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ラグビー コラム 2025年10月31日

全勝の早稲田大学、帝京大学との大一番に挑む。ラグビー関東大学対抗戦

ラグビーレポート by 早稲田スポーツ新聞会
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アタックラインを巧みに操るSO服部

「帝京大を倒すためにたくさんの準備をしてきた。それらを出して勝利をつかみ取りたい」。

そう青山学院大学戦後に語ったのは早稲田大学の司令塔を担うSO(スタンドオフ)服部亮太(スポ2=佐賀工)だ。関東大学対抗戦で無敗を誇る早大は、ついに帝京大学と対峙する。大一番であることは間違いない。強敵から勝利をもぎ取り、対抗戦優勝に王手をかけてみせる。

ラグビー 関東大学対抗戦2025

前節、早大は青学大と対戦した。序盤からSH(スクラムハーフ)糸瀬真周(スポ4=福岡・修猷館)と、服部のHB(ハーフバック)団が、アタックラインを巧みに操り、試合のテンポを支配する。

雨の中でも、キックでエリアを奪いながら、わずかなスペースを見つけては果敢にボールを繋いだ。

特に輝きを放ったのは、両翼を担ったWTB(ウィング)山下恵士朗(スポ2=早稲田佐賀)と、田中健想(社2=神奈川・桐蔭学園)。

ライン際にとどまらず、グラウンドを縦横無尽に駆け回り、幾度となくチャンスを演出。スピードだけでなく、接点での強さも際立ち、彼らの持ち味が存分に発揮された試合となった。

スペースを突くLO新井

彼らのチャンスメイクから早大は次々と得点を重ね、39-7で前半を折り返す。迎えた後半も勢いは止まらない。LO(ロック)新井瑛大(教3=大阪桐蔭)が、コンタクトで相手ディフェンスを制圧。

敵陣深くへと攻め込むと、ラインアウトモールを形成。最後尾に構えたHO(フッカー)清水健伸(スポ3=東京・国学院久我山)がハットトリックを達成した。

試合は59-12でノーサイド。エリアを支配しながらも、チャンスがあれば一気に仕掛ける。まさに、早大らしいアタッキングラグビーが体現された一戦だった。

対する帝京大、今季最も勢いに乗るチームと言っても過言ではない筑波大学と激突した。結果はまさに番狂わせ。筑波大はSO楢本幹志朗(4年)のキックを中心とし、スクラムも筑波大優勢で試合が進められていく。

最後まで一進一退の攻防が続くも、18-14で試合終了。絶対的とも言える大学チャンピオンが対抗戦の折り返し地点で黒星を喫した。

それでは帝京大戦で輝きを放ってくれるであろう選手たちを紹介する。まず注目すべきは服部だ。ルーキーイヤーから『赤黒』の10番を譲らず、背負い続けてきた若き司令塔は、2年目の今季、その重みを自らの力に変えつつある。

「自分が相手の10番に勝たなければチームは勝てない」。対抗戦開幕を前に静かに放たれた一言には、確かな覚悟と闘志が滲む。

服部の強みは、試合の流れを作り出すセンスとゲームメイクだ。正確無比なキック、鋭く通すパス、そして相手の綻びを突くラン。その1つひとつが、早大のリズムを刻み、チームを前へと押し出していく。

帝京大戦は、服部にとって真価を問われる舞台となる。ピッチを支配するフィールド上のマエストロとして、卓越したスキルで観るものを魅了してほしい。

大学ラグビー

そして、FL(フランカー)城央祐(スポ2=神奈川・桐蔭学園)。今年からはFW(フォワード)の核として、試合ごとに高いパフォーマンスを発揮してきた。接点では常に身体を当て続けるまさにチームの仕事人。

アタックでは一歩でも前に出てゲインラインを切り裂き、ディフェンスではチームのピンチを救う。城の泥臭くも力強いプレーが幾度となくチームを支えてきた。帝京大はフィジカルで圧倒的な強さを誇る。だからこそ、城の見えない働きが今試合のカギを握るだろう。

身体を張りゲインするCTB野中

最後はCTB(センター)野中健吾主将。対抗戦の山場とも言えるこの一戦では、チームの結束が何よりも求められる。「自分たちのラグビーをしなければ勝てない。みんなで繋がり続けたい」(野中)。

主将である野中を中心に、チームは一丸となって戦う。野中の正確なゴールキックも、勝敗を左右する重要な要素だ。

前節の青学大戦ではやや不調だったものの、下級生時代から彼の右足から放たれたボールは幾度もゴールポストを射抜いてきた。力強い帝京大を相手にする今節、1点の重みはいつも以上のものがあるだろう。その一蹴が勝利へ導くことは間違いない。

一方、帝京大の注目選手はFL河村ノエル(4年)。高校時代はCTBとして活躍していたが、大学進学後にFWへ転向した。ポジションが変わってもその圧倒的なフィジカルは健在だ。

さらにタックルの鋭さにも磨きをかけ、今や帝京の前線を支える存在となった。BK経験に裏打ちされた機動力と判断力も大きな武器だ。力強くも厄介なそのプレーには、早大としても警戒が必要だろう。

また、帝京大のアタックを司るSO本橋尭也(3年)と、FB(フルバック)吉田琉生(帝京大・1年)にも注目だ。両者はパス、ラン、キックのいずれを取っても高水準。

それ以上に脅威なのは、相手の出方を見極めながら、直前まで最適なプレーを選択できる判断力である。その柔軟なゲームメイクから幾度となく試合の流れを支配してきた。早大としては出足鋭いディフェンスでプレッシャーをかけ、彼らを自由にさせたくない。

最後はPR(プロップ)森山飛翔(3年)だ。圧倒的なスクラムの強さが最大の武器。早大は昨年から何度もその力強さに苦しめられてきた。

しかし、早大にはPR前田麟太朗(スポ2=神奈川・桐蔭学園)が名を連ねている。彼も森山と同様にスクラムが強みの選手。早大はスクラムでも8人でまとまり、帝京大の赤い塊を打ち壊せるか。

とうとうチーム野中にとって最大の山場がやってきた。「準備をやり切り必ず勝ちたい」(大田尾竜彦監督、平16人卒=佐賀工)。

真紅のジャージを前に上手くいかない時間が訪れることもあるだろう。それでも心配はいらない。『赤黒』をまとった23人、そして部員全員、またスタンドには早大を応援する多くの観客が力を与えてくれるはずだ。照準は定まった。狙いをめがけて撃ち抜くだけだ。

文:大林祐太/写真:村上結太、安藤香穂、高木颯人(早稲田スポーツ新聞会)

早稲田スポーツ新聞会

早稲田スポーツ新聞会

1959(昭和34)年創刊。人気の野球、ラグビーを中心に早大体育会44部をくまなく取材し、年12回の新聞発行およびWebやSNSによる情報発信を行う。現在部員170名で活動。»早スポHP»Twitter»Facebook

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