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ラグビー コラム 2025年9月6日

サクラスタンダードを示し、今W杯初勝利へ。スペイン戦に勝ち、集大成を示す。

ラグビーレポート by 田村一博
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女子ラグビー日本代表先発メンバー

イングランドで開催中のワールドカップは、前節までに各チームが3試合ずつ戦うプールステージの3分の2が終了した。

4つあるプールのうち、各プールの上位2チームがノックアウトステージ(準々決勝以降のトーナメント戦)に進める。2節終了時点で、次ステージ進出が決まっていないのはプールAだけ。イングランドに続く2位の座を、オーストラリアとアメリカで競り合う。

サクラフィフティーンの呼び名で愛される日本も、プールCですでに2敗を喫し、目指していたベスト8以上のターゲットには届かなかった。

しかし勝利への意欲の高さは、チームも選手たちも、まったく衰えていない。ファイティングポーズをとったまま毎日を過ごし、9月7日(日)のスペイン戦への準備を進めてきた。

サクラフィフティーンは初戦でアイルランドに14-42、次戦のニュージーランド戦で19-62と敗れた。点差だけを見れば、スコアの差は初戦より2戦目の方が大きくなったけれど、両試合を終えた後の選手たちの表情は、試合を重ねるごとに迷いがなくなっている。

大会前のワールドランキングはアイルランドが世界5位で、ニュージーランドは3位。前者に対しては、マストウィンの思いが強すぎて力を出し切れなかった。特に立ち上がりから3連続トライを許す展開に、選手たちは悔いを残した。

しかし、自分たちのスタイルを出すことに集中した2戦目は、結果的に大差で敗れるも、試合開始直後に先制点を奪い、後半も開始直後から積極的に動いた。結果、ディフェンスやモールで戦える時間が増加。敗戦の中にも、大会2連覇中の相手に通用する点を多く感じられる80分となった。だから、後悔の空気はなかった。

女子ラグビー日本代表先発メンバー

最終戦のスペイン戦は、「自分たちの集大成を見せるための1週間を過ごして迎える試合」と、チームを率いるレスリー・マッケンジー ヘッドコーチ(HC)は言った。

選ばれた選手たちについて同HCは、「ベストな23人」と即答した。

セレクションの基準は、チームが3年間積み上げてきたものを体現できる者たち。「練習から試合に出たい気持ちを出して、自分をプッシュしてきた選手たちを選びました」。

個々の刃を磨いた選手たちが、チームを代表して最終戦を戦う。

スペインとは7月に日本で戦い、2勝している。そういう経緯もあるからマッケンジーHCは、「お互いに情報を持っているが関係ない」と断言する。

「この試合は、相手に関係なく、自分たちにフォーカスして戦います。自分たちが何をしてきたのか、日本のラグビーとはなにかにフォーカスします。サクラスタンダードを示す戦いです」

長田いろは主将もHC同様、「自分たちにフォーカスして、サクラフィフティーンらしさを出して戦う」と誓った。

8強入りはならなかったが、「私たちがやってきたこと、積み上げてきたことを最終戦で出します。そして勝つことが、次のサクラフィフティーンにもつながると思っています」。

「私たちの試合を見て、若い人たちが感動し、サクラフィフティーンを目指したいと思うようなパフォーマンスを出したい」

ニュージーランド戦でラインアウトに安定感を取り戻したFWは、モールへの自信も深めている。3試合連続で5番を背負う吉村乙華は、「ワールドカップに入ってからのスペインを見ていると、勢いもあるし、日本に来た時とは別のチームのようになっていますが、私たちもディテールにこだわってモメンタムを出すプレーをしたい」と強気でプレーする。

今大会で初めて9番を背負う阿部恵も「強気でプレーしたい」。チーム全員で前に出るつもりだ。

23番のジャージーは、今大会で初めてメンバー入りを果たした香川メレ優愛ハヴィリが着る。その選考についてマッケンジーHCは、「(日本で戦った実績から)スペイン戦でどれだけできるかすでに証明している選手」と自信を持って送り出す。

秩父宮ラグビー場での一戦で2トライを挙げた健脚は、ヨークのグラウンドでも輝きを放ってくれるだろうか。

マッケンジーHCは、「質が高い選手が選ばれたというのは、そうでない選手がいるというわけでなく、クオリティーが高い選手ばかりの中で、より高い選手が選ばれたということ」と話して、最終戦への自信を覗かせた。

ラストゲームでもニュージーランド戦同様に、先に主導権を取って、今度は勝ち切る。

文: 田村 一博

田村一博

前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。

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