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今年8月、関東大学対抗戦の開幕をおよそ一か月後に控える青山学院大学を取材した。
昨季は、就任1年目だった糊谷浩孝HCの下、チームは30年ぶり3度目の大学選手権出場を果たした。今季は、初の大学ベスト8を目指し、まずは対抗戦の初戦となる慶應義塾大学戦の“必勝”を期していた。
しかし結果は敗戦(18-32)。春季大会Bグループでは競り勝っていた慶大にリベンジされ、黒星スタートとなってしまった。
続く明治大学戦は7-91で大敗。糊谷HCが「最初の20分は青山学院のラグビーが出来ていたと思いますが、残りの60分は明治大学さんの前に出るラグビーに後手に回ってしまいました」と語ったように、一貫性が課題となった。
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ラグビー 関東大学対抗戦2025 青山学院大学 vs. 早稲田大学
10月26日(日)午後1:50~ 生中継
そして2週間前。
第3戦の相手は王者・帝京大学だった。
ここでは昨季躍進の土台となったスクラムで、一定の成果を挙げたようにみえた。ファーストスクラムから煙が出るような互角のスクラムバトルを展開。序盤は大学最強クラスの帝京大を相手にマイボールスクラムも失わなかった。
5点ビハインド(7-12)と競っていた前半26分には、帝京大ボールのスクラムでペナルティを誘ってターンオーバーまで起こした。今週末の早稲田大学戦にも先発するPR木村陽太(3年/國學院栃木)、HO田中太陽(4年/常翔学園)、PR相川拓也(4年/桐蔭学園)のフロントローの表情は充実していた。
後半30分以降に4連続トライを浴びて最終スコアは7-62まで開いたが、FL八尋祥吾主将(東福岡)を筆頭とした前に出るディフェンスも随所で光った。唯一のトライ(前半23分)はラッシュする守備でパスミスを誘ったことが起点だった。
帝京大戦で良いスクラムを組めるのならば、ラインアウトに磨きをかけた上で、今季注力してきたボールを大きく動かすラグビーを披露したいところ。
そして迎える4戦目。
相手は3連勝の早稲田大学。今週日曜日(10月26日)に東京・夢の島競技場で優勝候補の一角にチャレンジする(キックオフは午後2時)。
スタメンの大きな変更はハーフ団。SH利守晴(2年/東福岡)が先発に繰り上がり、センターだった袖山遼平(3年/國學院久我山)が10番に入る。
帝京大戦からのスタメン変更はあと4名。下級生から主力のLO荒川真斗(4年/國學院久我山)が戻り、バックスにWTB平岡勝凱(3年/昌平)、CTB内藤基(4年/東福岡)、FB井上晴生(2年/東福岡)が入った。
下馬評の有利は、やはり開幕3連勝の早大だ。
日本代表として前日土曜日のオーストラリア代表戦に出場するFB矢崎由高(3年/桐蔭学園)を欠くが、早大の実力は揺るがない。
今季の対抗戦は、昨季選手権を逃した筑波大学の明大撃破(28-24)から始まった。モットーである「接点」「走り勝つ」「泥臭く」を継続強化してきた筑波大は、安定したラインアウト・スクラムワークも相まって慶大も降して開幕2連勝を飾った。
そんな筑波大の前に立ちはだかったのが早大だった。
2週間前、大和スポーツセンター競技場(神奈川)で行われた雨中戦で、「ディフェンス」「接点」などで上回り26点差(39-13)の快勝。再三ラインブレイクしたFB矢崎、キック「50:22」で好機を呼び込んだSO服部亮太(2年/佐賀工業)など役者の活躍も光った。
3試合終了時点での20失点はリーグ最小。帝京大に完勝した昨年同様の強さをすでに感じさせる戦いぶりで、優勝候補の一角であることは疑いようがない。
青学大戦の先発変更は、フィジカリティとスピードを兼備するFB植木太一(2年/関東学院六浦)のみ。
スタメンにはU23日本代表の5名も全員登場。PR杉本安伊朗(3年/國學院大學久我山)、HO清水健伸(3年/國學院大學久我山)、CTB野中健吾(4年/東海大学大阪仰星)、CTB福島秀法(4年/修猷館)、そしてWTB田中健想(2年/桐蔭学園)だ。
背番号3は亀山昇太郎(GR東葛)の穴を埋める存在に成長したPR前田麟太朗(2年/桐蔭学園)。ロックコンビは運動量豊富なLO新井瑛大(3年/大阪桐蔭)、大学屈指のキャリアーであるLO栗田文介(4年/千種)。
バックスでは、鋭い仕掛けが光るSH糸瀬真周(4年/修猷館)、2021年創部の早稲田佐賀出身のWTB山下恵士朗(2年)が引き続きスタメンを託された。
青学大は帝京大戦で13回あったペナルティを修正したい。自分たちでコントロールしやすいオフサイドを中心に反則回数を減らし、セットプレーで互角に渡り合えば勝機が見えてくるはずだ。
早大は下馬評有利だからこそベクトルを自分たちに向けたい。チームのベクトルが外的要因(相手の実力や得点差、天候など)にあると、点差が開いた途端に逆襲を受けたり、反則が急増したりと、パフォーマンスに一貫性を欠く傾向があると感じている。
どんな試合も成長の糧にする――。そんな成長に貪欲なチーム文化の先に『荒ぶる』(優勝時にのみに歌える第2部歌)があるのだとしたら、今週末の青学大戦もまさに『マスト・ウィン』の一戦だろう。
文: 多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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