。ただ、現在の3年生が入学して以降の過去2年は1勝1敗で、スコアは2023年が成章10-7、2024年が工学院10-8とほぼイーブンといっていい内容だ。今シーズンの戦績を加味してもメンタリティの部分でどちらかに大きな優位性があることは考えにくく、気迫と意地がぶつかりあう拮抗したクロスゲームになることが予想される。

必見の決戦は11月9日、14時10分に宝ヶ池公園球技場でキックオフされる。

文:直江 光信

直江 光信

1975年生まれ、熊本県出身。県立熊本高校を経て、早稲田大学商学部卒業。熊本高でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。早大時代はGWラグビークラブ所属。現役時代のポジションはCTB。著書に『早稲田ラグビー 進化への闘争』(講談社)。ラグビーを中心にフリーランスの記者として長く活動し、2024年2月からラグビーマガジンの編集長。

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