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ラストプレー。残り5mに迫るもトライならず、崩れ落ちる
悲願の初優勝を目指す『Navy Warriors』。王座奪還を狙う『SEAGALES』。
東洋大学と東海大学、両チームにとって絶対に落としたくない戦いが、11月3日(月)『スピアーズえどりくフィールド』を舞台に繰り広げられた。優勝の可能性を大きく左右する全勝対決。ノーサイドまでもつれる死闘を制したのは、東海大だった。
「東海大戦は毎年、気持ちだけの勝負。情熱だけ持って準備します」。東洋大の福永昇三監督がこう語っていたように、東海大戦勝利に向けてチームはいつも以上に熱気を帯びていた。
1137人の観客が見守る中、運命の一戦がキックオフした。口火を切ったのは東洋大。
8分、自陣からSO(スタンド)林星安(4年)が蹴り上げたキックがタッチを割り、敵陣でのプレーに持ち込む。10分には相手ボールとなるも、FL(フランカー)森山海宇オスティンの鋭いタックルが刺さり、ボールを奪取した。
何度もチャンスを作り、MIPに選出されたアダム・タマティ
パスをつなげていくと、ライン際にいたCTB(センター)アダム・タマティ(4年)が大きくゲイン。タックルを受けたところで、SH(スクラムハーフ)佐々木健人(4年)にボールが渡り、貴重な先制点をもたらした。
勢いそのまま、相手を突き放していきたい東洋大。しかし、簡単にはその思惑通りにはさせてくれなかった。
ラグビー 関東大学リーグ戦2025
【ハイライト動画】東洋大学 vs. 東海大学
再開後も敵陣でのプレーを展開し、何度か好機が訪れるが、東海大の堅固なディフェンスに阻まれてしまう。すると30分、東海大がターンオーバーでボールを奪い、自陣へ。
さらに広範囲でのパスワークにより、東洋大のディフェンスに隙が生まれたところを、ライン際にいたWTB(ウィング)鬼頭慶(1年)に突破され、トライを許す。
その後も攻防戦が続く展開の中、40分に東洋大が強みのモールで勝ち越し。だが前半終了間際、東海大が意地のトライとゴールで点差をひっくり返す。12-14、わずか2点を追う形でハーフタイムを迎えた。
「自分たちを信じよう」。声を掛け合い、再びグラウンドに立った東洋大が後半戦のスコアを先に動かす。10分、22m付近でのスクラムから林のキックでタッチを割り、好機をつかむ。マイボールラインアウトを成功させ、モールで押し切ってトライを奪った。
しかし、息詰まる攻防戦は続く。18分、東海大がトライを挙げ19-21と逆転。30分には東洋大がPG(ペナルティゴール)で3点を返した。勝ち越した東洋大だが、34分に東海大が再びリードを奪い、試合はロスタイムへ。与えられた残り時間は7分。6点を追う東洋大は敵陣でプレーを続ける。
44分、こう着していた状況からHO(フッカー)岩崎ヴィージェー純(1年)がゲインを見せ、WTB浅尾至音(3年)にボールが渡る。タックルを受けながらもインゴールに楕円球を沈めたが、コンバージョンは右に逸れ、逆転には至らなかった。
ノーサイドまで残り2分。再び東洋大が攻め込む。WTB中山二千翔(2年)がラインブレイクで複数ディフェンスを突破し、敵陣へ。しかし、ラストワンプレーではパスをつなぎインゴールを目指すも、ライン際で相手のタックルに阻まれタッチを割ってノーサイド。
最終スコアは27-28とわずか1点差。劇的な逆転にはあと一歩届かなかった。
「テンポを上げようとした結果、周りとの連係が取れなかった。トライを狙いすぎた」とリーグ戦初先発の佐々木は振り返る。目の前で逆転のトライが見えただけに、悔しさは深かった。
試合後、涙を流した選手もいた。ロスタイムでのラストワンプレー。トライまでわずか5m。届かなかったその距離の重さが、静かに胸に残った。自力優勝の可能性は消えたが、鉄紺の航海はまだ終わらない。
「1点差、だいぶ痛いですけど、ここで終わりじゃないので。この1点で自分たちはもっと強くならないといけない、そういう試合になったと思います」とNO8(ナンバーエイト)ステファン・ヴァハフォラウ主将(4年)は言葉を紡ぐ。
次節は11月16日(日)、流通経済大学との一戦を控える東洋大。1部昇格後から接戦が続く相手に、油断は決して許されない一戦だ。
下を向いている暇はない。全員の力を、次の戦いにぶつける───。今こそ、鉄紺の真価が問われる時だ。
文/写真:北川未藍(東洋大学スポーツ新聞編集部)
東洋大学スポーツ新聞編集部
2001年(平成13年)創刊。東洋大学における唯一の学生新聞部。
体育会所属の部活動を対象に、取材を行い、紙面・Webサイトを通じて情報を発信。一人ひとりの挑戦やチームの歩みに光を当て、大学スポーツの魅力を発信することを目指して活動している。
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