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ラグビー コラム 2025年9月15日

【ハイライト動画あり】後半に突き放す。日本代表、トンガを圧倒してパシフィックネーションズカップ決勝へ

ラグビーレポート by 田村一博
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前半は21-19。日本代表のリードは僅かだった。
標高約1600メートルに位置するアメリカ、コロラド州のデンバー近郊、コーマスシティにあるディックス・スポーティンググッズパークは快晴。トンガ代表SHソナタネ・タクルアのリードするキックオフ前の儀式、シピタウに観客は沸いた。

9月14日におこなわれたパシフィックネーションズカップ2025のファイナルラウンド、準決勝の日本代表×トンガ代表は、最終的には62-24という日本代表の大勝に終わった。
しかし前半は、トンガ代表のハードなプレーに試合が引き締まった。

『イカレ・タヒ』(海鷲)の愛称で親しまれるトンガ代表はこの日、高い集中力でスタートを切った。
前半6分にトライを奪ったのはFLフォトゥ・ロコツイ。日本代表陣深い位置でのラインアウト後の攻撃から、この日セカンドジャージーを着た日本の青い壁を突き破る。ターンオーバーからアウトサイドを走り、前進してつかんだチャンスをものにした。

そのトライシーンは、日本代表が抱える課題を象徴していた。
プールステージでのカナダ戦、アメリカ戦でも、トライラインを背負ってのディフェンスを破られるシーンが何度もあった。
この日も前述の先制トライのほか、前半に2度、パワープレーに屈す。
25分、自陣トライライン前5メートルのPKから150キロのPRベン・タメイフナに単純な突進でディフェンスを突き破られた。37分にはラインアウトのピールオフからの4番、ヴェイコソ・ポロニィアティのランを止められず。3トライを重ねられた。

日本代表も10分、相手ラインアウト時のFKから反応良く飛び出したPR竹内柊平がビッグゲイン。サポートのHO江良颯につないでトライを奪った。
15分過ぎにはFLベン・ガンターのスティールから攻撃権を得て敵陣侵入。最後はスクラムからボールを持ち出したファカタヴァ アマトが左スミにトライ(17分)を挙げた。31分過ぎの攻撃ではフェーズを重ね、LOワーナー・ディアンズ(ゲームキャプテン)が仕留めるなど、持ち味を出して得点を重ねた。
ボールを手にすれば自分たちの時間を作れるも、22メートル内に入られると脆さが顔を出す最初の40分だった。

ラグビー パシフィックネーションズカップ2025(9月15日)

【準決勝 ハイライト動画】トンガ vs. 日本

ハーフタイム後の集中力と遂行力が試合を決めた。
後半にピッチに出た日本代表は、キックをうまく使ってモメンタムを得た。ターンオーバーからボールを手にしたCTBチャーリー・ローレンスの50/22キックで前進。その後の右ラインアウトから出たボールを受けたSH藤原忍は、ディフェンス裏へショートキックを蹴った。それを受けたCTBディラン・ライリーがインゴールに入った(後半2分/SO李承信のコンバージョンキックも決まり28-19)。

後半9分過ぎにスクラムでプレッシャーをかけて得たPGをSO李が成功させて31-19とすると、その4分後にはトンガの反則からSH藤原が仕掛けた。それにすぐに反応したのはPR竹内。パスを受けると、前半にビッグゲインを見せた背番号3が再び大きくゲインする走りを見せ、トライラインに迫った。

トンガの防御を乱した後の攻撃を完了させたのは。背番号9だった。藤原がゴールポスト横に飛び込んで5点を追加。さらにSO李が2点を追加し、僅差だった前半のスコアを後半開始からの10分ちょっとで38-19としてみせた。

後半20分のPGで41-19とした後、61分にフェイズを重ねられてトライを許して41-24とされるも大勢に変わりはなかった。
後半31分にはキックチェイスからのWTB長田智希の好ディフェンス、FLティエナン・コストリーのターンオーバーから、HO佐藤健次が代表初トライ(ゴールキックも決まり48-24)。さらに2トライを追加して大量62得点をスコアボードに刻んだ。

納得のいく後半を過ごしたエディー・ジョーンズ ヘッドコーチは、「ラック周辺のディフェンスを整備し、キックを使い始めてからうまくゲームを進められた」と話した。ゲームキャプテンのディアンズは、「トンガ戦はいつもフィジカルな戦いになる。それを想定して準備してきたものを出せて勝った」と続けた。

プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出されたのは、チームに勢いを与える走りを何度も見せたPR竹内。「トンガの強いフィジカルに対して、いいセットプレー、いいコンタクトプレーを80分続けられた」と勝因を口にした。

「相手が(スイッチ)オフになった時に行く」と、走れる秘訣を話した竹内といい、151キロの巨体を生かしたプレーでスタジアムを沸かせたトンガ代表主将、ベン・タメイフナといい、80分の中でフロントローの躍動が輝いた試合でもあった。

文: 田村 一博

田村一博

前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。

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